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【iPad】イマジネーションの準備運動の道具にしよう

【iPad】イマジネーションの準備運動の道具にしよう

石井 力重

アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。

当ブログ「力重の「ブレインストーミング考」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/ishiirikie/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。



5分間で、イマジネーションの準備運動をするのに便利な方法を今回は紹介します。

「あー、今日は、アイデア湧かないなあ、、、」という時にはぜひ試してみてください。

まずは、実際にやったもの。

30circles_jissire.PNG


これは「30circles(サーティーサークルズ)」という方法です。

やり方をご紹介します。

  1. まず、iPadに、以下の画像を取り込みます。
    JPG http://ishiirikie.sakura.ne.jp/sblo_files/ishiirikie/image/30circles.jpg

  2. 次に、背景画像の設定できるお絵かきアプリを立ち上げ、背景画像にこの画像を設定します。
    「線の太さ」を書きやすい太さにしておくといいでしょう。
    筆者は、無料アプリ『Doodle Buddy』を使っています。書き味が気持ちいい。

  3. そして、タイマーを用意したら、5分間で出来るだけ、円に線を書き加えて絵を描いていきます。
    「りんご」とか「バスケットボール」といった絵を描いていきます。
    極力、似たものをさけて、多様な絵を描きます。

もとからある円に線を書き加える、という制約が結構いい刺激になります。時間は5分間です。

線を書き込み続けると、途中、苦しんだりもしながらタイマーと追いかけっこ。次第に頭が回り始めます。

全部埋まるまでやり続けて何分で終わるか、計るのもいいでしょう。上の実施例は6分でした。毎回短くなるかといえば、そうでもありません。8分ぐらいかかるときには「あ、今日はやっぱりちょっと調子がさがっているな」と思ったりも。

私はこれをいろんな場面でやります。書斎で文章が出てこない時に、ごろりと寝転んで。またある時は、混雑している新幹線の中で、さっとアイデア出しに集中したいなぁ、という場面で。

30サークルズは、単純なルールで子供でもやれて、しかも具体的に結果(5分間で描けた「個数」、もしくは、30個終わるまでにかかった「時間」)が得られるので結構、集中できます。





長い余談:

私は思うのですが、アスリートと知的生産の仕事は"プロの仕事"という意味では似ていてアスリートのやり方には学ぶところが多いと。

アスリートはいきなり全力疾走せずに、徐々に体を温めます。知的生産にもそれに類するものがあると便利です。イマジネーションの部分については、いくつかの方法があり「30サークルズ」も有効な方法の一つです。

(※ただ、創造技法は、概して個々人の相性があります。ある方には、これではなく他の準備運動が向いている場合もあります。例えば、営業マンの集団では、ビジュアル的なワークよりももっと違うワークの方が喜ばれたりします。この辺、もっと紹介したいことがありますが、長くなりすぎますので、それはまた別の場に。)


以下「30サークルズってなに?」という方に向けて、簡単なやり方を述べます。


30サークルズのやり方

本来、紙とペンのアナログでやる方法です。
  1. A4の紙に、直径3~4センチ程度の円を30個描きます。
  2. その円に、線を書き加えて出来るだけいろんな絵を描きます。似たものだけをだーっと出すのではなく、出来るだけ多様なモチーフを描こうと努力します。
  3. 時間は5分間

ワークショップで大勢で行う場合は、何個かけましたか、とたずねるのですが、時折30個を見事なまでにバラバラのモチーフで描ききる人がいます。(大抵、その後のアイデアワークでも非常に高いパフォーマンスを発揮されます)

また、普段「正解のあること」しかアウトプットしないように要請される環境にいる方は、こういうワークでは戸惑いつつも、5分間ですこし要領を取り戻されるようです。まさに「イマジネーションの準備運動」になる模様。数は7~8個ぐらいだったりしてあまり多くはないですが、当人にとっての効果が大事です。

なお、紙に出力するためのデータが欲しい、という方のためにPDFファイルも用意しました。
http://ishiirikie.sakura.ne.jp/sblo_files/ishiirikie/image/30circles.pdf
(正直に言うと、iPadの画面で書くよりも、やっぱり紙で書くほうが、いいです:笑)


~追記、この技法との出会いについて~

もともとは、友人である瀬尾さん(カヤックの技術者のエースの一人です。ブレストの会議室や、みどりさんを作った人で、IdeaPodの開発も瀬尾さんの力によるところ)に教えてもらいました。

"石井さん、30サークルズって言うのがありますよ"と。

その時に教えていただいたブログがとても参考になります。

30circles:想像することの流暢さと柔軟さを計測する実験
http://blog.kmhr-lab.com/2008/04/30circles.html
(上平崇仁さんの書かれているブログ、08年4月26日の記事)

上平さんの記述によると、Robert H. McKim 氏の"Experiences in Visual Thinking"(1972年)にその原典がある模様。その周囲のリンクをたどると興味深い話題が。気になって Robert H. McKim 氏を調べてみると、スタンフォードの機械工学の教授をされた方のようです。1980年の著書には"Thinking Visually: A Strategy Manual for Problem Solving"という本もあります。中身詳細は不明ですが、TRIZ的な視点からも興味が非常にそそられました。



追記


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