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「辞めるか辞めないか」をネットで相談してみる。

「辞めるか辞めないか」をネットで相談してみる。

高瀬 文人

フリーランスのライター/編集者/書籍プロデューサー。 月刊総合誌や『東京人』などに事件からまちの話題、マニアックなテーマまで記事を発表。生命保険会社PR誌の企画制作や単行本の編集も行う。著書に鉄道と地方の再生に生きる鉄道マンの半生を描いたヒューマンドキュメント『鉄道技術者 白井昭』(平凡社、第38回交通図書賞奨励賞)、ボランティアで行っているアドバイスの経験から生まれた『1点差で勝ち抜く就活術』(坂田二郎との共著、平凡社新書)、『ひと目でわかる六法入門』(三省堂編修所、三省堂)の企画・制作。

当ブログ「高瀬文人の「精密な空論」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/bunjin/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


今朝、私の周辺で話題になっていたはてなのブログ。


書き手は、社長と社員ふたりの会社に、3人目として入社した新人。
デザインの仕事をやりたかった、と書いているので、広告制作会社か編集プロダクションか、その関連の仕事かと推測する。
メモを付箋に書いて机にべたべた貼っているのを怒られているので、おそらくデザインがらみの仕事だ。

書き手の彼(彼女)は、先輩との関係に悩んでいる。
自分が仕事ができない。先輩は理解の仕方に怒り、「何でそんなことを聞くんだ」と怒り、「自分はクズ人間だ」と絶望に沈む。自分の
自分の仕事の何が悪いのかわからないうちに、追い詰められていくような感じ。
体力面でも精神面でも限界。
とにかく毎日泣いている。このままだと立ち上がれない。
仕事は続けたいが、迷惑だから今のうちに辞めるべきかも。

さて、こんな相談を受けたらどう答えますか。

私だったら、彼(彼女)に「今は辞めるな」とアドバイスするだろう。

・本人を叱ってばかりいる「先輩」には確かに問題があるが、叱って伸ばすタイプである可能性もあるし、実はその先輩の能力が高くないから叱っている可能性もある。教えるということに関して初心者である可能性も大きい。そこを見極められないうちは、おそらく彼(彼女)は他に移っても同じことを繰り返す。

・何よりも、本人自身は正しい試行錯誤のプロセスを踏んでいる。おそらく、もう少しで答えが見えてくるだろう。

・制作物はおそらく「正解」はないもの(だから本人は苦しんでいる)だが、しかしできばえの良さ悪さの評価がありそうだ。クリエイティビティが問われるものの場合、絶対に必要な「要件」と、求められる「水準」がある。それが自分の目で見えるようになることが大切。

・外部の同業者や、一緒に仕事してくれる外注先の信頼できる人に教えを請い、客観的に評価してもらうのも早道。

・自他ともに評価できる成果物がなにかできれば、苦しい登山の末に眺望が開けるように、仕事の全体像と自分の実力、目指すべき水準がわかり、独り立ちで仕事ができるようになるだろう。

......自分で書いていて、割と言っていることが古いと思う。しかし、これを機会に少し掘り下げてみたいと思う。就活をはじめ、いま若い人が突き当たっている「限界」にはこの手の問題が実に多いからだ。