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法律のでき方!
マイク丹治の「グローバル・アイ」
法律のでき方!
セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。
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先週末は、ドタバタしてそのまま出かけたので、遅れて恐縮だが、取り急ぎ簡単に!
あまり一般国民の関心のない話題だが、民法の債権法部分の改正が静かに進んでいる。結構な大改正なのだが、ちょっと話が難しいこともあり、また法務省が、本質と離れた趣旨説明をし、きちんと理解しようとしないマスコミがそれをそのまま鵜呑みにして報道するから、如何にも国民のためになる改正のような簡単な報道だけがされて、そのまま通り過ぎようとしている。
詳細は、このようなブログで書くにはあまりに専門的なので差し控えるが、要は、現実の世の中の動きが法律の規定を超えて変動しているから、これを補うためとか、或いは法律の規定でカバーできない位様々な事例が起こって、これを判断した判例が多数できたので、これを規定にしようとか、更には法律の文言が難解なのでこれを平易にしようとか、という改正では、実質的にはないのだ。
ある意味で、これまでの日本の民法の基本的な発想を大きく翻し、新たな理念と思想(どちらかというと元々の原典とも言える大陸法ではなく、英米法)に基づいた新たな体系を作ろうというように見れなくもない。そして、その流れはある意味でウィーン売買条約などの国際的な統一の方向性とも必ずしも整合性を持たない部分もあるものなのだ。
その上、様々な議論がある中、ただひたすら改正への道をひた走り、更には当初の中間段階の整理と比べて大幅な変更があるにも関わらず、その後は一切実業界を始めとした意見を求めることなく、更に言えば審議会での議論すら議事録を明らかにすることなく、突っ走ろうとしている。
全く急ぐ必要もないこの大改正を何故このように国民の声を聞くこともなく拙速で実現しようとするのか?このあたりに、昨今のわが国の法律制度そのものの危うさを感じるのは私だけだろうか?
最近の基本法大改正で評判の悪いのは会社法だ。そもそもあちこちに定義が出てきて、結局どこに何が書いてあるのか分かりにくいという点に加えて、あまりに条文の数も多く、条文自体が長い。何でも法律に書いてしまおうという発想が見て取れる。
だが、法律は多くなればなるほど、国民にとっては分かりにくくなるし、条文が長くなればなるほど、理解しにくくなる。法律で定めるべきことは、出来る限りシンプルで簡潔である必要があるのではないか?それを、会社の形態だけですら、自由度があると言えば聞こえは良いが、何種類か分からない程幅を広げ、結果として複雑怪奇なものにした。
そして、今度は、我々国民の社会生活のインフラとも言うべき民法の改正だ。この流れを作ったのは、今の最高裁長官の寺田氏が、まだ法務省にいた時代だ。そして、米国の圧力を受けて、委員会等設置会社の制度を作り、更には会社法改正を実現し、そして今度は債権法改正。
だが、これらの改正は本当にわが国を良くするものなのか?既に米国においては様々な見直しがされている会社の内部統制やコンプライアンスについて、そのことを不要だとは言わないが、20年遅れで日本が単純に追随することに意味があるのか?そして、同じ流れで債権法を国民的議論がないまま改正して良いのか?
せめて、マスコミは法務省の大本営発表をそのまま鵜呑みにするのではなく、反対する学者が指摘する項目だけでも、少しは勉強をして報道をして欲しい。役所が言ったことをそのまま書くのは、子供でもできる。あまりに稚拙な報道と、あまりに拙速で唯我独尊な改正は、さすがに糾弾されるべきだと思う。少し立ち止まって、皆で良く考えてみるくらいの時間はあるのではないか?