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世界を眺める目

世界を眺める目

マイク 丹治

セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。

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この間、NHKの2チャンネルを見ていたら、TEDというプレゼンの番組でザンビア出身のダンビサ・モヨという女性の経済学者がプレゼンをしている場面があった。

彼女は、欧米の民主主義・自由主義という仕組みを前提とした社会は必ずしも唯一無二の社会システムではなく、例えば国家の統制をベースにした中国のシステムも一つの選択肢であり、これが中国の急速なインフラの整備にもつながっている点で、アフリカ圏では中国に対する評価が高いと指摘する。

確かに、わが国を始めとして、欧米型の議会制民主主義は今や国民の意思を国家運営に反映する仕組みとして機能しているとは言えないし、シティやウォールストリートを中心とした金融システムも崩壊している。その意味で、我々が追随すべきものとして推進してきた民主主義、資本主義、自由主義は、必ずしも人類社会において唯一正当なものとは言えないと考えられる。

私自身は、中国を正当化する主張には与したくないが、ただ、バングラデシュやタイなどで起こっている結果としての民主的手法の崩壊や、北アフリカで民主化の動きの後起こっている混乱を見ると、欧米的民主主義がそのままどんな社会にも適用可能ではないと感じる。その意味で、ダンビサ氏が主張する社会システムに対する柔軟な姿勢は極めて重要だと考える。

今週ちょうど世界イスラム経済会議(WIEF)の事務総長が来日しており、政府や財界の方々にお引き合わせをしてきた。その過程で、WIEF側が述べたコメントが印象的だった。

一つは、イスラムというとどうもジハードとか暗いイメージで捉えられるが、WIEFは経済に関するもので、政治的な動きとか宗教的な問題は関係ないので、是非日本企業なども積極的に協力関係を築き、イスラム圏に労働需要を掘り起こすとともに17億人の市場で経済活動を営んで欲しいというもの。

そして、もう一つが、特に日本において「イスラム圏」を一つの文化圏としてとらえ、これとどういう戦略的互恵関係を築くかというアナウンスは今まで一度もされたことがないので、是非それを期待している、というものだ。確かに、例えば中東諸国とは以前より原油輸入などで関係があったし、アジアで言えばマレーシアやインドネシアとは深い国際協力関係がある。

だが、これらのものはあくまで国ごとであり、イスラム圏を一つの文化圏として捉えてのものではない。もちろん同じイスラムと言っても、例えば食材に関するハラル一つとっても、国によって多少の厳しさの違いがあるということなので、国ごとの対応は必要だし、そもそも国家というものが国際社会の単位である以上これは必然ではある。

ただ、文化圏として何が出来るかということを考えるには、やはりこれを一つのものとして捉え理解することも重要だ。日本が事実上無宗教であることが、イスラム圏との親密な関係構築にとって大きな役割を果たすと言えるが、一方で無宗教であるが故にイスラム圏を一つの文化圏と捉えて理解することが妨げられているとすれば、これは反省するべき点かもしれない。