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今年の夏は、うちわでいくか扇子でいくか。

今年の夏は、うちわでいくか扇子でいくか。

猪口 真

広告制作会社、人材開発コンサルティング会社を経て、2004年株式会社パトス設立。現在同社代表 マーケティング・コンサルタント。

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家電量販店では、節電対策もあって扇風機の売れ行きが好調だというが、日本人としてその前に忘れてはならないのが、うちわと扇子だろう。

非常に手間暇のかかる、「水うちわ」という、商品名からして涼し気なネーミングのうちわづくりに取り組むのは家田紙工だ。

家田紙工のWebサイトによると、船遊びの際に長良川の水につけて扇いだという説話から生まれたというこの水うちわは、通常のうちわのイメージとは全く異なる代物だ。美濃手漉き和紙(雁皮紙)にひたすらこだわり、骨組みから団扇張り、絵付やニス塗りの最終加工まですべて日本の職人さんの手によるものだ。
水に濡れても破れないようにと塗られた透明感あふれるニスは、もちろん天然もので、なんと有名なバイオリン(ストラディバリウス)や、チョコレートにも使われているという。

水のような透明感を持つうちわが送り出す風は、聞いただけで涼しげで、涼をとるためにさまざまな工夫をした先人たちの知恵もうかがい知ることができる。

この贅をつくしたうちわを扇げば、確かな技術に裏打ちされた日本固有の伝統芸を感じ、暑さもどこかへ行ってしまうはず。少し値は張るが今年の夏の注目アイテムだ。

一方、うちわと並ぶ夏の必須アイテムといえば扇子だろう。扇子といえば京都が有名だが、東京江戸川にも伝統工芸品として根強い人気を誇っている江戸扇子がある。
京扇子に比べると、骨が少なくシンプルで力強い印象を与えるこの扇子も、古くからある日本の伝統芸で、節電ともに、日本の職人技術に目を向けることは素晴らしいことだ。
うちわをオンタイムで使用するのは、少しはばかれるが、背広の内ポケットに収まる扇子は、エアコンが28度以上に設定されたオフィス内でかっこうの節電アイテムとして評価されるだろう。

この夏、日本の伝統芸が見直され、復活のきっかけになってほしいものだ。