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「あの人ニガテだなぁ」を攻略する方法

「あの人ニガテだなぁ」を攻略する方法

岩淺 こまき

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント ヒューマン・スキル講師。さまざまな人と仕事をし「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気づく。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。

当ブログ「明日の私を強くするビジネス元気ワード」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/iwaasakomaki/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


はじめに
 
本ブログでは、某企業の若手社員「私」の"困った""悩んだ"毎日を舞台に、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションのヒントをご紹介します。
 
 「私」は入社3年目の女性社員。学生時代は女子ラクロス部の主将で、基本的には前向きな性格です。仕事にも慣れ自信もついてきた頃ですが、先日希望と違う部署に異動になりました。「私」はややヒューマン・スキルが未熟なこともあり、自分とうまく向き合えず、周囲や仕事とうまくかみ合わず、少々悩み気味です。


 「私」を自分に置き換えてもよし。「私」にアドバイスをするつもりで読んでもよし。「ちょっと試してみようか」と思って頂ければ嬉しいです。それでは本編へGO!
 

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この間から、自分の現状を客観視するために、沢山の人にフィードバックをお願いしている。

そんな中、チームの先輩で、私の苦手な「異様に怖い雰囲気でキツイモノ言いをする人」がいることに気付いた。一度先輩をそんな風に思ってしまうと、フィードバック以外の日常業務においても、その先輩の怖い部分ばかりが目につく。

私は学生時代から、人に不要な威圧感を与える人は苦手なのだ。だから先輩からどんなに良いことを言われていても、怖さや理不尽さが先に立って、気持ち的に受け入れられなくなってしまう。このままではよくないのは分かる。同じチームだから、成果にも関わりそうだ。どうしようか・・・。

 

私:という訳で、ここまでは客観視できてるんですけど・・・

同じ部署だと利害関係があると思って、今回は以前相談した前の部署の先輩に相談を持ちかけた。場所はいつもの会社近くのカフェだ。

先輩:で、結局、相手を受け入れられない気持ちが、表に出るわけだ

私:はい

先輩:どんな風にでるの?

私:うーん、まず何か言われても、怖いしなんでもハイって言いたくなります。反対意見は言えないですね。フィードバック受けても質問なんてできる雰囲気じゃないし、そもそもフィードバックも他の人に求めますね。できるだけ関わりたくないから、たぶん行動もおっかなびっくりになってると思いますし・・・

先輩:あはは、すごく表にでてるよなぁ

笑いながら先輩は、いつもの決めゼリフを言った。

先輩:1つ、感じたこと言ってもいい?

私:はい

先輩:そのままだと、あなたたちの関係は、どんどんどんどん悪い方に転がっていくよね。それは、なんとなくわかってるんでしょう?

私:・・・

先輩:「返報性」って言葉の意味は分かる?

私:教えて下さい

先輩:だいぶ復活してきたねぇ。知らないことを知らない、というのはある程自分に自信がないと難しいからね。

 

一呼吸おいて、先輩は言った。

 

先輩:返報性というのは「人は相手からされた行動を返しやすい傾向がある」ということなんだよね。

例えば誰かから出張のお土産をもらったら、次ぎ自分がどこかに出かけたとき、何か買って帰ろうと思ったりしない?困ったときに助けてもらったら、今度は自分がしてあげなきゃ、と思ったりする。それも返報性が関わってるんだよね

私:なんとなく、分かります

先輩:で、それを踏まえて今のあなたがやってる行動を考えると、どんなお返しが帰ってくると思う?

 

確かに、私の関わり合いたくない行動が伝わって、先輩が余計に私に関わりにくくなっている部分もあると思う。だいたい自分が嫌いな人は相手だって自分のことが嫌いだし、好意や尊敬を示せる相手は自分をかわいがってくれるものだ。

 

私:それは分かりますけど、だったら先輩から私に接しやすい行動を示してくれてもいいんじゃないですか?そしたら私だって応じやすいです

先輩:気付いた方からやればいいんじゃない?待ってたら、いつまで経ってもこのままだよ~。

 

いつも通り先輩は、ハードルの高いことをサラっと言う。

私はちょっとだけ、今までのことを振り返った。怖いからといって目も合わさず挨拶する私に対して、どう思ったろうか。先輩からすれば失礼だなと思うだろうし、私に好かれていないことを感じるのは当たり前だろう。フィードバックを積極的に意見を聞こうとしない私に対し、聞く気がないなら丁寧に教える気持ちになれないのも、当然の結果と言える。

私も先輩から好かれてない、丁寧に教えてもらえないと思って、また萎縮した態度になってしまった・・・。確かに悪循環だ。

 

先輩:まぁ、人の行動を変えようなんてことは、ものすごく時間がかかることだから、すぐそのチーム先輩が変わるのを期待しないで。すぐに諦めないこと。

それにね、怖い、苦手・・・でずっと自分がとりたくない態度でその先輩と関わるのは、苦しくない?だから「自分がこの人とこうありたいなって思える態度を【自分のために】とる」っていうスタンスでも、良いんじゃないのかな。

 

そう言って先輩はコーヒーを飲んだ。

この悪循環を断ち切って、良い循環に変えるのは私から。さて、何からはじめたらよさそうだろうか、はじめること、やめること、つづけることを考えようと思う。


■今日の元気ワード:人の心には「返報性」があることを知っておこう。相手にも自分にも■

こういうことを考えてまで、なんで仕事しないといけないのか、と思うこともあるでしょう。

なぜか、それは仕事だから。人と一緒に仕事してるから。プライベートや責任のない集まりなら、嫌いな人、ニガテな人は疎遠にしても支障がないはず。仕事だからこそ、いろんなこと考えて成果が出せるように関わることを考えなくてはいけないんですね。