今回は、良い感情から、良いサイクルを生み出す考え方と方法をお伝えします。
この方法は、日ごろ私が「行き詰まり感」や「なんとなくやる気が起きない」時に取り組み、効果を実感しているものです。(起業家にとって、このような状態は組織存続の危機を招きます。)
方法はさまざまな知識や方法をミックスしています。心理学的に有効とされている「自分にとってのマイナスなことを書き出すこと」、ビジネス上の問題解決のアプローチ法、「"なぜ"を5回」、SMARTの法則、7つの習慣などです。
【用意するもの】
・ふせん紙 (100枚ぐらい。なくても可)
・サインペン
・白紙の紙、数枚(カレンダーの裏側でも可)
【進め方】
1.ふせん紙(あるいは紙)に、自分が「嫌だ」「不安」「つらい」「苦手」「楽しくない」「うれしくない」「つまらない」ことなど、自分にとっての負の感情をすべて書き出す
2.書き出したふせん紙(紙)から「これは解決したい」と思うものを3つ選ぶ
3.3つ選んだ中から、特に解決したいものを1つ選ぶ
4.負の感情を分析する(「なぜ」を5回繰り返す)
※「なぜ」は、「私は」という視点で考える
5.良い感情から良いサイクルを生み出す行動(「するためには?」)を考える
※「私ができること」を考える
まずは、1.に取り組み、2.3.へと進めてください。以降は、下図を活用すると進めやすいです。
4.負の感情分析:進め方
進め方のイメージを図1にしました。お手元の白紙の用紙(または、本図を印刷し)図1の「負の感情」の部分に、「解決したい負の感情が書かれたふせん紙」を位置づけます。ふせん紙を貼ったら「それはなぜ?」と、掘り下げて考えていきます。(表のように「なぜ」と繰り返し考えてください。この時もふせん紙を使うと、書き出しやすいです)
図1の右側は、生命保険会社時代(20代半ば)に「ノルマが嫌だ」⇒「だから、辞めたい」と考えていたときの私の感情の分析例です。
今思えば、「将来の結婚に備えて貯金がしたい」とか、「デートにお金がかかる」とか、「デートの時間を確保したい」とか、それが満たされないことが負の要因だったようです。おそらく順調に契約を取れていれば、「辞めたい」とは考えなかったでしょう。つまるところ「安定的に契約を取る方法がわからなかった」のです。当時は「どうしたら安定的に契約を取れるだろうか?」ということには意識が向かず、短絡的に「毎月のノルマがあるから精神的に負担が大きい。だから辞める」という考え方でした。
さらに、後からわかったことですが、負の感情を抱えていると「自分本位」になるため、成果が出にくくなります。成果が出ないと「真面目にやるのがばかばかしい」と考えがちで、勤務態度が悪くなったり、手を抜くようになります。当時の私もまさに、このプロセスを辿りました。
さて、「なぜ」を5回繰り返すうちに、自分が「これか!」や「これか~」と腑に落ちるものが出てきます。(私の場合は、そのポイントにたどり着いたとき、自分にガッガリしました。「そんなことだったの・・・」みたいな感じです)。
出てきたら「5.良い感情から、良いサイクルを生む行動」に進んでください。
もし、最初に選んだ負の感情のふせん紙から、しっくりしたものに辿りつけなければ、別のふせん紙を活用し、もう一度やってみてください。ポイントはしっくり感です。
5.良い感情から、良いサイクルを生む行動:進め方
しっくり感が得られたら、次のステップです。「図2:良い感情から、良いサイクルを生む行動」をご覧ください。まずは表の左側上部「私の希望(私が求めていること)」の欄からスタートです。
起点となる「私の希望(私が求めていること)」の部分のふせん紙(あるいは紙に直接)に良い感情の状態を記入します(負の感情を肯定的な表現で「上書き」するイメージです)。目的は、自分の感情を「良い状態」の表現に変えることです。肯定的な表現が出てきにくい方も、ここは出てくるまで粘り強く考え抜いてください。
次に、「良い状態にするためには?」という問いを繰り返します。
ここは、アプローチの仕方を具体的にご理解いただくほうがよいので、右側の例をご覧ください。
「目標(ノルマ)が嫌だ」→「営業目標が常に達成できている状態」に上書きしたところからスタートです。
上書き後は、「するためには?」と、自分ができることを考えます。自分ができることで、日々取り組めることを見つけます。それは、どんな小さなことでもOKです。たとえば、「朝、必ず自分からあいさつする」、「毎日、整理整頓してから帰る」など、簡単なことでも「継続」できることがポイントです。「継続」がとても重要です。
(2015年3月27日18:00追記。「できること」を考える中で、「自分ができないこと」や「わからないこと」に気づくかもしれません。その場合は、周りの人に支援を求めてください。誰かが手を貸してくれますよ)
さて、ここで注意が必要なのは、人間関係の場合。例えば「嫌な上司がいる」など。その場合は、具体的に「何が負の感情をもたらしているのか」を考える必要があります。
私の学生時代を例に挙げると、レストランでアルバイトをしていたときのこと、私のやることに全部チェックを入れて注意する(と、私が感じた)先輩がいました。その先輩とシフトが重なるときは、気が重く常にビクビクしていました。実際に、ストレスから胃痛を起こし仕事の最中に吐いたことも何回かありました。その先輩が怖くて仕方なかったです。
しかし今思えば、先輩が私に注意したのは3つでした。1)伝票の書き方(字が汚い)、2)伝票の通し方(はっきり伝えていない、伝票を貼る位置が適当)、3)ご飯の盛り方(お客様から見てきれいに盛れていない)でした。
「先輩が怖い」と考え続けているうちは、その先輩を怖れたり、避ける以外方法はありませんが、「何が(怖かったか)」に意識を向けると、「注意されるのが怖い」ということがわかります。それがわかれば、次のように考えることができます。
私の希望(私が求めていること):楽しく働きたい
「先輩から注意されたことは何?」
↓
「1)伝票の書き方、2)オーダーの通し方と貼り方、3)ご飯の盛り方」
↓
「1)~3)を基準どおりやるには?」
↓
「1)は、丁寧に書く、2)はオーダーを通すときはコックさんの顔を見て伝える、決められた位置に貼る、3)ご飯を盛るときはふっくら盛る」
↓
「毎日、意識する」
というイメージです。
このような考えができるようになることのメリットは、考え方とアプローチの仕方が身につけば、その後、人間関係の悩みが大きく軽減できることです。私も時折「合わないな~」と感じる人はいます。が、それもだんだん気にならない程度になっています。(相手が法令から逸脱している場合は、この考え方の範囲外です)
なお、「良い感情から、良いサイクルを生み出す」方法は、続ければ続けるほど、とても大きな効果があります。
ポイントは、「自分にとっての良い状態」に意識を向け、「自分ができること」に取り組み続けること。
続けるためには、自分の感情をコントロールする方法も合わせて活用すると効果的です。それは次回以降、ご紹介します。
誠ブログ読者の皆様へ
本ブログも誠ブログとしての情報発信は最後になりました。記事を読んでくださった方、また、コメントをくださった方、本当にありがとうございます。4月以降は、リニューアルされるオルタナティブブログで情報発信していきます。
リニューアルされるオルタナティブブログは、「IT」+「ビジネス」がコンセプトとのこと。「オルタナティブ」という言葉には、代案、二者択一といった意味や「型にはまらない」という捉え方もあるそう。
新しいプラットフォームでは、そんなコンセプトをふまえ「ブログを読んでいただく方の、ひらめきが生まれるような情報発信」を意識し、取り組んでいきます。書き手としての腕も上げる努力をしますので、引き続き『ひといくNow!人材育成の今とこれから』をよろしくお願いします。
それでは、良い新年度をお迎えください。
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「眠っちゃいけない」「眠っちゃいけない」「眠っちゃいけない・・・」そう考えながら参加する研修。その研修の内容は頭に入ってくるでしょうか。入らないですよね。起きているかもしれないけれども、眠っているのと一緒。であれば、少しでも眠り(他の人に迷惑をかけないように)その後で集中したほうが、よほど身になります。
ただこのような指導を「甘い」と見る人もいらっしゃるので、研修を提供する側としては「眠くならないような運営」をする必要がありますが、今回お伝えしたいのはその点ではありません。
本来意識を向けるべきことに、向けられていないことって案外多いのではないか、という点です。
「仕事がつらい」ことから始まった負のスパイラル
私のお恥ずかしい経験談を例に挙げると。
私が生命保険会社で仕事をしていたときのこと。最初は楽しかった仕事も、1年経つか経たないかのうちに、つらくてつらくて仕方がなくなりました。何がつらかったか。それは「毎月達成しなければならない目標」があったからです。でもそのときの私は、「つらい」ということに意識が向いていたので、「仕事全部」=「つらい」になっていました。
今思うと、少し見方を変えることができれば、「仕事がつらい」のではなく、つらかったのは「契約がもらえないこと」でした。しかし「仕事がつらい」と考えていた私は、「仕事がいやだ・・・」と思うように。そうなると、仕事に身が入らなくなります。身が入らなくなれば、さらに成績は落ちます。当時私が勤務していた会社では、3年目以降は、マネージメントを目指すのか、営業のプロになるのか進路が分かれます。しかし、どちらに進むにしてもずっと高い目標を上げ続けなければなりません。それができるわけもなく、私は転職することにしました。再就職活動をする中で、入社したいと思ったのが人材育成会社でした。
しかし、人材育成会社に入社したら、さらに事態は悪化しました。半年以上受注の見込みが立たず、売り上げゼロ。今度は「この仕事は向いてない」と考えるように。
この頃私は夫に「この仕事向いてないかも・・・」とぼやいたことがあります。すると夫に、「辞めてもいいけど、辞めグセつくぞ」と言われました。(辞めグセのレッテルはちょっと嫌だな・・・)と思ったところから、気持ちが切り替わりることに。
「仕事は向いてない」と考えるのを止めて、「40歳まで続ける」と決め、お客様への訪問を続けることや、知識を増やすことなど、できることに一生懸命取り組みました。結果、営業成績も上がり、今に至るまで仕事を続けています。
どこに意識を向けるか?に気づくと、何が変わるか
いかがでしょうか?
自分がどこに意識を向けているか。それに気づくことで、自分の状況も、得られる成果も変わるとしたら。
実は、組織が大きくなればなるほど、意識を向ける矛先がたくさんあるので、自分が本来意識を向けるところが、見えなくなってしまいます。「つまらない」「おもしろくない」「向いていない」「合わない」「つらい」「○○が嫌」など。
そして、そこに意識が向いてしまっていることにも、気がつかないでいる場合も多いのです。そこで、お勧めしているのは、自分にとって「負」の感情がわくものに気づくこと。
次回は、気づく手順をご紹介します。
「テーマ」の概念は幅が広く、身近なものから「世界初の発見」、「Love&Peace」まで、数えきれないほどあります。そんな中で私がお伝えしたいのは、「テーマ」を見つけることで、自分の感情により良い影響をもたらすもののこと。今日1日が充実し、明日を迎えるのが楽しみな、そんな過ごし方をするためのものです。
「自分ひとりでできるテーマ」と「周囲の協力を得て進めるテーマ」
テーマを見つけるときに大事なこと。それは、自分が「やってみたい!」「いい!」「やれそう!」「この方が良さそう」「こうしたい」「これだ!」など、今の気持ちの状態がプラスの気持ちに傾く手がかりを見つけること。どんなテーマが自分の気持ちによい影響をもたらすかは、本人にしかわかりません。そこで、ご自身にあったものを見つけていただくために、様々な視点と事例を交えながらご紹介します。
大きな分け方としては「自分ひとりでできるテーマ」と「周囲の協力を得て取り組むテーマ」の2つがあります。まずは前者からご紹介します。
自分ひとりでできるテーマ
テーマへの取り組み方はとてもシンプル、たった3つのSTEPです。この中で大事なのは、STEP1見つける:これ!と思えるものを見つけることです。
実は、日本の組織で働く人の多くが「これ!と思うものを見つける」ことがあまり得意でないようです。というのは、組織では自分の感情を出さない環境にあるからです。また、私たちは成長過程で「こうあるべき」「これが正しい」「勝ち組み・負け組み」「損得」「人との摩擦を避けよう」「失敗しないようにしよう」「人の目」など、様々な判断基準をもちます。そうした判断基準に照らしながら判断しつづけるうち、徐々に自分の気持ちに鈍感になっているのです。
たとえば「お昼に何が食べたい?」と聞かれてどう答えるでしょうか?「あなたは?」や「何でもいいよ」とこたえていませんか?そのように答える人は、「相手」や「状況」に合わせやすい傾向があります。お昼以外の場面では、打ち合わせなどで意見を求められたときに、自分の考えよりも、その場の空気を優先する場合も同じです。
もちろん組織では、相手に合わせることは、人間関係を良好に保つ上での処世術として必要です。しかし、それが過度になることで自分の気持ちが下がっているとしたら、もったいない!
ちなみに、Six Stars Consulting では、新入社員~中堅社員を対象にした研修で、思考や行動の傾向診断を取り入れることがありますが、毎回、4割程度が「人に合わせるタイプ」という結果が出ます。なので「意識的に見つける」必要があるのです。
これ!というものを見つける手がかり
そこで、これ!というものを見つける手がかりをご紹介します。私がこれ!というものを見つけるきっかけになったもの、生き生きしている人、成長している人、何かしら成果を得た人などをもとに、「テーマ発見の着眼点」として7つに分類しました。
*テーマ発見の着眼点*
(1)私にとって「不」の感情が湧くことは?
(2)私が「好きなこと」「やりたいこと」は?
(3)私が「ナンバーワン」「オンリーワン」になれることは?
(4)私が「この人のようになりたい!」という人は?
(5)私が「この人のためなら」という人は?
(6)私が何でもいいから「今からプラスαで出来ること」は?
(7)私が今まで「やったことがないこと」は?
着眼点には、それぞれ「方法」もあります。次回以降、その方法をご紹介していきます。まずは、着眼点をもとに、イメージしてみてください。
部下や後輩に「テーマ」を持たせたい人へ
上記7つの着眼点は、部下や後輩にテーマを持たせるときにも活用できます。主語を「○○さんにとって」と置き換え、イメージしてみると、アイデアが拡がります。
「テーマ」を考えたり見つけたりすることで、自分(あるいは部下や後輩)の中に潜んでいる可能性に気づき、今日1日が充実し、明日を迎えるのが楽しみな、そんな過ごし方の一助となれば嬉しいです。
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また、下記公開セミナーは私が担当いたしますので、ぜひご参加ください。
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なので「テーマ」とは、大海から1粒の砂に価値を見出すことに近いかもしれません。一方で、その人が「価値」を感じることが出来ればそれは「テーマ」になるはず。そこで、自分なりの「テーマ」を見つけるための着眼点をいくつかご紹介していきます。しかしその前に、1つ大事なことがあります。今回はそれについてお伝えします。
「テーマ」を見つける前に大事にしたい「気持ち」
「テーマ」を見つける前に、1つ大事なことがあります。それは、自分の気持ちに正直に、ポジティブに受け止められるかどうかです。
テーマを考えたり、取り組みをイメージすると「やってみたい!」、「出来そうだ」、「ワクワクする」、「面白そう」、「楽しそう」、「喜んでくれる人の顔が浮かぶ」などの感情が沸き起これば、取り組むタイミングです。是非、取り組むことをお勧めします。
反対に、テーマを考えたり取り組みをイメージすると、負担感、やらされ感、追いつめられ感、取り残される感など、辛さやマイナス感情が少しでも沸き起こるならば、少し時期をずらして取り組むほうがいいかもしれません。
いずれにしても、会社としてやらなければならない仕事のテーマとは異なり、自分のために見つけ設定するものなので、無理をする必要はありません。心に素直に従うことがとても大事です。
「気持ち」が大事な理由
新しい物事に取り組むということは、失敗したり、停滞したり、思い通りに運ばない時期が必ずあります。
ポジティブな状態で取り組むと、そのような時期も「大丈夫、なんとかなる」、「他に打ち手はないだろうか」、「自分に出来ることはないだろうか」、「しばらく様子を見よう」など、取り組むことへの可能性とその取り組みをすることを決めた自分を信じ続けることができます。
一方で、ネガティブな状態で取り組むと、「思い通りにいかない」→「マイナスの感情」→「うまくいかないことに意識が向く」など、どんどんマイナスなことが蓄積していきます。マイナスなことが蓄積すると、その取り組みを決めた自分を否定しはじめます。そうなると、対人関係にも影響を及ぼしたり、健康を損なうなど、よくないことが広がり始めます。
人生をより豊かにするための「テーマ」となるはずが、自分を苦しめる重荷となっては本末転倒です。そのような兆候があれば、今やっていること、今出来ることに集中したほうが建設的です。
営業の業績低迷の要因は「心の持ち方」
気持ちに意識を向けるようになったのは、私の次のような経験からです。私は、20代前半から20年以上営業をしています。起業した現在も、仕事の半分は営業活動に費やしています。営業をしていると「業績がいいとき」と「業績が低迷するとき」という波があります。その波は、どのような組織や人でも必ずあるものです。
しかし、その波のとらえ方を誤り「業績低迷時期を不必要に長引かせた」ということがありました。どのようにとらえたかというと、業績が上がらないのは「自分に何かが不足しているからだ」→「あの人(あの会社)みたいになれないからだ」→「自分には向いていない(存在価値がない)」と考えたことです。それも無意識に。こんな考えの人や組織に、誰も仕事を頼みませんよね。(笑)
さらにこのような考えの恐ろしいところは、本人が無意識で、真の問題がわかっていないこと。
しかし、なんとかその状況を脱したかった私は、藁をもつかむ気持ちで、上手く行っている人や、成果を上げている人の情報に出来るだけたくさん触れました。そこでようやく自分の状態に気づきました。どうやら私は自分を否定していたようだということに。
この出来事を通じ、自分を(無意識に)否定しているうちは、何をやっても上手く行きにくく、その影響はより広がっていくことが分かりました。一方で、自分を肯定的に受けとめ、自分の良い部分に目を向け、どんな小さなことでもより良くしたいという思いを持って、出来る努力を地道に続けていくと、少しずつ状況が好転していくことも分かりました。
ただし、自分の状態はなかなか気づきにくいものです。その状態を見極めるための1つの方法が、情報に触れたときに、ポジティブな気持ちになるか、一瞬でもネガティブな感情がわくか、というシンプルな基準です。
ですので、まずは、「テーマ」を見つけることに対して、「やってみたい!」という感覚が持てるかどうか、自分に問いかけてみてくださいね。
30代で是非やっておきたいこと。それは「自分がやりたいこと(企画)を形にする」ということ。それが、直接仕事に直結する場合とそうでない場合があるかもしれませんが、どちらであっても、「企画力」を磨く過程で、仕事にもよい影響が現れると私は思っています。
「企画力」というと、「アイデア創出」や「提案書作成」などのイメージがあるかもしれません。実際は、次のような流れで進めます。
企画を進める上で最も大事なのは「テーマ」を見つけ、決めること。自分にとってやりがい、取り組みがい、このためだったら頑張れるという、価値を感じられるものを設定することです。一方で、研修などで30代の人たちに「自分の仕事にテーマを持っていますか?」とお聞きすると、ほとんどの場合「"テーマ"それ、何ですか?」という反応です。もしかしたら、この反応こそ「仕事がつまらない」と感じる要因かもしれません。
一方で、最近の職場は、次から次へとミッションが降りてきて、しかもそれを短納期・低コストでやるように言われることがほとんど。まずは、それをやりぬくのに精一杯でテーマを考える余裕がないこともよく分かります。ただ、テーマを見つけることで、そのミッションすらも「やりがいのあるもの」に変えられるとしたら?
それこそが「テーマ」です。次回以降、STEP1「テーマ」についてご紹介していきます。
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今日の話に似た、1年前のある出来事。毎年GWの頃に石川県の温泉に通っていますが、昨年(2014年)訪れたとき、ロビーに溢れていたのは、アジアからの観光目的でのお客様らしき人たち。仲居さんが「ここ1年ぐらい急に増えてるんですよ。露天付の1泊10万円以上のお部屋には、20代ぐらいのカップルの宿泊が多いです。皆さん、お金をよく使う。あとは、バスでお越しの方は、ドラッグストアに行って1家族1万円ぐらいはお買い物をされる。薬とかストッキングみたいなものをよく買われるようで、手にいっぱい荷物を持っていかれますよ。あと、時間はちょっとあてにならなくて、15分~20分遅れてこられるんです。なので、入口で大型バスの停車時間が長くなるので、ご迷惑をおかけして申し訳ないです」といった話をお聞きしたことがありました。
「定点観測」
定期的に同じところを観察し、その変化を捉えることを「定点観測」と言います。様々な分野で行われていますが、小売やサービス業などでは、定期的に街やお店に足を運び、人の流れや動き、どんな人が増えたり減ったりしているのかなどを捉え、店舗の運営に活かすために使われる手法です。毎日、同じ時間、同じ場所を通る通勤は、定点観測に適した状況かもしれません。
定点観測で大事なことは、1つ1つのケースを「アジアからの観光が増えてるんだな」といった事象を捉えて終わりにしないこと。その背景となっていることに結び付けて考えていくことです。例えば、「2020年を目標に訪日客2000万人を目指す」という国を挙げての目標や類似した情報に意識を向ける。そして、その情報を組み合わせながら「新たな価値を生めないか?」と思考し続けることです。
定点観測結果と客観的データとつなげて見る
しかし、定点観測だけでは、個人の主観や「たまたまその状況が重なっただけ」ということもありえます。そこで活用するのが客観的データです。
例えば、先に挙げた海外からの観光客であれば、百貨店やテーマパークなどとのリンクが考えられます。そうした業界の業績を見てみると、数年前には「経営危機」を伝えられていた企業も、ここ最近発表されるデータでは、業績好調が伝えられています。
そこで、業績のよい百貨店の動向を調べてみると、数年前から各国言語の対応を進め、サービスを強化しています。さらに、先日のニュースでは、春節で来日されるお客様向けの「福袋」や各国の生活様式にあった品揃えを強化するなど積極的な取り組みを進めているとのこと。特に、免税範囲の拡大と円安効果が見込まれ、今期は更なる売り上げ拡大を狙っています。
また、テーマパークでも似た傾向がうかがえます。例えば、サンリオピューロランドは、海外からの観光客の割合が10%を超えたと報道されていました。他施設の具体的なデータは公開されていませんが、同程度以上と見込んでも大きくは外れないでしょう。
テーマを持つと、違う分野の情報も入りやすくなる
「海外からの観光客に対するサービス」。こんなテーマでモノを見始めると、直接接する業界以外の分野の情報も自然と目につくようになります。例えば今朝(2015年2月19日の日経新聞朝刊には「訪日客に道案内/映像・音声伝送」という記事が。
『NTTは18日、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年を目指して開発中の新技術を報道陣に公開した。高精度な物体検出技術を活用した訪日外国人の移動支援サービスや、大人数が遠隔地で試合を観戦するパブリックビューイングへの応用を想定した映像・音声技術などが柱。外部企業とも連携し、実用化に向けた取り組みを加速する』
具体的には、道案内の表示を撮影すると、それが英語に自動的に変換され、目的地まで案内してくれたり、店舗の外観を撮影すると、そのお店の情報が表示されるサービスなどに展開されるそう。
例えば飲食店などで、英語版の「食べログ」のような情報やそこで使っている食材(アレルギー)表示、待ち時間案内など、様々な用途が考えられます。仮に、こうしたサービスが実現すると、お店側はどんな対応をしておく必要があるだろうか・・・など、考えていくと面白いものです。
たくさんのチャンスが生まれつつある
このように、日常のちょっとした変化をとらえると、今後のビジネスにつながる情報は無限にあります。そうした情報にコツコツとアクセスし蓄積しておくことで「企画」につながる可能性が出てきます。
さらに、2020年の東京オリンピック開催までの期間は、多くの地域や企業で今までにない「魅力」を打ち出すために、「新しいこと」に積極的に取り組むタイミングです。同時に、2025年の超高齢化社会を視野に入れた取り組みも進んでいくことでしょう。いずれにしろ、これから数年は、たくさんのチャンスが生まれる時期です。ここで、「何かに取り組んでみよう」と思い何かを始めるか、「言われたことだけやっとこう」と思うかで、ずいぶん差がついていきます。
「何かに取り組んでみるのも面白そうだ」と思えれば、次の取り組みは自分に合った「企画」のテーマや進め方を見つけること。次回以降では、様々な「企画の進め方」をご紹介していきます。
[参考情報]
2015年1月19日配信 日本百貨店協会
2014年12月の外国人観光客売上・来店動向【速報】欄参照http://www.depart.or.jp/common_press_release/list/1
2015年2月17日配信 日本経済新聞
テーマパーク・遊園地の14年売上高、初の6000億円超えhttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HP5_X10C15A2EA2000/
2014年12月6日配信 アイティメディア
サンリオピューロランド、訪日外国人観光客への消費税免税サービスを開始http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1412/06/news001.html
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新ブログ【小売業の人づくり・店づくり】
小売業の人財育成に携わる、店長、教育担当者に向けたブログの配信を始めました。スタッフ育成に役立つトピックスを業界出身のコンサルタントが週1回定期配信。是非、「お気に入り」に登録を!
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講演:「はやぶさ」から「はやぶさ2」へ~夢を持って取り組む人・組織づくり~
講師:独立行政法人宇宙航空開発機構(JAXA)宇宙科学研究所 准教授 山田哲哉氏
日時/会場:2015年3月9日(月)15:00~16:30 千葉商工会議所
主催:ちばぎん総合研究所
お申し込み、お問い合わせは主催企業へ
https://www.crinet.co.jp/seminar/details/K201503_01.pdf
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40代半ばに入り増えつつある「介護・看護」についての会話
ある日、お世話になっていたご担当者様から「もうすぐ会社を辞めるのでご挨拶です」という連絡をいただきました。事情をお聞きすると、ご家族の介護のためとのこと。今までは社内制度や有給消化、スケジュールを調整しながら、なんとかやりくりしてきたそう。しかし、業務における立場や性質上、長引く介護でこれ以上職場に迷惑をかけられない。そのため離職し介護をしながら、将来的にコンサルタントとして独立するための準備をするつもりであるというお話でした。
また、別のケースとしては、お仕事上のかかわりのある人たちのご家族が体調を崩され、遠方に様子を見に行くことや、私の場合は「体調を崩して入院した」という親戚からの連絡も頻度が増えています。
このような話は、40代半ばを迎えた頃から、急に増えてきたように感じています。そこで、一般的な状況についても調べてみました。
働き手層の約7%が「介護」または「看護」で離職という現状
総務省発表の『平成24年度就業構造基本調査結果』 によると、平成24年10月の調査で、有業者は6442万1千人。うち、全体の7%にあたる、48万7千人が介護または看護のために、平成19年10月~24年9月までの5年間のいずれかの時期に離職しています。
また、離職のきかっけを見ると「労働時間の長さ」、「出退社時刻」、「介護休業の取得のしづらさ」というデータもあります。
データからは「フレキシブルな労働形態」があれば離職せずに済んだかもしれないという実態が読み取れます。
離職後の状況
私がこの問題を取り上げたいと考えた最も大きな理由は、介護離職後の負担を目のあたりにしたからです。
以下のデータは『仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査』(平成24年度 厚生労働省委託調査 三菱UFJリサーチ&コンサルティング実施)です。データがその負担について物語っています。図表23「就業継続の意向」では、半数以上の人が「仕事を続けたかった」とし、「離職後の変化」では「精神面」、「肉体面」、「経済面」の全てで、半数以上の人が「負担が増した」と回答しています。
データ元:http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf
離職により、生活や人間関係は大きく変わります。介護に加え、自分の生活基盤が変わることは、想像以上に負荷がかかります。恐らく、辞める前に想像していない、目に見えないものが多くあるように思います。
「介護」と「仕事」が両立できる環境づくりに向けて
その負担を軽くしていくための施策として、国は法改正を進めています。現在の育児・介護休業法(介護関係制度)は、次のように定められています。詳細は厚生労働省の下記サイトからPDFをご覧いただきたいのですが、ポイントを抜粋します。
(1)介護休業(法第11条~第15条)
労働者は、事業主に申し出ることにより、対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算して93日まで、介護休業をすることができます。
※「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。
<対象となる労働者>
期間雇用者(パート、派遣、契約社員など雇用期間の定めのある労働者)でも、一定の要件を満たす場合は、介護休業をすることができます
(2)介護のための短時間勤務制度等の措置(法第23条第3項)
事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度その他の措置(短時間勤務制度等の措置)を講じなければなりません。
(3)介護休暇(法第16条の5~第16条の6)
要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、事業主に申し出ることにより、対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。
(4)法定時間外労働の制限(法第18条)
要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者が申し出た場合には、事業主は、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。
(5)深夜業の制限(法第20条)
要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者が申し出た場合には、事業主は、その労働者を深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはなりません。
(6)転勤に対する配慮(法第26条)
事業主は、労働者に就業場所の変更を伴う配置の変更を行おうとする場合に、その就業場所の変更によって介護が困難になる労働者がいるときは、当該労働者の介護の状況に配慮しなければなりません。
(7)不利益取り扱いの禁止(法第16条、第16条の7、第18条の2、第20条の2、第23条の2)
事業主は、介護休業など(1)~(5)までの制度の申出や取得を理由として、解雇などの不利益な取り扱いをしてはなりません。
PDF:厚生労働省 育児・介護休業法(介護関係制度)の概要
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/ryouritsu04/dl/ikuji_kaigo_kyugyou.pdf
「介護」だけでなく「看護」の制度の充実と、進めておきたい職場の理解と+α
現在の法制度では、「介護」に重点がおかれていますが、高齢化が進むと「看護」の割合が増すように思います。その場合、突発的に複数回の休業といった対応も必要となってくるでしょう。ただ10年後までには、「看護ニーズ」に適応した様々な仕組みやサービスが生まれ、現在問題だと感じていることの多くは、安心できるものへとなっていくように思います。
しかし、過渡期において、一番大事なのが「職場の理解」です。一方で、理解を示したくても示せないほど、時間的、人員的ゆとりがないという職場も多いかもしれません。また、理解がある職場でも、過度に配慮しすぎることが問題となるケースもあります。どちらにしても、自分が抱える問題を相談しやすい関係性というのが、最初に必要なのかもしれません。その上で、職場で「状況対応がしやすい仕事の進め方」をテーマに、話し合っておくだけでも理解が進み、対応のアイデアが生まれるかもしれません。
(参考情報)厚生労働省統計資料
『仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査』 http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf
『仕事と介護の両立支援対応モデル』http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/model.html
☆☆☆Six Stars Consultingからのお知らせ☆☆☆
社内講師(インストラクター)として活躍される人を対象にしたブログをスタートしました。
【社内講師応援ブログ】 http://www.six-stars.jp/blog1/
参加者の「行動変容」につながる考え方や運営上のヒントをご紹介しております。
新入社員研修の準備などにお役立てください!(「お気に入り」に入れていただけると嬉しいです)
その背景には「仕事がつまらない」と回答した30代層が多いことや、日頃、人材育成の現場で携わる中での私の体験や印象などがベースになっています。では、実際はどうなのでしょうか?そこで今回は、先日実施したワークショップで、人材育成に携わるご担当者様(ご自身が30代の人も含む)のご意見に共通した点と、ある調査結果をもとに、30代に共通する課題を深めていきます。
人材育成に携わる人たちが30代に対して感じていること
「他社さんと比べて、うちはどうでしょうか?」。この質問は、コンサルタントがお客様(人材育成のご担当者様)から頻繁に受けるものです。どの会社のご担当者様も、様々な施策を講じていますが、本当にこれでいいのか?といったことをお感じになっています。
一方で、素晴らしい取り組み内容であったとしても、自分の会社でやっていることは「当たり前」に感じるので、その善し悪しが分かりません。
そこで、業種・業態の垣根を越えて、お互いの取り組みを紹介し合うことで、相互のヒントにしていただくといいのでは・・・と考えて取り組み始めたのが「人材育成ご担当者様のためのワークショップ」。2011年からスタート。年2~3回の割合で実施し、先日で12回目を迎えたご担当者様同士の交流の場です。
その場で、先日は『未来の組織を担う「30代」の課題と強化の具体策』をテーマとして取りあげました。その中で、30代についての「強み」と「課題」について話し合っていただいたところ・・・
30代は「個人差が顕著になるね」と。
・仕事も出来、周囲にも影響力があり、発展の可能性を感じさせる人材
・自分のテリトリーを決め、夢や目標などはあまり持たず、管理職になることは避け、責任を負わないように、取り組む人材
とに、大きく分かれる印象がある。という見解でした。
ただ、割合的に、後者のほうが多いのでは・・・ということと、どちらにフォーカスするかにより、提供する教育は、大きく変わるといったご意見がありました。
そして、このような話し合いの後に見ていただいたのが、次のデータです。
30代の第一印象(企業の人事や採用に関わる人の見方)
独立行政法人労働政策・研究機構(以下、JILPT)という組織をご存知でしょうか?この組織は、厚生労働省の管轄下にあり、『内外の労働に関する事情及び労働政策についての総合的な調査及び研究等並びにその成果の普及』と『職員の研修』を行っている組織です。
JILPTのウェブサイトには、色々な調査データが掲載されていますが、その中に『入職初期のキャリア形成と世代間のコミュニケーションに関する調査』というものがありました。
本調査は、従業員100人以上の企業を対象に、入社3年目~10年目(調査は2011年)について、「職場で求められる人材像」、「若手人材育成のための取り組み」、「世代間コミュニケーションの現状」などの観点から実施したものです。
その中に、「バブル期入社」、「1990年代入社(バブル以降)」、「2000年代入社」に分け、各世代の入職初期(入社した頃)の印象についての設問がありました。
以下の表は、今の30代(2000年代入社)の印象について触れた部分を抜粋したものです。
設問は、同じ列の項目について、どちらの傾向が強いかを回答する形式となっています。
例えば、表中一番上の「自ら考え、行動することができる」⇔「指示されたことをやっている」という設問では、
「自ら考え~」に近い、どちらかといいえば近い、どちらともいえない、どちらかというと「指示された~」に近い、「指示された~」に近い、という形式です。
一例をご紹介すると、表の1項目目は「自ら考え~」に近い+どちらかといえば近いの合計が、6.9%。「指示された~」に近い+どちらかといえば近いの合計が56.0%ということを指しています。
データ結果は「入職初期の印象」なので「今」のことではありませんが、人材育成のご担当者様がお感じになっている「個人差とその割合」、私が現場で受ける印象は、それほど遠くないように見えます。
そして、データを見て考えたことがありました。それは、入職初期(20代前半~半ば)の印象と、現在(30代)で、印象が変わっていないということは、どういうことなのだろう・・・と。
「3つ子の魂100まで」と言いますが、入社した時から人材がそれほど変化していないのだとしたら、どういうことなのでしょうか。「性格は変わらないから」ということなのでしょうか。
2000年代の入社組は、~2007年ぐらいまで景気が緩やかに維持され、多くの組織の中で「成果主義」が浸透して行った時期です。そして、彼らがちょうど30歳になる前後に、金融危機が起き今に至っています。
こうした時代背景の中で、上の人たちが取り組んできたこと、意思決定、そして、彼らにさせてきた仕事や経験、させなかった仕事や経験。その積み重ねが、今の30代の印象に反映されているとしたら。
以上の事をもとに、私は「(今は)自分の枠組みの中で仕事が出来れば十分」と考えている人や「仕事がつまらない」と言っている人の気持ちを変え、新たなことに取り組んでもらうには、色々と知恵を絞る必要があるかもしれないぞ、という思いを深めました。
一方で、今後の人口構成、これからの世の中の動きを見据えた上で、多くの30代が積極的ではないという状況は、積極的に取り組もうとする30代の人たちにとっては、「チャンスしかない」ということなのかもしれません。
今は「仕事がつまらない」と感じている人も、「やりがいがある仕事」は以外に身近にあるかもしれませんよ。
ということで、私は「やり方さえわかれば、ちょっとがんばってみてもいいかな~」という人のお役に立ちたいなーと思っています。
ここからはPRです。弊社では社内で研修などの講師をされる方を対象に、2月3日にセミナーを開催致します。
テーマ:社内講師(インストラクター)レベルアップセミナー
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詳細とお申し込みは、以下のサイトより。
社内講師(インストラクター)レベルアップセミナー
http://www.six-stars.jp/seminar/skillup.html
【参考情報】
独立行政法人労働政策研究・研修機構
調査データ:『入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査』http://www.jil.go.jp/institute/research/2012/097.htm
そのデータは日本マンパワーによる『仕事に関する意識調査』の『仕事に関する悩み』についてのアンケート結果。以下のデータです。(調査年次が2011年ですが、現在研修などで接する各世代からは、同様の印象を得ますので参考とします。)
数値は各年代で分かれていますが、私は「30代」に着目し、30%以上の人が「悩み」と回答した項目に赤枠をつけました。右側の棒グラフは、全体の平均値です。赤枠は、30代が全体よりも高いことを示しています。
さらに、それを多い順に並べます。(全年代で「お給料」の面が最も高いですがそれは外しています)
1.自分自身のやる気・モチベーションが維持できない 42.6%
2.仕事がつまらない・やりがいがない 32.6%
3.自分の適性が分からない 31.8%
4.上司との人間関係 30.2%
この中で特に注目するのは、直属の上司や先輩世代である40代と開きのある2項目。
・「仕事がつまらない・やりがいがない」
・「自分の適性が分からない」
本来、現場の第一線で、徐々に権限も委譲され、自分のやりたいことに取り組める年代になり「仕事が面白い!」と言ってても良さそうな世代の、約3割が「仕事がつまらない」あるいは「この仕事向いてないかも」と、思っているという結果です。
さて、私はこの結果は、組織内の次のような状況も一因と見ています。
1)30代が任される仕事の権限や予算がシュリンクしてきている。
2)失敗できなくなっているので、やりたいことがあっても、確度が優先される。
(やりたいことをやらせてもらえない)
というのは、人材育成のビジネス面でも変化を感じておりまして、以前であれば、担当者レベルでの決済案件も、かなり上のほうまで決済が行くようになっています。それはそれでいいこともありますが、「任せてみる機会」が減っていると感じるのは、私だけでしょうか?
「30代」の育成に力を入れている立場から見ると、「任せてみる機会の減少」は彼らが40代の頃、組織の中で、新しいものを生み出す力や、様々な価値観の人をまとめリードする力の衰退につながるのではないかと危惧しています。
一方で、30代層の「企画力(自分のアイデアを形にする力)」や「リーダーシップ(周囲の理解や協力を得るために粘り強く取り組み、動かす力」は強化が必要だと思う部分もあります。そこで、今後の本ブログでは、「企画力」や「リーダーシップ」などに関わる内容をご紹介していきます。今、心中で「仕事がつまらないな・・・」と思っている人も、仕事を楽しくするきっかけになればと思う次第です。
ここからはPRです。弊社で主催する『組織の未来を担う「30代」の課題と強化の具体策』を、1月27日に開催します。次回の開催は未定です。是非この機会にご参加頂き、自社の人材育成企画にお役立て下さい。
特に、経営者の方のご参加を歓迎いたします。
詳細とお申し込みは、以下のサイトへアクセス下さい。ご参加をお待ちしております!
開催日時:2015年1月27日(火)13:30~16:30
参加費:無料
テーマ:組織の未来を担う「30代」課題と強化の具体策
http://www.six-stars.jp/seminar/workshop.html
【参考情報】
データ引用元:日本マンパワー『仕事に関する意識調査』(2011年12月)
http://www.nipponmanpower.co.jp/cp/evaluate/cc/information/astw2011_report/
※1月23日、一部加筆しました。(加筆部分は以下の部分です。「右側の棒グラフは、全体の平均値です。赤枠は、30代が全体よりも高いことを示しています。」)
]]>10年後の組織のイメージ
10年後の2025年。東京オリンピックも開催され、今の30代が40代になっている頃はどんな社会になっているでしょうか?全く予想もつきませんが、このような議論の中でよく使われるのが、人口ピラミッド図。下図をご覧下さい。2025年の人口動態です。
わかりやすいように、現在の30代の位置に赤枠をつけました。特に注目したのは図の「青い部分」。この部分は「主たる働き手」となる層です。私が図をみて瞬間的に思ったこと。それは、10年後の組織では
・50代、60代のベテラン層が多い
・20代、30代の若手~中堅が少ない
・子育て世代と介護世代が混在
・海外からの人材の活用、または、海外拠点の責任者としての赴任の可能性
・市場から必要とされる商品やサービスが大きく変わる可能性
などです。
現在の30代が置かれている位置づけ
現在の30代層の位置づけとして特徴的なのは、消費世代のボリュームゾーンが、自分達よりも上の世代にあることです。このことから推察されるのは、常に、自分達よりも年上の人たちに対する商品やサービスの開発・提供に主な投資が回り、自分達や自分達より若い世代への投資が控えられる可能性があるということです。
このことを示す1つの考え方として、最近の80年代ブームや、1970年代に流行したアニメや商品が再注目されているのも、今、意思決定に当たっている人が誰かを考えると、わかりやすいのではないでしょうか。
このことから言えることは何か。「自分達がやりたいこと、やってみたいことが、理解されにくい(または、わからなくなっている)世代」だということです。
本来、30代に求められていることは、お客様や取引先に最も近い立場で情報を得て、それを組織にフィードバックし、問題や課題の解決を図るための提案をしていくことです。あるいは、自分がやってみたいこと、やりたいことを提案し、形にしていくことです。また、それが出来る活力があり、失敗もその後の糧となる時期です。
しかし、企業で研修企画のためにお話を伺うと、「上の層は元気があるが、下の層(30代前後)に活力がない」という話がよく出ます。この要因の背景に、上述のことがあるのかもしれません。ただ、実際に30代層と接すると、業務遂行力は非常に高いです。また、問題解決などのテーマで取り組んでもらうと、それぞれに問題意識はあり、その着眼点も鋭いものがあります。一方で、自分の中から沸き起こってくるもの、自分にしかできないこと、自分がやりたいこと、といった「欲」のようなものは薄い様子です。これが、上の人たちからみると「活力がない」と見える要因なのかもしれません。
30代に活力を取り戻す?ために
30代に活力がなくても、それ以上の世代ががんばればいいじゃないか・・・という意見もあるかもしれませんが、私は、国も組織も、30代が夢を持って取り組めていると、魅力が増すように感じています。周囲や自分の経験からも、30代は「可能性に溢れている」と思います。(気力や体力の面も大きな影響があると考えます)その可能性の芽を引き出し育むこと。それが、10年後の社会を見据えたときに、必要な取り組みだと感じています。
それでは、どのように可能性の目を引き出し、育むか。それは、30代で次のことに意識を向け、行動することです。
1.自分の仕事にテーマ(夢・希望・やってみたいこと)を見つけること
2.自分のやりたいことを周囲に伝え、提案(し続けること)と自分のできる範囲でやり始めること
3.社外の人との交流を持つこと
です。
誠ブログをご覧になっている30代であれば、既に取り組んでいらっしゃることでしょう。ですので、諦めずに粘り強く取り組んで欲しいと思います。また、本稿をご覧になった方が、30代の育成に携っている、あるいは、上司というお立場であれば、30代の状況をご理解いただき、出来れば、現在の30代に、1.に関する対話をすること、2.~3.に必要な取り組むきっかけや場をつくって欲しいと思います。また、その取り組みは、成果を期待せずに、投げかけだけで十分です。あとは、任せてみることです。
なお、1.~3.の考え方は、世代を問わない考え方です。今回は、特に意識的に働きかけが必要な層として、30代に焦点をあてました。
30代が、10年かけて色々なことを考え経験できれば、人口動態からは推し測れない、新しい世界が生まれているかもしれません。
それでは、2015年もどうぞ宜しくお願いいたします。
【人材育成に携わる皆様へ、「人材育成ご担当者様ワークショップ」開催のお知らせ】
毎回好評をいただいている、人材育成ご担当者様同士の交流などを兼ねた、ワークショップを開催致します。
テーマ:組織の未来を担う「30代」の課題と強化の具体策
開催日時:2015年1月27日(火)13:30~16:30
開催場所:横浜情報文化センター 7階 小会議室(みなとみらい線 日本大通り 直結)
参加費:無料
詳細は、弊社サイトのご案内をご覧下さい。
http://www.six-stars.jp/seminar/workshop.html
一方で、海外企業は静かに、そして、地道に取り組みを進めているような実感があります。と言うのは、ある化粧品ブランドのサービス体験から、そのことを感じたから。
今回は、海外企業のサービス体験から、オムニチャネルについて考えてみます。
これも1つのオムニチャネル?
女性にとって毎日のお付き合いとなる化粧品。出来れば出費は抑えたいもの。そのため、私は化粧品を、海外旅行に行くときに(あるいは行く人に頼み)免税店で購入していました。
しかし、ここ数年海外に行く機会がなく、人に頼むのも気がひけたことから、「高いなぁ」と思いつつも、百貨店の化粧品売り場に行くことに。
売り場でお目当ての化粧品を購入すると、同時に勧められるのがカードへの登録。登録料は無料。自分の肌に関する情報を登録しておけば、次回からは、その情報を基に対応してもらえることと、DMでお得な情報をいただけるとのこと。(メール登録は極力しないようにしているので、DM登録で対応)
今では、ポイントカードなど、カードがないサービスの方が稀なので、その1つとして受けとめていました。
登録後しばらくして、DMが送られてきました。それは、「バースデイカード」。
バースデイの月は多くの企業から「ハガキ」は送られてきますが、「バースデイカード」はそう多くありません。さらに、そのカードはラグジュアリー感溢れ、「大切にしてもらえている感」があるもの。
カードを開けると「プレゼントをご用意しております。是非ご来店ください」のメッセージが。ちょうど、買わなければならない商品もありお店に足を運んでみると、そこに用意されていたのは、思っていた以上に素敵なプレゼント。
それは、箱に入ったハンドケアのセットと携帯に使えるストラップのアクセサリー。
とてもゴージャスで、バースデイにもらって嬉しいプレゼントでした。
また、お買い物もとてもスムーズ。店員さんが持つハンディ端末には、私の購買履歴やいただいたサンプルの情報が残っているため、「前回と同じので」と伝えれば、すぐに対応してもらえます。さらに、肌質に合った季節ケアのポイントやそれにあわせたサンプルもいただけるので、徐々に「お店でのお買い物が高い」という風に感じなくなりました。
ロイヤルカスタマー扱いは、意外と嬉しい
その後、カード会員であり続けるためには、ある一定以上の購買実績が必要となりました。しかし、その企業のサービスをいたく気に入ったので、自分以外の人に差し上げるものをそこで買うことで、ハードルをクリア。
企業側から見ると、カード登録後、ある一定以上の購入額をラインとして設けることは、オムニチャネルの戦略で言う「ロイヤルカスタマー」への誘引でしょう。
しかし買い手の私は、そのこと以上に「その企業のお客様として扱われたい」という気持ちが強いので、「うまく戦略に乗せられたな~」と思いながらも、「ロイヤルカスタマー」という扱いが嬉しいものでもあるのです。
無機質な戦略を有機的にするものとは?
しかし「大切にされている」と感じられたことは、バースデイカードやプレゼントがあったからだけではありません。やはりそこには、販売員の接客姿勢がモノを言っています。
例えば、「母にクリスマスのプレゼントなので」と言って購入すると、サンプル品をいつもより余分に入れ、丁寧にラッピングをし、「お母様に喜んでいただけるといいですね」と、声をかけて姿が見えなくなるまで見送ってくれる。
このようなことが、ブランドへのロイヤリティをより高めています。
補足情報としては、私が行く百貨店のそのブランドは、土日は混んでいることが多く、時間帯によっては3~4人お客様が並んでいます。同時刻の他のブランドには、それほどお客様が多くないことから見ても、そのブランドの取り組みは奏功していると言えるでしょう。
「がんばり型」オムニチャネル
このような海外ブランドの取り組みがある一方で、日本のオムニチャネルの取り組みは、企業側の「がんばり」に目がいきます。「オムニチャネル」という用語ばかりが先行し、買い手の気持ちに寄り添えていないなぁ、と感じるのは私だけでしょうか?
その一例として、オムニチャネルの話をしていたときに、私の友人が次のような体験を教えてくれました。
「最近、洋服を見にいくと、すぐにスマホで在庫を調べてくれてね。何だか押し付けられているみたいで。ちょっと見たいだけの時に、「在庫をお調べいたしましょうか?」って言われると、引いちゃうのよね」
オムニチャネルで成果を上げる企業に備わる「世界観」
身近な体験を通じて、私は、海外のブランド企業は、「自社の世界観を、お客様により効果的、効率的に演出するために」オムニチャネルに取り組み、日本の企業は、オムニチャネルのために「ビジネスの進め方を変え(ようとし)ている」、このような印象の違いを感じています。
個人的な体験以外の例としては、バーバリーは、オムニチャネル化により成果を上げている企業の1つ。日本企業とのライセンス契約終了も、その戦略推進の中で起こったことのようです。その理由の1つは「世界観」を統一する必要があるためと言われています。この「世界観」というのも、オムニチャネル推進においては、注目しておくポイントかもしれません。
と、海外企業のことばかり、よい面を書き連ねましたが、これから日本企業は、オムニチャネルの推進の仕方によっては、大きなビジネスチャンスが生まれる、と、私は考えています。次回も引き続きオムニチャネルについて考えてみたいと思います。
]]>ある化粧品会社のお話。私はその会社の商品のファンです。そのため年数回、販売員さんに接する機会があります。その際、自分が買おうと思っていたものとは別に、お勧めされた商品をついつい欲しくなるときと、お勧めを受けながら「早くしてくれないかな」と感じるときがあります。なぜそのような違いが生まれるのでしょうか?
そこで、販売員さんの対応を分析してみることにしました。
美容部員Aさんの対応
Aさんは、スラッとした体型の面長の美人です。
商品を眺めている私に、「お探しのものをご用意しましょうか?」と声をかけます。そして、「ご体調はいかがですか?」「今回は、どんな感じにされたいですか?」など、私の状況や希望を聞きながら店内に誘導し、「こちらにおかけください」と席を用意してくれます。
私が必要な商品を伝えると、すばやく準備しながら「お待ちになっている間、最近出たこの商品のご案内をご覧ください。今回は、サンプルをご用意しておきましたので、お渡しする商品と一緒にお入れしておきますね。この商品は、先ほど原田様がご希望されていた、お顔色のトーンをあげてくれるものですので、是非使ってみてください。効果を実感いただけると思うので、楽しみにしてください」と言って、実に嬉しそうに対応してくれます。
そして私は、Aさんお勧めの商品を、すぐに使ってみたくなりました。使ってみると、Aさんが言った通り、確かに自分が求めていたものだと思ったので、数日後に、再度お店に行くことにしたのです。
美容部員Zさんの対応
お店に行くと、その日はAさんは不在。Zさんが対応してくれました。Zさんは、目鼻立ちのはっきりした、モデルさんのような印象の美人です。
Zさんは「今日は何をお探しですか?」と声をかけてくれます。
「以前いただいたサンプルの商品がいただきたいのですが・・・」と伝えると、「わかりました。少々おかけになってお待ち下さい」と席へ案内。そして、名前を確認した上で私の購買履歴を見ながら「こちらの商品だったようですね。お試しになりますか?」と言いつつ準備。お願いすると、手際よく対応してくださった上で「いかがでしょうか?」と一言。
「こちらでお願いします」と伝えると、「こちらはシリーズになっておりまして、この商品を組み合わせて使っていただくと、さらに効果が高められます。ご一緒にいかがでしょうか」と言って、商品を見せてくれます。
私は、内心は(良さそうだな・・・)と思ったものの「考えておきます」と伝えました。
すると「では、サンプルをお入れしておくので、よろしければお試しください」と言い、サンプルを入れてくださったのでした。
そして私は、サンプルをいただいたものの「旅行用に取っておこう」と思い、すぐに使うことはありませんでした。
なぜ、気持ちの違いが生まれたか?
この経験から私は、自分がなぜ、Aさんのお勧めには反応し、Zさんのお勧めには反応しにくかったのかを考えました。
するとそこには、根本的な違いがありました。それは、
・Aさんは、私のことを理解し、対応してくれた
・Zさんは、私が言ったことを理解し、対応してくれた
ということです。
同じ会社で、同じ商品を扱っている美容部員のお二人ですが、ほんの10分前後のコミュニケーションの中で、対応される側は、このような違いを感じ取るんだと気づいたのでした。
職場で「考えておく」と言われた状態を脱出するには?
営業を対象にした研修や、販売員を対象にした研修ではよく「商品ではなく、自分を売れ」といいます。その言葉の背景には、「相手に関心を持つこと」や「思いやりをもって接すること」という意図が含まれています。
「相手への関心」や「思いやり」を表現できていたかどうかでみると、AさんとZさんの対応の違いが、より明確になるのではないでしょうか。
さて、このようなことは、販売現場だけの話ではありません。
上司から依頼されたこと、お客様から依頼されたことでありながら、あまり進展しないことはよくあります。しかし、状況が進展しないのは何か理由があるはずです。
そうした状況の時、相手に関心を持つことや、思いやることが出来ていたかどうかを振り返ってみると、何かが不足していることが多いようです。
もし、「そういえばあの件、進展してなかったな・・・」と、思い当たることがあれば、相手の背景や、相手のご希望など、もう少しコミュニケーションをとって掘り下げてみると、突破口が見つかるかもしれません。
かくいう私も、少々停滞気味の案件があり、その理由がわからないでおりました。それもそのはず、ご提案先とのコミュニケーションが不足していたことに、AさんとZさんの違いを考えることで、気づいたところです。人間「成果」を追い過ぎると、大事なことを見失ってしまいます。なので是非、気をつけてくださいね。
人材育成部門ご担当者様へのご案内
Six Stars Consultingでは、人材育成ご担当者様を対象とした、人材育成ご担当者様同士の交流の機会、ワークショップを開催致します。
【テーマ】ミドル(30代~40代)育成の課題と業績に貢献する人材育成3つの着眼点
【開催日時】2014年8月6日(水)13:30~16:30
【開催場所】東京国際フォーラム
【参加費】無料
【対象】人材育成施策をご検討中の人材育成ご担当者様および経営者様
※コンサルティング会社様、コンサルタントの方のご参加はご遠慮いただいております。
【主催】Six Stars Consulting株式会社
(次世代リーダー育成、チームリーダー育成、30代の現場力強化に取り組んでおります)
【お申し込み方法】下記URLより、内容をご確認いただき「お申し込みページ」よりお願いいたします。
http://www.six-stars.jp/seminar/workshop.html
30代後半からやる気に乱れが・・・
30代後半からでしょうか。ある程度高どまりしていたやる気が、日によって大きく振幅することに気づいたのは。やたら元気な日もあれば、もう何もする気になれず、ネットサーフィンに明け暮れてしまう。そして、ネットサーフィン後は「1日を無駄に過ごしてしまった・・・」と自己嫌悪に陥り、さらに落ち込む。
やる気の振幅に気づいた頃ぐらいから、今度は、身体にも振幅が現れるようになりました。腰痛、神経痛、歯ぐきの炎症など。数日で治るなら問題がないのですが、数週間~1ヶ月超症状が続き「会社に行くのがやっと」という状態の時もありました。
病院で診てもらっても、特に異常なし。唯一考えられる原因は「運動不足」。そう言われても、痛くて運動どころではありません。強めの痛み止めをもらって、症状を抑えるしかない。しかし、それも長期間にわたって飲むのはリスクになるということから、飲む間隔をあけて対応。こうなると「やる気」以前の問題です。
このような症状が、30代後半から40代半の現在に至るまで毎年何かしら出ています。そして、ある時思ったのです。これって更年期の症状なのかもと。それを認めたくない気持ちはありますが「更年期の症状チェック」なるものを見ると、結構当てはまる。「腰痛」「神経痛」などはドンピシャ。どうも、ホルモンのバランスが変わることで起きるよう。
そうか・・・ホルモンバランスかぁ・・・そう思ったのが去年の夏。そして考え方を変えました。やる気をコントロールすることをあきらめよう。それよりも、体の声に従って、体に心地よいことを優先しよう。そのために今取り組んでいるのが、以下の3つの心がけです。
3つの心がけ
1)体調が崩れる前の状態を知り、生活を見直す
私の場合は、大きく体調を崩す時期が6月~9月の夏を挟んだ時期です。その崩しようが半端でなくつらいので、そうならないために、改善に取り組むことにしました。そこで、体調を崩す前にどんな過ごし方をしていたか、振り返ることにしました。すると、つらい症状が出る前の生活習慣には、似たような乱れがあることに気づきました。その乱れとは以下のようなものです。
・仕事が忙しい
・外食が続く
・入浴時間が短い
・飲酒機会が多い
・睡眠が不足している
・室外は暑く、室内は冷房がきいている(上着を羽織っても少し寒いと感じる)
・PC作業など、長時間同じ姿勢でいる
特に、冷えた室内に長い時間同じ姿勢でいる日が続くと、重い腰痛の症状が出るようです。
このことに気づいてから、対策として、空調の風が直接体にあたらないようにし、夏でも温かい飲み物を飲み、忙しくても夜は時間を決めて切り上げるようにしました。
2)意識して体を動かす
お医者様に「運動不足」と言われても、今の生活の中に、ジムに通ったり、毎日走ったりや歩いたり、を取り入れる余裕はありません。そこで、会社の往復時間と、就寝前の15分ほどの時間を活用することにしました。往復時間は、できるだけ、腹筋に力を入れて姿勢よく歩く。就寝前は、ストレッチ。それ以外は、休日に長時間の散歩に出るように、などです。
3)「考えない」時間をつくる
日々、色々な悩みが生まれます。人間関係、家族のこと、業績、お金、健康、将来のことなどなど、きりがありません。私の場合は、1度悩み始めると、ずっとそのことばかり考える傾向があります。しかし、悩んでいて解決するかというと、ほとんどの場合、解決しません。また、その時の考えはあまりポジティブではありません。
ある時、悩んでいる自分とその時間の多さに気づき「ムダだ」と思ったことがありました。さらに、その良くない考えが、体調にも影響しているような気がして「損だ」とも感じました。
以来、悩みがあっても「考えるのを止める」ことにしました。悩んでいることがあれば、「取り組めること」や「行動」をいくつか書き出しておいて、それを書き出したらそれ以上は考えない。そんな工夫をしています。
以上3つのことを心がけたところ、多少の症状は出ても、動けないほどひどい体調不良になることはなくなりました。時折、体調が優れないときもありますが、数日で元に戻る回復力がついています。
そして、回復力がついた頃から、自然と「やる気」は湧いてくるようになりました。
「やる気」はあるのに「やる気があると思ってもらえない」時は?
体調以外の要因として、「やる気」があっても「やる気があるように見てもらえない」ということで悩んでいらっしゃる方がいるかもしれません。その時は、次のことに意識を向けてみてはいかがでしょうか。
キーワードは「自分から」です。自分から挨拶する、自分から報連相する、自分から意見を言う、自分から提案する、自分から早めにメール返信する、などです。その時に、出来れば相手にとって良い印象(例えば笑顔や丁寧な文章表現)であれば、ほとんどの場合「やる気がある」と思ってもらえます。
このように働きかけることが出来れば「やる気」は体調に関係なく伝わることでしょう。
但し、体調がイマイチな時に、ムリをするのは禁物です。早めに上司や周囲に伝え、理解を得ておくことが大事。(部下や後輩からやる気が伝わってこないときは、体調をさりげなく気遣うことも必要。)私の周囲を観察していても、30代後半ぐらいから、徐々にムリがききにくくなる人が増えるようです。
「最近、なんとなくやる気が落ち気味」と感じたら、体調の面にも目を向けてみるといいかもしれません。早めに改善するきっかけになれば幸いです。
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なんでもこのお米、日経BP社の平成8年11月発行の「全国の美味しいお米ベスト10」という記事で3位に選ばれていたり、お料理の専門家からもとても評価されているお米だそうです。
そんな高い評価を受けているのですが、実はこのお米、もしかしたら食べることが出来なくなっていたかもしれないのです。それは、過疎が進んだ上に、作り手が高齢化していたから。平成14年には地域の存続が危ぶまれる「限界集落」といわれた地域で作られているものだからです。
その集落の立て直しを命じられ、過疎化した村を再生したのが公務員の高野誠鮮(たかの じょうせん)氏。高野氏の著書を読んだことから、私は、神子原米や限界集落について知ったのでした。
書籍には、高野氏が地域を立て直すために取り組んだ具体的な過程が描かれており、この本1冊に、ビジネスを再生させるためのアイデアが凝縮しています。特に、技術力に優れた製品を持ちながらも、うまくアピールができていない会社のアピールの着眼点や、伝統工芸や文化など後継者問題に悩んでいる方には、おススメできる本です。
書籍を読み、あまりにも面白かったので、百聞は一見にしかず。行ってみることにしました。
神子原は、能登半島のちょうど真ん中。石川県羽咋市の東部、富山県氷見市のお隣の村です。羽咋市のホームページから、地図を借りてきました。羽咋の位置をご覧ください。(能登半島をデフォルメしすぎな感はありますが)
農家の平均年収87万円という現実
書籍では、農家の人が、家業を継がせられず、結果として若い人たちが村から出ていく理由の1つに、平均所得の低さをあげていました。なんと、平成17年のこの地域の農家の平均所得は87万円だったそうです。この収入では生活が出来ませんよね。
そして、所得が低くならざるを得ない最大の理由は、「農作物の作り手が自分で商品に値段がつけられないことである」と書かれていました。その状況を変えなければならないと。その状況を変えるために、高野氏は、生産・管理・流通のシステムを作る必要があると考え、農家の人たちにその必要性を訴えたそうです。管理・流通のシステムとは、すなわち、自分たちで運営する「直売所」を意味していました。
当時既に、道の駅や村の駅は人気がありました。しかし、金沢から1時間ほどかかる山間部の小さな地域です。人が来るでしょうか?農家の人たちは「無理だ」とずっと反対していたそうです。
しかし高野氏は、地域を再生させるためには、地域の人たちが自立できるようにすることが必要で、そのためにも、収入を上げることが必須。収入を上げるためには「直売しかない」と訴え続けたそうです。その話し合いは数年がかりで進み、最後の1年は話し合いを45回も繰り返し、皆さんが「やってみるか」という気持ちになるまで続いたそうです。
1俵の値段が1万3千円⇒4万2千円になった理由
「できない」と言う農家の人を説得するために、高野氏は、役所で販売実績を作ることにしました。販売するためには、商品の付加価値を高める必要がある。付加価値を高めるために出来ることはないか。そこで思いついたのが「○○さんに食べていただいたいた」という話題づくりです。
当初は、天皇陛下へ献上しようとされていましたが、難しいことがわかり、次に考えたのが神子原を英訳して「the highlands where the son of God dwells」=神の子。神の子→イエス・キリスト→キリスト教で最高に影響力がある人→ローマ法王という発想から、「ローマ法王にお米を食べていただこう!」となり、1通の手紙を書くことからスタートします。それが実績につながります。
ちなみに、ローマ法王に献上されたものは、すべて記録されているそうです。その中で、日本で最初に献上した人。それは、織田信長だそうです。献上品は「BYOBO」=屏風絵で、狩野永徳が描いた「安土城の図」ではないかとのこと。この記録に名を連ねるのは、すごいですね。
このような取り組みが、「神子原米」のブランド化の足がかりとなりました。
予算がなくてもできることー「発想」と「行動」
高野さんは、このブランド化以外にも色んなことに取り組みますが、びっくりするほど少予算で取り組んでいます。かわりに、取り組む上で大事にされたことがありました。それは「発想」と「行動」です。その発想のポイントとしては、一見「マイナス」と思えることを「プラス」にして考えること。例えば、「携帯がつながらない」=「誰にも邪魔されずにじっくりモノを考えられる場所」といった風にです。
また、「可能性の無視は最大の悪策である」という信念です。
このような考え方が、物事を推し進める原動力になったのでした。
さて、次々と取り組みを進めていった結果、少しずつ地域に人が集まるようになりました。そのような積み重ねがあって、ようやく農家の人たちも「やってみよう」ということになって出来たのが「神子の里」(平成19年7月オープン)。
プレハブの小さなお店です。
これが、地域の自立を目指すための「直売所」となるのです。
「神子の里」を訪ねる
写真が「神子の里」です。オープンして数年経っていますが、手入れが行き届いていて、とてもきれいです。夫婦?のタヌキが出迎えてくれました。
私が行った日は、若い男性店員さんが、店頭で売っていた「竹の子」を、店内の一番目につく場所に移動させていました。「どうしたら売れるか」を一生懸命考えていたようです。
また、レジの女性店員2名は、きれいな声で「いらっしゃいませ!」と言ってくださり、それがとてもフレッシュな感じで、オープンしたてなのか?と思えるほどでした。
奇跡の出会い?「おにぎり」ゲット!!
嬉しかったのは、「神子原米」のおにぎりを手に入れられたこと!この写真、わかりづらくて申し訳ありません。あまりにもお腹がすいた時に撮ったので、写真を確認する余裕もありませんでした。塩、梅、昆布のおにぎりです。もちもちとしていて、かつ瑞々しい。看板に偽りなし!炊き立てのご飯だったら、どんなに美味しいのでしょう?
このおにぎりだけで、神子原まで行った甲斐がありました。
野菜も購入。ラディッシュは、1つ1つは不揃いですが、葉にとげとげを感じるほどの元気のよさ。
ほうれん草と小松菜。水洗い前ですがこんなにきれいです。シャキッシャキッでした。ほうれん草は生でいただいても美味しかったです。
「大豆!!」という感じのお豆腐。手造り茶碗豆腐という商品名で、楕円形です。味がしっかりしています。
実際に神子原に行って感じたことがありました。それは「生命力」でした。
直売所で働く人、農作物を作る人、その一人ひとりが一生懸命取り組んでいらっしゃるからか、商品に「生命力」を感じたのです。
「ローマ法王の」という実績から、話題づくりのうまさの方に目がいきますが、商品からは、それ以上のものが感じられました。
最初の動機は「ローマ法王の召し上がったお米を食べてみたい!」というかなりミーハーなものでしたが、現地を訪れて色々なヒントを得ることができました。
また、日本には「神子原」のように、素晴らしい価値を持ちながらも、価値に合った対価が得られずに衰退する産業や地域が想像以上に多いことに気づきました。
今後は、こうした産業や地域のお手伝いなども視野に入れ、自分に出来ることをしていきたいと思ったのでした。
【参考情報】
書籍:ローマ法王に米を食べさせた男 高野誠鮮 著 講談社刊
http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2175916
神子の里:http://mikohara.com/
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