誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
憲法の問題は国民一人一人がちゃんと考えよう!
マイク丹治の「グローバル・アイ」
憲法の問題は国民一人一人がちゃんと考えよう!
セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。
当ブログ「マイク丹治の「グローバル・アイ」」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/miketan/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
この週末は、墓参りで遅くなったが、先週の憲法に関するシンポジウムについて、一言報告する。
90人弱が参加し、やはり意識ある方々が多かったのか、会場とのやり取りもかなり活発に行われた。議論の開始前に、憲法を読んだことがあるかとの質問に対し、大多数の参加者が手を挙げ、更に自民との改正案を見たことのある人も20-30人はいたようだ。
従って、大きな論点の一つである立憲主義、つまり憲法の持つ国民の権利を守り、国家の権限を制限するという理念を、現代社会においてどう考えるかという点については、少なくとも論点の所在は多くの方々が認識しているようだった。
従って、法の解釈として難しい課題である憲法改正の発議要件にかかる96条の改正問題についても、かなりきちんとした理解がなされていると感じた。
当然のこととして、9条改正や集団的自衛権については、現下の国際情勢を踏まえ、或いは国民の生命を守るという国家の基本的機能を求める趣旨か、これを容認する立場もあれば、そもそも自衛隊自体が違憲であるという立場、或いはこれまでの政府解釈を国民的議論なきまま修正することに対する批判など、様々な見方が提示された。
そして、結論は当然に分かれるのだが、このような議論がされること自体極めて健全だと感じたし、これから政治レベル、国会レベル、政府レベル、マスコミレベルで取り上げられる可能性のあるこれらの様々な課題について、是非国民の一人ひとりが、単なる一般的説明に満足することなく、憲法の文言の一字一句の意味を真剣に考え、将来の結論に向かうことを期待したい。
ちょうど国連の事務総長の歴史認識発言が問題になった。その後釈明がされたようだし、実際の発言は韓国マスコミの取材に対するもので、大部分が韓国語だったとも報道されているので、具体的なニュアンスなどは分からない。
仮に従軍慰安婦とか竹島とか、現実に日韓の間で議論になっている事象に関連してこのような発言をしたのだとすれば、これはマスコミの批判同様、中立的であるべき国連事務総長として不適切だと言わざるを得ない。
また、釈明にあったと言われるように、日本における改憲の動きに対してのものであるとともに、日本だけを名指ししたものではないということだとすれば、これもまた判断は難しいが、一国の改憲に言及したという意味では、不当さは否定できないだろう。
ただ、これは上記のシンポジウムの際にも私は一言述べたのだが、アジア諸国がわが国を見た場合、9条の改正や集団的自衛権に関する現在の議論を踏まえれば、第二次大戦に突入した時に近づいているという不安感を持っても不思議ではないということは、やはり良く念頭に置く必要がある。
ましてや、それが不当であるかどうかというべき論は別にして、現実に日本は相変わらず第二次大戦を経て設立された国際組織である国連においては、敵国条項対象国なのである。このことは、わが国が全力を挙げて解消すべきことではあるが、一方で現在はまだそうである、つまり日本は国際社会の中で過去に戦争を起こした不穏な国家として認識されているということは、残念ながら覚えておく必要がある。
米軍が中国と事を起こすか、米軍が韓国にも駐留しているのだから韓国との紛争には米軍は機能しないのでは、更に言えばそもそも自国を守らない国民を米軍が命をかけて守ってくれるか、という議論はもっともだと思う。
ただ、自国を防衛するために、軍隊を持つ必要があると考えるとすれば、その軍隊は誰の負担もなく国民の命を守ってくれるのではなく、間違いなくわが国も若者の命を危険にさらすことになる、そして第二次大戦で苦しんだ国民の思いを繰り返す可能性が出てくるということは、必ず頭に置いておく必要がある。そしてそのことを含めてきちんとした議論をすべきだと思う。
戦争の世紀と言われた20世紀よりはるかに軍事衝突や国家・民族間の紛争が多い現代社会において、軍備を持たずに自国を守れると考えるのは、妄想にすぎないという主張には十分に説得力がある。だが、だからこそ、今一度世界平和を希求するわが国憲法の意味を改めて考え直し、憲法改正の議論をする一方で、わが国が世界平和にどうすれば貢献できるか、真剣に考えるべきではないだろうか?