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楽しく復興したい(Fandroid、始まりました)
»2011年6月20日
力重の「ブレインストーミング考」
楽しく復興したい(Fandroid、始まりました)
アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。
当ブログ「力重の「ブレインストーミング考」」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/ishiirikie/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
カヤックさんが一つ、リリースを出しました。
面白法人カヤック仙台支社が協力仙台からAndroidアプリと関連人材の輩出を目指して仙台拠点IT企業団体が「Fandroid EAST JAPAN」を発足
この「ファンドロイド(Fandroid EAST JAPAN)」、実は私が理事長になりました。ITmedia系のブログである誠ブログのブロガーとして、この辺を少しご報告しておきたいと思いまして、筆を執りました。
■震災から一ヶ月、一本のメールが
事の始まりは、一本のメールでした。震災から一ヶ月弱のころ、私が、一時的に避難していた新潟から書斎のある仙台へ戻るために車に荷物を積んでいる時にそのメールは来ました。長い運転の前にメールをチェックしておこうとした時に。
仙台のクリエーターのシェアオフィスTRUNKのメンバーで、映像系クリエータの友人の館内さんからメールが。
仙台を含め、被災地は、経済的な打撃が大きく、地域には復興に向けた需要にシフトしてしまい、仕事が激減するだろう。というものです。
クリエイティブな領域の仕事は、仙台においては、確かに一時的~中期的に仕事が激減するだろうことは、想像に難くありませんでした。
そこで彼が、被災地のクリエータになんとか仕事を持ってこれるようにしたい、という志しを書いていました。
そこで、車に乗る前に、カヤックさんに一本のメールを出しました。こういう男がいるのだけれど、検討をしてもらえないでしょうか、と。これが事の始まり、今への流れが始まった瞬間でした。
■カヤックの柳沢社長、仙台へ
その後は、カヤックさんが何度も仙台に来ていただいて、仙台側のIT団体キーマンが、結集し始めるという動きにつながります。
その辺を少しブログに書きました。
面白法人×仙台
この街のIT団体のリーダたちはそれぞれに知り合いで、しかし、それぞれの独自性を発揮した活動を独立に行っているスタイルでした。今回の件で、そのリーダたちが一つのグループを作ることに。
その活動を、当時、私は側面支援したり、あるいは、外国からの開発受託案件を、仙台のクリエータに引っ張ってくるというコーディネータ活動を担っていたりしました。その設立準備チームが動いている時、私はちょうど全国を4000km出張していて、出先からスカイプで会議に参加してコメントをしていました。(時には、誠ブログのブロガー勉強会のちょうどその時もありました。石井の荷物だけがあって、勉強会に出れなかったのは、この会議が終わらずにいたため。)
その会議、私が発言した「東北人3つの不安」というものがあります。
■東北人が抱える3つの不安
1)企画提案の不安
2)技術対応力の不安
3)営業の不安
従来、東北地方はその特性的に、「企画部分」はすでにどこかがやっており、仕様通りにきちんと高品質に仕上げるような役割をになっていました。その意味は、アイデアを出し、魅力的な企画提案をできるか、不安をもっています。(でもその限りではなく、世界的に活躍する人も実は結構います)。
「技術」、については、かなりの高品質な物を作る技術はあるが、新しい案件に対して、しり込みしがちなところはあります。
「営業」、についてはさらに、下請け型の産業構造を仙台は取ってきているので、業種職種を超えて、割と広く存在する課題です。
これらに打ち手となるように、
2)技術研修を提供しよう
3)国内外の企業からの受託のパイプとしての役目を提供しよう、
という形で、組織の果たすべき動きが見えてきました。
そして1)については、私が、アイデア創出の支援組織の代表であり、これまでもスマートフォンアプリのアイデアワークショップを行ってきた知見を使って、大量に、この街から、アプリアイデアが出るようにしよう、ということで、こんなことを始めました。
アイデア創発分室(カヤック仙台支社内)の「オープンアワー」
こんな活動を展開していきます。
不安を取り払って、どんどん進んでもらえるようにしていきます。
■で、なんで理事長に?
立ち上げメンバーから、就任要請をいただいた時に、3つの意味があったのだろうと思います。
1)未成熟なアイデアや挑戦を重視する人々でありたい。
2)どんどん試し、失敗し、知って、素早く進む人々でありたい。
3)IT団体のリーダの誰かが長になるよりも、バランスが維持しやすい。
こういうことを明確な文章とかで示されたわけではないのですが、立ち上げに参画した皆が掲げた志しや目線の先にあるものをみて、そう感じたこと、なので、あくまでも石井の私見ですが。
1)2)は、アイデアプラントの代表として、醸成してきた文化です。
3)は、運営メンバーは皆IT団体のリーダ。誰が長になってもその団体カラーが出る。それに染まらずに、技術的に中立である石井がいいのでは(というか、石井は技術者ですらない・・・)、ということ部分があったのかもしれません。
結果的には、運営メンバーとして、この仙台のIT団体のリーダ格の集まる組織となりました。そんなこんなで、私が理事長にふさわしい人格かは分かりませんが、お引き受けしました。
■国際会議で話してきました
この組織がどういうことをするのか、昨日仙台で開かれたICTの国際会議でプレゼンしてきました。
10分13秒~15分35秒
(音が出ます。大きいのでご注意ください)
ブレゼンスライドは、こちら
この国際会議には、Androidの会、会長の丸山先生や、
ITmedia オルタナティブブログを書かれている林雅之さん
http://blogs.itmedia.co.jp/business20/2011/06/ict-b7eb.html
も、演者としておいでいただいていました。
■不変と発展
そんな形で、3年後の仙台の元気な技術者・クリエータがいる未来へと加速する装置として、Fandroidが誕生し、走り始めました。
もちろん、アイデアプラント代表としての仕事も従来通り、あるいは、相乗効果を受けてよい一層力強く展開していきます。また、仙台東北は、新しい発展に向かって走り始めました。その意味では、従来のスタイルを変えてでも取り組んでいかなければならないものもありそうです。
復興待ったなし。自分たちで作りながら道を疾走していく。そういう力強さをこの国は必要としています。そのごくごく小さな一部でしかないかもしれませんが、微力ながら、精一杯、今よりもっと明るい未来を作るために、やってみようと思います。
震災からもう100日。しかし、この国の復興、道のりは長く、平坦な道ではないでしょう。今なお、避難所があり、仮設住宅どころか、町の再建の全く目途の立たないエリアなどもあり、一方で、経済的な復興もすごく急ぐべき課題になっています。
険しい道を長く行く。だからこそ、「楽しく復興したい」。そう、思うのです。
(硬めの話はこれきりです。これ以降は、従来通り、アイデア創出の技法や、アイデアワークショップの事、創造する人々の話、などを書いていきます)