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恥の文化を大事に!

恥の文化を大事に!

マイク 丹治

セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。

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今朝、テレビを見ていて、驚いた。あの、太平洋をヨットで渡ろうとして、漂流したキャスターが、また政治番組でMCとして出演していたからだ。

私自身、彼がヨットに挑戦しようとした経緯、テレビ局との契約関係、事故の経緯、その後の本人の方針など詳しくは全く知らないので、誤解があるかもしれないが、私は、彼がヨットに乗って太平洋横断をするというのは、そんなに長期にわたって仕事を休めるわけもないので、仕事は辞めて一生の夢に挑戦するのだと思っていた

だから、個人としての挑戦は素晴らしいことだし、どうぞ頑張って、と最初は思ったが、その後引き続きこの挑戦がマスコミでも取り上げられるのを見て、要はちょっと変わったことをして、マスコミの関心を煽り、終わったらまたそれを題材に本でも書いて儲けようとするのか、と残念に思っていた。

それが、出発して日もたたないうちに漂流。どうもクジラにぶつかったとかいうことのようで、これは詳細は分からないが、涙を流して救助してくれた方々に御礼をしていたのはテレビで見た。事の経緯は別にして、これで彼は当分の間謹慎でもするつもりで、マスコミからもいなくなるものと当然のように思っていた。

ところがどっこい、またMCの立場でテレビに出演。仕事は辞めたのではないか?では、最初から戻るつもりだったのか?一旦辞めてまた戻るなどというのは、普通の社会ではあり得ないのに、何故それが許されるのか?彼が、政治関連のキャスターとして特段の能力があるとも、或いは優れた知識や卓見を持っているとも全く思えないので、極めて不思議なのだ。

これは以前にもこのブログに書いたが、例えば覚せい剤事件を起こした有名な女優が、何年かしてまた復帰するのを許すのと同じ、或いは彼の方が復帰までの時間が短いだけもっと無茶苦茶なのではないか?自分で夢に挑戦すると言って仕事からいったん離れ、しかもいろいろと経緯はあるとしても巨額の国民の税金で救われ、それが恥ずかしげもなく公開の舞台に簡単に復帰するという神経が理解できない何故マスコミや芸能界はこんなに身内に甘いのか

ましてや、彼は自分の金で太平洋横断を実現するだけの資産を持っているのだから、もはや仕事に戻る必要性も考えられない。とすれば、世の中から姿を消し、少なくとも相応の機関謹慎して、自分を見つめ直した上で、新たな志をもって何かに挑戦すべきではないか?

いつも自分の番組で、政治家や産業界の人間を始めとして、厳しく追及してきたその舌鋒を、今こそ自分に向けて見つめ直す必要があるのではないか?本来日本は抜きんでることを嫌い、逆に人に遅れることを恥じる、恥の文化が基本だと思っている。最近、このマスコミ人にしても、先に述べた女優にしても、そして一旦政権を放り投げてまた還り咲く政治家にしても、この「恥」の精神が見過ごされるようになってきているのではないか?

残念ながら戦後傑出した人物を育てる仕組みを全く失ったわが国において、抜きんでることが不可能とすれば、せめて恥の文化はより深化させていくべきものと思うが、これすら劣化しているとすれば、わが国のどこに明るい明日があるのだろうか?