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ヨットで熟睡したいぜ

»2010年9月 8日
旅するヨット

ヨットで熟睡したいぜ

長浜 和也

PC USER編集部員は仮の姿。本業は“一人旅”船長(自称)。伊豆諸島を旅するため、学連経験やクルー修行をすっとばし、いきなりヨットに乗りはじめて早10年。

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 旅するヨットとしては、訪れた土地のうまいものを食いまくる旅もいいけれど、「船の生活を堪能しようぜ」と呼び掛けたい。というわけで、今回は生活に欠かせない「食う寝るところに住むところ」から「ヨットの寝るところ」の話です。

 前回、長さ26フィートという、一般的なサイズのヨット(ソレイユルボン級)のキャビンをちょっと見てもらいましたが、左舷にギャレー(台所)、右舷にテーブルとそれを囲むソファーというレイアウトでした。船のサイズの大小や設計の新旧があれど、基本的にこのソファーがベッドの1つとして使われます。

 ただ、小さな船ではソファーの座面は寝床として使うだけの幅を十分に確保できません。そこで、船の種類によってはテーブルを下げたり、スライド式の座面を伸ばしたりして幅を増やす工夫が施されています。停泊している船では、一番快適に眠れる寝床だけあって、船員の間でこの場所をめぐって争いが起きるとか起きないとか
blog5-1.jpgソレイユルボン級では、テーブルを......

blog5-2.jpgこんな感じで降ろしてクッションを置くと幅広のベッドになる

 この争いに負けた船員が追いやられるのが、ヨットで「クォーターバース」と呼ばれる寝床です。これは、船室後方の両舷(船によっては片舷のみ)に設けられた細長い洞窟のような「穴」。大きな船ではここをドアで仕切られた個室にして「クォーターキャビン」、または「オーナーズルーム」と呼ぶ、船で最も快適な個室にする例も多いですが、「軽自動車1台」の金額で買える古い小型ヨットのほとんどは、クォーターバースになります。

 長く狭い穴のような寝床だけあって、好んで使おうという船員はあまりいません。

blog5-3.jpgうーん、これは"穴"だ

 んが!

 航海中、特に帆走中となると事情が変わってきます。前回も少し触れたように、風を受けて帆走するヨットは傾いて走ります。どのくらい傾くかというと......、

blog5-5.jpg
帆走していると、これが普通だったりしますー!


 これぐらい傾くと、ソファーベッドで寝ていたら、ゴロリンと落ちてしまいますわな。そうならないようにロープで体を固定したり、仕切り板で体を支えたりしますが、どうにも居心地が悪い。そんなとき、穴、というか、土管というか、とにかく、狭いクォーターバースんら、船が傾いても体を自然に支えてくれる。意外と寝心地がいい場所になります。

 エンジンを切って風の力で滑るように進むヨットの船内はとても静かで、船の揺れも相まって熟睡できそう、なんですが、「一人旅」ヨット乗りの私は、航海中に寝るわけにいかず。


 「っきしょぉぉお! 帆走するヨットで熟睡したいぜっ」というのが、目下のところ最大の夢であったりします。

blog5-4.jpg
船の前部にある「フォックスル」は、たいてい物置に。たが、ハッチから風が流れてくるので船で一番涼しい場所だったりする