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『仮面ライダーオーズ』に学ぶマーケティング戦略 〜30代前半男性の場合〜
»2011年3月 7日
コンテンツとメディアの近未来
『仮面ライダーオーズ』に学ぶマーケティング戦略 〜30代前半男性の場合〜
山口哲一(音楽プロデューサー)と、ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)によるプロデューサー・ユニット。インターネット上のソーシャル・マーケティングを実践的に研究。エンタメ・コンテンツとソーシャルグラフの関係を分析し、具体的なプロデュースワークにフィードバックする活動を行っている。2011年に『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)を刊行。 2012年4月よりトークイベント『sensor 〜it&music community』を開始。毎月完売の人気イベントになっている。 https://www.facebook.com/happydragon.page
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エンタメ・コンシェルジュのふくりゅう(happy dragon)です。 (*・ω・)ノ
わたくしには、幼稚園に通う4歳の息子がいます。
そんなきっかけもあり、数十年振りに『仮面ライダー』に触れることとなりました。
息子から、いっしょに観て欲しいと言う熱い要望もあり(起こされます...)、
日曜日の朝8時からテレビ朝日でオンエア中の、最新版『仮面ライダーオーズ』を、
眠い目をこすりながら毎週チェックしております。
なんでも『仮面ライダー』は今年40周年というメモリアルイヤーなのだそうです。
そもそも初代『仮面ライダー』がスタートしたのは1971年でした。
そんなことから今年の4月1日には、
『レッツゴー仮面ライダー』という40周年記念映画が放映されます。
これまでのライダー総出演の祭状態な作品となるそうです!
われわれ団塊ジュニア世代は、
常々『仮面ライダー』に影響を受けてきた世代でもあります。
ちなみに、数年前から『仮面ライダー』プロジェクトでは、
ターゲットが二重構造となる、団塊ジュニア世代(親世代)と、
団塊ジュニアジュニア世代(子供世代)の両面をターゲットにしてきたそうです。
その重なるべき究極の年が2011年、そう今年なのです☆
メジャーなエンタテインメントの基本は、
パイの多いターゲットを狙うことです。
そんなもくろみがズバリ成功し、『仮面ライダー』グッズを扱うバンダイは、
これまで『機動戦士ガンダム』シリーズに負けていた、
キャラクター販売売り上げを逆転することになったようです。
人気商品はズバリ『変身ベルト』です(100万個近く売れるそうです)。
さらに『仮面ライダーオーズ』をご覧の方はご存知だと思うのですが、
変身するには複数のメダルが必要となります。
しかも、3つのメダルの組み合わせによって、
変身パターンが変わっていくのです(ベルトの音声の鳴り方も変わります)。
そのメダルは、オモチャとして売られていますが、
コンビニで食玩としても販売されました(店頭に並んだ瞬間にソールドアウト!)。
さらには、雑誌等の特典(パブリシティ効果を生む!)にもなります。
プレミア感ある商品なので、様々な分野でマーケティング効果を見込めるのです。
例えば、CDなどパッケージ商品を買ったら関連メダルが付くとしたら、
そのCDは売れるかもしれません(かなり本末転倒ですけど...)???
ちなみに、『仮面ライダーオーズ』主題歌は、
先日活動を休止された大黒摩季が担当されているのですが、
「Anything Goes!」という楽曲は、かなりの名曲でした(デジロックでスカ調)。
※メダルは付きませんでした。
そんな数々のギミックにより、5千円以上する『変身ベルト』が、
100万セット近く売り切れるほどの大ブレイクを起こしつつ、
さらに、新キャラクターに変身し続けるために、
新たなメダルが売れ続けるという消費サイクルを生み出したのでした。
しかも、『仮面ライダーオーズ』は、
子供騙しではないストーリー構成力と(敵は人間の欲望から生み出される)、
大人の鑑賞にも堪えうる深みのある演出力によって(勧善懲悪では無い感じ)、
大人でも楽しめる作品へと仕上がっています(人間の成長物語があります!)。
そんな要因もあり、『変身ベルト』やメダルは、
当初は、大人世代のお金を持っているファンや、
ネット上でプレミア価格でオークションを試みる転売ユーザー(困ったものです...)が、
商品を買い占める騒ぎへと発展していきました。
もちろん、その理由には『変身ベルト』の完成度の高さや、
メダルのクオリティの高さが
(ICチップが埋め込まれていてスキャンして音を鳴らすことが出来る)、
『仮面ライダーオーズ』のブレイク要因となっていることでしょう。
そもそも、マーケティングとは日本語で訳すと何なのでしょうか?
誤解されがちなのですが、マーケティングとは、宣伝でも販促でもありません。
もっともわかりやすい答えは、「伝える&売るための仕組作り」だったりします。
そんな意味でも『仮面ライダーオーズ』は、
商品の価値を高め続けており、
マーケティング戦略がしっかりしているなと感服させられます。
ちなみに、『変身ベルト』を使って変身出来る千円のメダルセット(3種類あります)は、
発売前からプレミア化し、値段も10倍近く付けられて、
ヤフオクなどで販売されることも珍しくありませんでした。
子供を持つ親からは、そんな状況を嘆く声すら聞かれました(腹立たしいことです!)。
しかしながら、親世代から子供世代をもつないで、
共通言語を与えてくれるエンタテインメント作品という存在は、
家族間のコミュニケーションを活発化することにもなり、
子供たちにとっては友人同士のコミュニケーションを盛り上げてくれることになります。
そんな手法を研究することは、不況な昨今ではありますが、
音楽やゲーム、ファッション、雑貨などの他分野でも応用可能かもしれません。
そんなことを思ったりしながら、毎日4歳の息子と、
「仮面ライダー」ごっこで闘う日々の34歳男性でした〜。
☆^(*≧ω≦)ノ~~~βyё βyё♪
PS: 通常、『仮面ライダー』番組は1年タームで続くのですが、
初期はアイテムが出回らず、飢餓感を煽りまくり、
商品が購入しやすくなる頃中盤には、
さらなる魅力的な新しいアイテムが登場したりと、
本当によく考えられているなと思う『仮面ライダー』プロジェクトです☆
ちなみに、筆者はオーズの盟友『仮面ライダーバース』が、
とても人間味に溢れていて好きです!
by ふくりゅう(エンタメ・コンシェルジュ)