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ネット選挙と民意

ネット選挙と民意

マイク 丹治

セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。

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ネット選挙が、この参議院議員選挙から認められるようだが、どうも選挙活動におけるインターネットの活用だけが焦点となっていて、それが第一歩なのは良いのだが、事の本質というか、わが国の政治と民意をどうより密接に関連付けるかという視点が落ちているような気がする。

要は、選挙期間中に、候補者や政党からインターネットで呼びかけが出来るかとか、或いは支援者が知人に呼びかけが出来るか、という政治家の側の論理だけが優先されていると感じるのは私だけだろうか?

例えば、二大政党制を目指すとかいうことも、考えてみればそもそも政党員がほとんどいないわが国で意味があるのか?裁判所の無効判決で問題になっている1票の格差問題も、国民主権の問題もさることながら、そもそも参議院と衆議院の選挙がほぼ同じような形になってしまっていることが、大きな課題となっているのはどう考えるか?

それに、マニフェストなどと掛け声は素晴らしいが、結局守られない公約では、そもそも政治家や政党が主権者である国民の意思を反映して、国家運営にかかる立法行動をしているという保証はあるのか?高い歳費をもらい、その地位に連綿として、ただ選挙の結果だけに一喜一憂する政治家に、本当に期待できるのか

ちょうどネットと政治の話を聞いたが、その際に面白いデータを見た。日本の地方議員の報酬が平均で年間863万円で、例えば欧米諸国の10倍以上であるという事実だ。東京都の区議会議員は、大体1000万を超えるはずで、議会があるのは年間4回程度、そして一区当たりの議員数は数十人で、区によっては1000票程度の得票で通るところもあるはず。

つまり、その気になれば(皆がそうだと言うつもりはないが)、殆ど何もせずに1000万の報酬をもらえるようになり、しかも1000人の支援者を常時確保しておけば、その地位を失うことはない、ということだ。これで本当に住民の生活向上のために働けるのか、確信が持てない。

その意味で、正式に決定された?ようだが、行政事業レビューの継続的公開で、国民がその気になれば国の予算の中味を見ることが出来るとか、地方を含めた事業仕分けが公開の下に行われて、論点を国民が見ることが出来るという、ネットを中心とした情報の広がりは評価できる。

また、ネット選挙で、少なくとも政治家側から有権者に対して、より積極的に呼び掛けることで、政治家の資質が問われ、有権者の声が政治家に届くようになることは、いわゆるオープンガバメント、或いは政治のガバナンスという観点からも一つの前進だと考える。

ただ、より根本的に、どうすれば本当に国民により正確な情報が伝わり、これを踏まえた国民の声が政治に反映されるかという点については、選挙制度、選挙のあり方、行政情報の開示、政党のあり方、政治家の数・報酬・職業性など様々な問題が重層的に関連しており、ネット選挙だけで解決できるものではない

一方で、ツイッターという匿名性の意見が、時として無責任な扇動につながることは否定できず、わが国におけるネットリテラシーの成熟もこれからの課題だ。それにつけても、ある意味での代議制民主主義の最大の課題は、政治の仕組みはある意味恩恵を受けている政治家にしか変えられないという矛盾だ