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個人と法人の購買プロセス

»2010年10月17日
マーケターの失敗録(T_T)

個人と法人の購買プロセス

瀬戸 和信

瀬戸和信(KAZUNOBU SETO)テクノロジーマーケティング専門家。

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個人向けと法人向け事業の両方を担当している営業、又はマーケターは頭の切り替えが大変です。

ワタシたちは、顧客に自社の商品・サービスを購入していただき、且つ健全な利益を生み出す、という基本理念のもとに毎日がんばっています。この基本理念は個人も法人も同じですが、購買プロセスは全く異なります。

個人の場合、購入する人とお財布からお金を取り出す権限を持った人が同じ場合が多いです。使用するのが張本人なので、絶対に損をしないように、仕様や性能、価格とのバランスを入念に確認します。人によっては、見た目や評判といった部分もあります。これらの意識や記憶の総和をワタシたちは "ブランド" と呼びます。つまり、説得する相手は自分自身です。それかせいぜい家族 (主に嫁) でしょう。

ですので、自分が納得できれば、それでよしです。他人の意見なんぞどうでもよいのです。選定のポイントが最初と違ったり、途中で商品・サービスの方向性を180度変えようが構いません。なぜなら使用する本人が買うからです。純粋に自身の生活に必要だから購入するし、自分の欲求がそれによって満たされればいいのです。

個人的に、この変幻自在な "ブランド" という概念が強い個人向け事業は最も難解な区域です。

一方、法人の場合は購入する人と、お財布からお金を取り出す人が異なります。担当者はまず、その商品・サービスを使用する従業員のこと考えます。そして多少、その担当者も自分の色を出そうとがんばります。でも、その上司、つまりお財布からお金を取り出す権限をもった人は、できる限り自社に導入する商品・サービスによって発生するだろうリスクを回避しようとします。だから担当者は事前にその上司にリスクがないことを順序立てて一生懸命に説明を行います。ようやく担当者とその上司の思いが重なり合ってきたころには、もうその商品・サービスの導入価値がすっかり無くなっていた、なんてことがあります。

もしくはこんな事例もあります。とても素晴らしい商品・サービスの存在に気づいたとします。ワタシは、これは会社のためになると思いました。でも、このクソ忙しい中、上司に説明するのはめんどくさい!と思ってこんな発言をしてしまいます。

"商品・サービスは素晴らしいですね。でも、実は予算が無いんです。だからまた次の機会によろしくお願いします。"

と、こんなことを言う人がいたら、大体の本音が "上司を今から説得するのがめんどくさい" "そんな暇はない" 等が理由です。ちょっと機転が利く営業、マーケターは、自然に担当者の上司を上手に最初から絡ませていると思います。

これら個人と法人の購買プロセスの違いは、言われれば当然わかります。当たり前ですから。でも、めまぐるしく変化する実務の中においては、なかなか気づいているようで気づいていません。特に、個人向け、法人向け市場の両方を同時に見ているマーケターには。