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トヨタ騒動の渦中、「プリウス」を実際に運転してみた

トヨタ騒動の渦中、「プリウス」を実際に運転してみた

高瀬 文人

フリーランスのライター/編集者/書籍プロデューサー。 月刊総合誌や『東京人』などに事件からまちの話題、マニアックなテーマまで記事を発表。生命保険会社PR誌の企画制作や単行本の編集も行う。著書に鉄道と地方の再生に生きる鉄道マンの半生を描いたヒューマンドキュメント『鉄道技術者 白井昭』(平凡社、第38回交通図書賞奨励賞)、ボランティアで行っているアドバイスの経験から生まれた『1点差で勝ち抜く就活術』(坂田二郎との共著、平凡社新書)、『ひと目でわかる六法入門』(三省堂編修所、三省堂)の企画・制作。

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トヨタ問題を扱っていて、騒ぎの渦中の車に乗ったことがないのでは話にならないな。
そう思ったので、自分で「プリウス」を運転してみることにした。

プリウスでは、現行の「第三世代プリウス」が凍結路など摩擦が小さい路面で、低速時のブレーキが「効きが悪くなる」ような感覚があることが問題とされた。日本でもオーナーから同様の指摘が寄せられており、ブログや掲示板を検索してみると、その内容を知ることができる。トヨタは結局、2月7日に日本国内のリコールを決めたが、実はその問題を公表する前から、1月からの生産分については改修を行っていたことが明らかになり、「隠していたのではないか」と批判を浴びた。

■旧来の車から乗り換えて感じる、若干の違和感
さて、私がレンタカーで借りたのは2月末。すでに改修対応は行われていると営業所の担当者に告げられた。私が慣れているのはキーシリンダーを回して起動させる古いタイプの車なので、パワーボタンを押しての起動や、駐車時にコンソールのPボタンを押す、プリウス独特の操作を教えてもらってから街へ出た。

運転を初めて5キロぐらいまでは強烈に違和感を感じた。エンジンが回らず、モーターだけで駆動しているため、アクセルの感覚と全く合わない感じがするのである。レシプロエンジン(ピストンやシリンダーの往復運動を回転運動に変換する、自動車では一般的なエンジン)車ではフィーリングの違うどんな車に乗っても、エンジンの音や回転などで感覚を合わせることができるのと全く違う。

ある程度の速度に達するとエンジンが始動してパワーアシストを行うが、その切り替えも全く静か。エンジン起動時の振動や、オートマ車のシフトショックのような衝撃もなく、センターメーターに表示される切り替え状況を見ていなければ、運転者の意識にはのぼらない。
だんだん運転に慣れてくると、全く違和感はなくなる。問題とされたブレーキも効きは全く危なげない。私がふだん運転しているのはトヨタ車だが、その中でも特にブレーキがしっかりしているという定評のある車種だ。それに比べても遜色はない。

当日は東京マラソンの開催日で、都心は大規模な交通規制が敷かれていたので、都内は避けよう。雨上がりの一般道を、さいたま市の岩槻城址公園を目指して走ることにした。