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ITとファッションで世界を変えたギルトから学ぶ

ITとファッションで世界を変えたギルトから学ぶ

瀬戸 和信

瀬戸和信(KAZUNOBU SETO)テクノロジーマーケティング専門家。

当ブログ「マーケターの失敗録(T_T)」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kazunobuseto/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


今、スタートアップには、人と人の強い絆、実行力、リスクを恐れない勇気が求められます。そういった要素はどう勝ち得たらいいか?答えはこの本から得れるかもしれません。


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わずか3年半で10億ドル(約1000億)の企業評価を得た招待客限定のEコマース会社物語です。日本サイトはこちら

タイトル通り、映画のような刺激的な物語でした。翻訳が優れているのか、実川元子さんの文章にすっかり引き込まれました。

事業を開始するまでの高まる期待感、スーザンCEOを招く案内を社内へ伝えるときの緊張感、これほんとうに実話か!?と疑ってしまうミッキーCEOとのやりとりなど。

消費者視点と経営者視点で読んでいましたが、リスク、アイデア、そしてパートナーを選ぶ際のチェックリストも装備され、実践すべきヒントが多くありました。

以下、5つの軸でメモったものです。あとで見ても思いだせるように捕捉や感想も加えています。

エンジニアリング:
  • 最初の構想から4ヶ月で家族、友人への予行練習までこぎつけたスピード感。
  • 一定の時間帯に数百万人が一斉アクセスしても耐えれるインフラ構築。
  • サイト構築だけに留まらず、柔軟な倉庫管理システムまでを幅広くこなす技術担当者の能力。
  • 招待メールがスパムフォルダへ流れていると知ったときの素早い判断と2段階に分けた処置。
マーケティング:
  • サービス開始前に2万件のメールアドレスを集め、拡散して1万3000人が会員登録した高い率。
  • サービス開始から3年半後には500万人の会員数に増加。内4分の3は口コミによる誘導。
  • 親友に事業コンセプトを1文で説明できるか?そして聞かされた親友はその事業コンセプトを反復できるか?
  • 米国でのバイラルマーケティングは日本ではうまくいかない。日本では個の力がまだ弱い。米国のように物事は人から人へ伝わらない気がする。日本は従来通りメディアから人へ伝わる。
ネットワーキング:
  • 従業員がすぐに、私はどうするべき?これで大丈夫か?とお伺いをたてるようになったら、その従業員教育は失敗している。本来はその決断に対して背中を押して応援してあげること。
  • 資金調達は、サイエンスというよりアート。ある有名な1社が出資を決定すると他社はこう言う。"うちも出資は決めていたんだけどね" 評判とポジション争いによって動くCV業界。
  • 起業家としてある種の無鉄砲な衝動がわき起こったとき(そういう衝動は起業家に必ずわき起こる)パートナーがいればうまく抑制と均衡を働かせることができる。
  • 資金調達から業務運営に至るまで数々の才能が力を合わせたからこそ可能だったこと、多くの人たちが一緒に協力した結果であったこと、会社を創るときに重要なのは、なにより人間関係である。
自分を知る:
  • アドレナリンがわき出るような事業の初期段階でこそ、私は優れた能力を発揮する。
  • 自分の頭の中でまだまとまっていないアイデアを形にしていく仕事こそ私の真骨頂。
  • 私は定常型リーダーではない。大企業で、市場の小幅な動きに合わせて事業を修正したり、業務を微調整したりすることに心血を注ぐタイプのリーダーではない。
おまけ:
  • 地下鉄のプラットフォームで二人の男たちがラベンダーの香りのする洗剤で磨いていた光景が忘れられない(日本で)ほんとうか??
スタートアップでは、アイデアよりも結束できる仲間との実行力のほうが重要です。個人的に一番強く刺さった台詞はこれでした。

"試しにやってみてうまくいくことは実は少ないのだけれど、うまくいったら得るものはとても大きい"

本書は起業したい人向けだけではなく、会社勤めの人にも大いに参考になると思います。