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オッサンはきちんと若手と向き合えているか★書評『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』

オッサンはきちんと若手と向き合えているか★書評『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』

正林 俊介

中小IT企業を法歴し、SI営業、事業企画、M&Aディール、マーケティングなど様々な職務を経験し現在に至る。

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誰しも皆、生まれた時から、人と関わりあって生きている訳で、様々な教えやら、学びやらを経験しつつ、今の自分があることは間違いない。

そういった意味で『ITマネジャーのための 現場で実践!若手を育てる47のテクニック』の著者である田中淳子さんとは、勉強会や酒席をご一緒させて頂いたりと、僕にとって尊敬する方の一人である。
誠、勝手に「ジュンコ先輩」と呼ばせていただいている。ジュンコ先輩は優し方である、いつもニコニコしている。「機嫌がよい女は良い女」とユーミンがどこかで言っていたけれど、まさしくそれを地でいく方だと密かに思っている。

で、前置きが長くなってしまったけれど本書『ITマネジャーのための 現場で実践!若手を育てる47のテクニック』は長年人材育成に関わってこられたジュンコ先輩のノウハウが分かりやすい言葉で綴られている著書だ。

「テクニック」と題されているけれど、論理構築された人材育成のスキルの教書というよりも「教育現場あるある」という具体的なことを、「これはコーチング」「これはチームビルディング」というように場面に応じたノウハウの教書だと僕は捉えた。そして、それをカテゴリー別に分けて整理されている感じだ。
つまり「47のテクニック」はある一つの概念なり理論から分解された章構成になっている訳ではなく、8章からなる本書構成の中でそれぞれの各項を数えたら47だったことからも、それが言えると思う。
※47の説明はどこか、なぜ47なのか、と思いながら読んでいた僕は読了後に目次を数えてみたのだ。

だから、すんなりと本書の中に入り込めて読みやすい。だって、自分が少なからず経験したり、後輩の育成を任されたら、そんな場面に出会いそうなことが書かれているから。
だからと言って、スキルに関する記述が甘いということではないし、読みごたえがが無いということでは決してない。人材育成の世界ではスタンダードな理論である「ジョハリの窓」であったり「アイスブレイク」「ブレスト」といった手法が、現場の場面を想像させるシチュエーションから分かりやすい言葉で丁寧に解説されているのだ。むしろ読みごたえは十分にあるボリュームと内容だろう。

けれど、本書は決して「ITマネジャーのため」だけのものでも無く、また、「若手を育てるスキル」ばかりが書かれている訳でもない。むしろ、人材育成に携わる方の全てに通用するノウハウばかりだと思うのだ。

というのも、本書ではITに関するテクニカルなことには一切触れていない。むしろ繰り返し表現されているは「教育する側の姿勢」だ。

◇教えられる者の立場や心理を考慮せず、いわゆる上から目線で若手に接してはいないか?

◇あるいは通常業務に重ねられた余計な業務と軽んじてはいないか?

それをある時には、ちょっとした気づきや心遣いを促し、ある時は自らが「教えられていた」ことを示唆しながら、その教える側の姿勢について読者に問うていると感じるのだ。

僕も今年、30代後半に仲間入りしたけれど、こうオッサンになると自分の仕事のやり方、考え方が確立してきて、それはそれで良いのだけれど、だんだんと立場の違う人と同じ目線、公平な気持ちで相対することが出来なくなってしまいがちだ。特に若手社員には自分も気が付かないような、所作をしているんだと思う。

本書ではそれを繰り返し、矯正しようとしていくれるような気がする。

人材育成とは実に曖昧な概念だ。だからこそ、誰もが何かを教えることが出来るし、いつでも教えられることが出来る。教育や成長は若手にだけ求められるものではない。

改めて、背筋が伸びる思いでしたよ、ジュンコ先輩!

<了>

正林俊介

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追記