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『GE式ワークアウト』のウォーミングアップ

『GE式ワークアウト』のウォーミングアップ

石井 力重

アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。

当ブログ「力重の「ブレインストーミング考」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/ishiirikie/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


創造や改革のタウンミーティングを社内でする人々に向けた話です。「GE式ワークアウト」という本の中では、組織的な創造的な展開を解説しています。機能的なアイスブレイクがあります。「このエクササイズはワークアウト・テーマの検討を促し、参加者がオープンな雰囲気の中で創造的に考えられるように導入する」とのこと。

著者らが特に紹介する2つとして

(コラージュ)「各チームに、雑誌やその他の題材を利用してコラージュを作ってもらうのだ。コラージュでは、ワークアウトがかなり成功した場合に自分たちの組織や部門がどう見えるかを表現する。このエクササイズは、自分たちが作り上げられそうなものへの熱意や期待を生み出す」と

(テニスボール)「テニスボールを輪になってパスしていき、プロセスフローを疑似体験するものである。ポイントは途中でテニスボールを増やしていくところで、これは仕事の量の増加を意味する。プロセスフローを再設計して増加した量を扱えるようにしながら、プロセスのリードタイムを劇的に短縮しなければならない。」

が詳しく紹介されています。

特に「P159(図7-3)テニスボールエクササイズの手引き」については、事前に伝えてはいけない所を伏字にして、ざっと紹介します。

「各チームにテニスボール3個、ストップウオッチを1個用意する。このエクササイズを実演する時は、ユーモアと楽しさを忘れずに。ジョークをうまく使えれば、エクササイズの成功は増す。

手順
1.各チームに、テニスボールをトスするために十分な間隔を取って円を作ってもらう。チームの中から2人を選び、1人がボールを拾い、もう1人はタイムキーパーになってもらう。
2.まず1チームと一緒にデモンストレーションする。
 ●ボールは1個だけ使う
 ●ボールを、輪の中の自分が立っている場所と反対側の誰かにトスする
 ●その人に、誰かにトスするように言う。ただし、誰にトスしたかを覚えておいてもらう。
 ●次の人に、まだ誰からもトスされていない人(隣の人は除く)にボールをトスし、その人を覚えておいておくようにしてもらい、同じように続ける。
 ●最後の人にボールが渡ったら、もう一度はじめから、先ほどとまったく同じ順序になるようにトスを続ける。
3.他のチームがあれば、そのチームにも、同じようにボール1個で試してもらう。
4.各チームのタイムキーパーに、その順序でボールが最後までトスし終わるまでにかかった時間を計ってもらう。チームの規模にもよるが、これは通常、8~10秒かかる。
5.参加者に、ボールのやり取りが原料や情報がさまざまな工程である一定の順序に従って通過する「プロセス」を表していることに注目してもらう。
6.さらにこのプロセスで扱う「量」を増やしてもらう。3個のボールを使って、チームはそれぞれの位置のままで、ボールは常に動き続けるように、1つずつ、いつもの順番通りに渡るようにしなければならかい。タイムキーパーは、時間を記録すると同時に、その「質」(ボールを落とさずにどれだけ空中にとどめておけるか)が落ちるかどうかを観察する。
7.各チームに対して、このプロセスを他の条件は何も変えずにボール3個使って行うとして、どれくらいのスピードでできるかを尋ねる。プロセスをより速くよりハードに行うように、しかし必ずしも違ったことをするわけではない、と説明する。
8.次に「同じプロセスをあと1秒早くできる競争相手がいる」と参加者に告げる。すると彼らは、どうすればその競争相手の挑戦に受けてたつことができるかを考え出さなければならなくなる。そこでチームは、並び方を変えたり、あちこち動き回ったりして、ボールを移動させるさまざまな方法を実験し始める(我々が今まで見てきた中で、一番よい方法は、■■■■■■■■■■■にボールを渡す方法である)。
9.各チームが数分間、プロセスのスピードを上げようと楽しい時間を過ごした後で、以下の質問をして、素早くフィードバックを行う。
 ●プロセスを劇的に改善するために何が役立ったか(競合の脅威、チームワーク、革新、プロセス分析など)。
 ●チームがどれくらい協力してできたか。全員がお互いの意見にきちんと耳を傾けたか。
10.ストレッチのある課題に直面し、プロセスを新鮮な目で見て、チームで新しいアイデアを考え出し、素早く試して、結果を改善するという、このエクササイズのプロセスが、どうワークアウトの縮図となっているかについて言及して締めくくる。」

この部分、社内でワークショップをする人にはたぶん想像がつくと思いますが、非常にうまくワークがデザインされています。

この下しの少し前に、実は興味深い「よいアイスブレイクの条件」とでも言うべきものが語られています。

「ワークアウトの初めに実施できるウォーミングアップ・エクササイズは数多くある。一般に以下の基準を満たすエクササイズが望ましい。
●チームメンバーが一緒に何かを行う機会を提供する
●メンバーやファシリテーターが、集団力学や対人関係を素早く把握できる
●革新とチームワークの雰囲気を醸成する
●ワークアウトのテーマに関するアイデアを刺激する
●15~45分程度で素早く実施でき、あまり時間がかからない」

普段、ブレストの前に、ちょっとした雑談「今週何か面白いもの見た?」とか「24時間以内であった良いこと」とかを自然と尋ねるような導入のうまいリーダもいますし、もっと技巧を凝らしたアイスブレイクをしたり、アイテムを持ってきたりするリーダもいます。創造、という要素の強い会議をこれから使用、という時には、上記の5つの点でチェックしてみると、より好ましいものを選ぶことができそうです。

GE式ワークアウトはもう10年近く前に出された本ですが、多分、こういう時期の日本には、きっと必要なんだろうとおもいます。これは石井の私見ですが。