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もっと民間の活力を!若者の力を!

もっと民間の活力を!若者の力を!

マイク 丹治

セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。

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貿易赤字が膨らんでいることへの不安が指摘されている。そして、その原因をエネルギー価格などに求め原発再稼働の議論がされるとともに、一方で輸出を増やすための原発輸出や武器輸出が議論される。

だが、これは結局社会が大きく変貌する中で、相変わらずわが国の基盤は製造業であるという幻想に基づくものではないか?既に、産業構造上も第三次産業が過半を占める経済になっており、加えて製造業での優位性もコストの観点から大きく揺らいでいるとすれば、もっと根本的に考えるべきことがあるのではないか?

おもてなしとか、クールジャパンは、確かに一つの例だろう。だが、それは政府が主導で進めるべきものなのか?中国に抜かれたとは言っても、世界三位の経済大国が、自国の利益のために官民談合でことを進めることが世界的に許されるのか?

大事なことは、民間が自らの工夫と努力で道を切り開くことであり、だからこそそれを支援するような社会的インフラの整備が重要ではないか?直接的な支援よりも、例えば社会的コストを安くするとか、事業展開に当たっての様々な問題に対する間接的支援策を講じるとか、更には人材の交流や教育の充実が重要ではないか?

法人税減税も一つの方策だろうが、一方で国家財政が破たんに瀕していることなども考えると、本当にそれだけが唯一の方策なのか、もっと大きな目で見直してみる必要があるのではないか?

ちょうど欧州の小国に来ているが、例えば電車は路線は極めて整備されいるが、掃除はされていない。一方で、駅員は少なく、切符のチェックの仕組みもない。これはキリスト教の精神に依っているのだろうと思うが、わが国では公共交通機関がきれいに整備されている点はもちろん評価できるが、不必要にチェックシステムがあり、不必要なアナウンスがしつこく流れる。

これが、例えば移動のコストを上げていることはないのか?日本人は、教育レベルが高く、助け合いの精神があり、真面目で、加えて「おもてなし」の心がある、と言いながら、実は国民を信用していない仕組みがこのように現存する。もちろんそれには理由があるのだろうが、キセルをするなどの不埒な現象を社会全体としてどう減らすかが、結果として日本の経済力にも影響するのではないか?ちょっと恥ずかしい気がする。

当地で数社の、現地では大きい企業を回ったが、驚かされたのが若者の積極的な対応と、その仕事に関する基礎知識のレベルだ。それぞれ30歳前後だと思うが、入社してから様々な部署を経験させてもらい、今のポジションにいるとのことで、経験ない分野にも関心が高く、また自社の業務内容をよく理解し、それを踏まえてどうすれば更に新たな分野に関わっていけるかということに、目を輝かせて答える。

考えてみれば、わが国も社内教育を重視し、会社が人を育てるという考え方で、研修だけでなく人事異動でも様々な工夫がされていた時代がある。もちろん今でも一部続いていると思うが、あまり日本の若者たちに先に述べたような熱意、自社に対する理解を感じることはない。

確かに、一部の若者たちが、思いを持って一人で海外へ赴き、或いは社会起業を志すという活動をしているのは事実だが、それを支える社会インフラは十分か、或いは企業の中で人を育てる仕組みは機能しているのか?これは何を教えるかというような大学教育の制度や中味の話なのだろうか?

これまでの産業観に基づいた方向性、政府が直接主導する産業成長、大学教育を見直すことによる教育レベルの向上などという、拙速な且つ本質的ではない施策ではなく、より根本的な解決につながる、これからの日本を支える若者の活力を活用し、そして民間レベルのリスクテイクをベースにした方策が、もっと真剣に議論されるべきだし、そのような試みを政府の関与がなくとも、民間企業が積極的に進めていくべきではないか?