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現政権は本当に民意の賛同を得たのか?
マイク丹治の「グローバル・アイ」
現政権は本当に民意の賛同を得たのか?
セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。
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衆議院選挙が終わり、議席数で言う限り与党の圧勝に終わった。そして、これを基盤として、総理は憲法改正に突き進むかのようだ。
その中味はもちろんまだ不明だが、報道によれば、まずは大規模災害などの際に、内閣に国民の権利を制限するなどの強大な権限を与える緊急事態条項や、環境権の制定などが、想定されているようだ。
確かに、神戸や東北の大震災を思い起こせば、政府がこれらに対する対策を緊急に実施できることが望ましいように感じるのは自然だと思う。だが、自民党の草案を見れば、その三つある要件の一つに、「内乱等による社会秩序の混乱」という不明確な言葉が記されており、その広範な適用の危険を感じる。
また、自民党草案によれば、法律への委任や内閣の強力な政令制定権が記載されており、これに現政権の集団的自衛権強行突破の進め方を重ね合わせると、戦前の治安警察法、治安維持法の影が見えてくる。
もちろん、私も憲法改正に全面的に反対するつもりはない。9条にしても、いつまでも他国が守ってくれるという能天気な意識に依存し続けるのではなく、自国を防衛するための軍備を持つべきではとの議論は意味あると思うので、きちんと議論すれば良いし、地方主権についてはより積極的に推進すべきだと考える。
しかし、そもそも憲法を尊重せずに集団的自衛権を政府解釈で認めてしまうような政権が、憲法改正を進めるに相応しいのか?そして、自らの政権を維持するだけの目的で、解散を打つ(つまり以前にも指摘したように、実態的には憲法が想定していない、私に言わせれば違憲の解散)ような政権に、憲法改正を議論する資格があるのか?
この観点で、是非現政権に、肝に銘じてほしいのは、総選挙で勝ったと言っても、実は自民党を支持してくれた有権者は限られているという現実だ。投票率52.7%、小選挙区での得票率48%、比例区では33%。政党の支持率という意味では比例区が適切だとすれば、自民党を支持した人は17%程度ということになる。小選挙区の数値を使っても25%強だ。
もちろん投票しなかった人たちが、どのように考えているかは分からないが、少なくとも投票して自民党に票を入れたいとは思わなかったということだとすれば、上記の計算は一つの目安になる。従って、議席数で与党が3分の2を獲得したからと言って、集団的自衛権を含めて国民の民意として承認されたなどという詭弁を弄するのではなく、逆に謙虚に慎重に議論を進めるべきだと考える。