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「アイデアの通せんぼ」を回避しよう
»2010年4月21日
力重の「ブレインストーミング考」
「アイデアの通せんぼ」を回避しよう
アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。
当ブログ「力重の「ブレインストーミング考」」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/ishiirikie/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
ブレストを創ったアレックス・F・オズボーン。
彼の文献を読んでいるとさまざまな示唆があります。
もやもやっと感じていたことを、すばっと、言葉にしてくれていることがあります。
その一つに「アイデアの通せんぼ」という話があります。
これは、自分の頭の中で起こる現象、として言及されています。
かいつまんで説明します
何かについて、アイデアを出すとき、
こういうことを感じませんか?
「これ、誰か既に、考えてそうだな」
「これ、ちょっとつまんないかな」
「実現方法がわからないな。今は出さないでおこう」
これら、駄作(と感じる)アイデアを、
頭の中で却下することで、
アイデアの出口にだんだんと詰まってしまい、
ついには、アイデアが出なくなる。
そういった趣旨のことをオズボーンは言っています。
これ、心当たり、ありませんか?
思いついたものを、
「あ、思いついた、け、、れ、、、ど、、、
う~ん、つまんないかな。じゃ、まあ、
これはやめておいて、他にないかな、、、」
とおもって、却下する。
すると、他のものを探しているときに、
さっき却下した案を再び思いついてしまう。
なんども"発見してしまう"。
で、そのうち、
「だめだ、今日は、どう考えてもいい案が出てこない。
同じことばかり、さっきから考えてるなあ。」
と。
却下したものが多くなると、捨てても捨てても、
また、それを拾ってしまう頻度が上がります。
これ、「暗闇の中で潮干狩り」みたいな作業なんです。
ひろってみる。いらない貝だった。
その、いらない貝を、足元に捨てる。
すると、またそれを拾ってしまう。
そういう状態。
じゃあ、これ、回避するにはどうすればいいの?
というと、処方は、実に簡単です。
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思いついたら、出す。
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ただ、それだけです。
で、その「出す」とは、具体的になにか?
もっとも簡単なのは
「思いついたら、言ってしまう」ことです。
ダダ漏れ的に、ブレストをできるチームは
かなりハッピーです。
通せんぼがあまり起こりません。
しかし、そういうチームばかりじゃありません。
"いくらブレストの場でも、変なアイデアは出すと周囲の目が痛い"
そういう場合もあるでしょう。
そのときはどうするか?
そのときは「思いついたら、紙に書く」のがお勧めです。
手元に、捨ててもいいような紙をたくさんもっておき、
おもいついたら、即座に出してしまいます。
こうすると、効果的に、通せんぼを、回避できます。
紙は、はなから捨てるつもりの、紙がいいです。
なまじっか、ロディアとか、おろしたてのノートとかだと
「変なこと書くのは、もったいない」意識がでてしまいますので、
ミスコピーの裏紙を使うことを、強くお勧めします。
・・・
ブレストをしている時に「さっきからおんなじ事ばかり思いついてしまう」
というときには、頭の中だけで考えていないか?とチェックしてみてください。
捨てる案なら、さっさと書き出してしまって、次の考えが浮かぶ余地を作る。
このほうがずっと効率的です。頭の中だけで、ぐるぐると、考えているよりは。
以上で
今夜の話は終わりなんですが、
ちょっとだけ、余談を続けます。
この作業、できるようになると、
ある感覚が生まれてきます。
それは、
ある一定の数を超えるころになると、いいアイデアが出てくるようになる。
という感覚です。
この一定の数、というのは、人によりますが、
一つの目安は「30個」です。
30個に手が届き始めると、
すこし視界が晴れてくる感覚が、
きっとあるでしょう。
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今日のブレスト・コツ
30個、無駄なアイデアを出す。
却下しないで思いついたら即、書き出す。
そうすると、たいていの場合、
いいアイデアが来そう、という感触が得られる。
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なお、こういうアイデアワークに慣れてくると、
30個よりもずっと少ない数で、そのフェーズに達します。