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アイデアの選び方【4】

アイデアの選び方【4】

石井 力重

アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。

当ブログ「力重の「ブレインストーミング考」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/ishiirikie/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


今日は京都・東京で仕事をして、仙台に向かう最終の新幹線の中で書いています。自宅着が0時を越えてしまう関係で、毎日更新記録がついに終わってしまいやや悲しいのですが、気を取り直して今日も、書きます。

今日は、アイデアの選び方、第4弾です。
  
ブレストがうまくいって大量のアイデアが出て、
さて、そのあと、アイデアを選択するぞ、というときに
何をするべきでしょうか。
 
今回はもっとも緻密です。
選択だけでなくアイデアの良いところ取りも可能になります。
 
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「Pugh」
 
上位のアイデアの強みを可視化してゆく。

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TRIZ関連(技術開発分野の問題解決)においてよく使われる方法です。
今回は、技術チームが沢山のアイデアを出して、質の高い20個を得た状態を
想定してお話します。ただ、文系的なアイデアの場合にもこれは使えます。

1)評価軸を出し合う

アイデアの選択をする際に、自分が重視したい評価ポイントをあげる。
たとえば「耐久性の高さ」「製造が容易であること」「回転速度が速いこと」など。
重要であるのか迷うものも、出していきます。

2)評価軸トップ3を選ぶ

出し合った評価軸の中で、今回の案件にもっとも適するモノをものを話い
「評価3軸」を決めます。


3)表を書く

縦に
アイデア1
アイデア2
アイデア3
・・・
アイデア20

横に 軸A 軸B 軸C と書きます。

※ この辺までは「○△×法」と同じです
  次が違います。とてもうまいやり方をします。

4)"基準アイデア"を決める

ベストに近かそうなアイデア(厳密にベストでなくてもいい)を
選び基準アイデアとする。仮に"アイデア5"だとします。
アイデア5の右の枠3つに[s][s][s]とかく。

5)基準アイデアと、各アイデアを比較する。

軸Aについてみたときに、アイデア5のA要素よりも、優れているかどうかで
各アイデアを評価していきます。
優れている場合は[+]
劣っている場合は[-]
同じ程度の場合は[s]
とします。

これで、軸Aでの評価がつきます。

同じようにBについても、Cについても実施します。

6)大量消しこみ

この表の中で[-][-][-]がついているアイデアを消しこみます。
最初にベストに近い"アイデア5"を選んでいるため、半分ぐらいのアイデアが消しこまれます。

7)"新しい基準アイデア"を決める

残っているアイデアの中で[+][+][-]のように優秀な成績のものを新しい
基準アイデアにする。仮に"アイデア8"だとします。
アイデア8の右の枠に別の色の文字で[s][s][s]と書きます。

8)同じ事を行う

 ※ 5)~7)
おわると、アイデアは大体数個になっています。
ここまでくると、[+][-][-]や[-][-][+]のように、どれか一つだけが「+」という状態になりがちです。

こうすると、Aに強いアイデア、Bに強いアイデア、Cに強いアイデアがわかります
ここで終えてもいいのですが、もう少し続けます。

9)融合

[+][-][-]と[-][-][+]、といった長所短所が補い合うものを拾い上げて
組み合わせたアイデアを作ります。(簡単ではないですが)。

この方法の良いところは、アイデアの長所短所がはっきりするので
融合できる組み合わせを見つけやすいところです。

・・・

なおTRIZ技法の場合はこの最後の融合を効果的に行います。
TRIZのお話をまだ書いていませんのであまり詳しく表現できませんが
この長所同士の融合案は、TRIZ発明原理の矛盾マトリックスに当てはめて
解決案を発想します。

・・・

こうして最後まで残ったアイデア(と融合したアイデア、これは21、22と新しい番号を付与)
のリストが手に入ります。

最後にもう一度、新しい評価アイデアを選んで回してもいいでしょう。
融合したアイデアはかなり強力ですので、これを基準にすると
極わずかのアイデアが残るだけになります。