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CM監督からいきなり大作監督、って流行中?

CM監督からいきなり大作監督、って流行中?

平沢 薫

映画ライター、編集者。仕事のためと思って始めたハリウッド・ニュース・ウォッチが気づけば趣味のひとつに?

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 このところ、CM監督からいきなり初監督なのに大作映画に大抜擢される、というケースが目に付く。

 まず、6/15日本公開の「スノーホワイト」のルパート・サンダース監督。ゲーム「halo3」などのCMで賞を総ナメしている監督だが、映画は初めてなのにシャーリーズ・セロンが悪の女王を演じる超大作を監督した。こちらはすでに映画が完成しているが、日本でもグリム童話の新解釈に彼のクールな映像はぴったり。

ルパート・サンダース公式サイト
http://www.rupertsanders.com/

「スノーホワイト」公式ページ
http://snowwhite-movie.jp/


 また、同時期に話題になったのが、マーク・リンシュ監督。こちらは、キアヌー・リーブス主演で忠臣蔵の討ち入りを映画化するユニークな大作「47 RONIN」の監督に。こちらは2013年2月全米公開。この監督のCMもまるで短編小説のようで、映画でどんな世界を見せてくれるのか期待大。ちなみにルパート・サンダース監督は来日したときに「カールのことはよく知ってるよ。お互いによい時期に映画に移れたと思ってる」と言っていた。

「47 RONIN」公式サイト
http://47ronin.jp/

カール・リンシュのCM映像もここに。
http://47ronin.jp/news/


 そして、またもCM監督による大作映画プロジェクトが始動。ワーナー・ブラザースが製作するSF大作「The Wind」にニック・マチュー監督が抜擢されたことが報じられた。脚本は「スパイダーマン」「天使と悪魔」などのベテラン、デビッド・コープ。内容の詳細は明かされていないが、舞台は宇宙の植民地だそうで、ニック・マチュー監督のゲームのCM、Stellar Zenithの宇宙戦争っぽい映像を見ると、映画の雰囲気が予想できるような。マチュー監督はキャディラック Turbulenceの映像でも注目を集めた監督だ。

ニック・マチュー監督「Stellar Zenith」
http://vimeo.com/38942056


 思い起こせば、80年代にMTVが盛り上がったとき、MTVやCMから監督が抜擢されたが、批評家達は彼らを批判することが多く、「CM出身監督は映像が派手だがドラマが撮れない」などと言われていたことがある。しかし、今や大監督となったリドリー・スコットやデヴィッド・フィンチャーもCM出身。ポイントはどこから登場したかよりも、個人の才能であることは明かだ。

 それに今とあの頃とではまったく違うのが、観客を取り巻く映像状況だ。若い観客たちは、スクリーンよりも、CMやビデオゲームの映像に端末で接している時間のほうが圧倒的に長い。なので、CMやビデオゲーム映像の文法に慣れた監督のほうが、彼らに対して効果的な映像を創り出すことができるのではないか。そんな理由から、CM監督が抜擢されているのではないだろうか。

 それともうひとつ。ネットで見られる彼らの広告が、すでに映画の先行宣伝になっているからじゃなかろうか。とりあえず「CM監督が映画に進出」というニュースを見たら、彼らのCMをネットで見るのはカンタン。しかもそれらのCMが魅力的なときは、彼らの撮る映画が楽しみになることは確かだ。