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世界一のギャンブル大国がカジノはダメ?
マイク丹治の「グローバル・アイ」
世界一のギャンブル大国がカジノはダメ?
セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。
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以前から日本でのカジノ解禁を実現することについて、積極的に賛成してきた。昨年超党派のカジノ議連で基本法案が出来、今国会に上程すべく尽力しているようだ。もちろんこの政局なので、このような法案についてまともな議論が出来るかは分からない。だが、これから益々人口も減り経済的にも基盤が弱体化することが予想される日本にとって、そのもてなしの心を生かした大人の社交場は、美しい自然や伝統ある街並みと相俟って、海外からの観光を大きく伸ばす動力源になるものと信じている。
現在、この法案を議員立法として上程することについて、与野党の中で議論がされていると認識しているが、マスコミを含めてカジノに関しては、引き続き忌避感が強いようだ。確かにギャンブル依存症の問題や青少年への影響は大事な問題だ。だが、カジノをつくることだけがその原因としてクローズアップされるのは理解できない。
まず出てくるのが刑法の賭博罪であり、この例外として公営ギャンブルが公的機関が運営することで厳正に実施されているので、カジノ解禁によって民間がこの分野に参加するとすれば、これは大きな原則の転換であるとされ、更に民間業者の参入にかかる利権化を心配する向きもある。
しかし、考えてみて欲しいのは、パチンコ・パチスロの存在だ。これをギャンブルでないということで政府は主張し続けているが、海外のどこへ行っても日本人以外から見ればこれはギャンブルだ。玉やコインの現金化に景品を絡ませることで、ギャンブルでないというのは極めて日本的ないい加減な論理だ。吉原のど真ん中に警察署があるにもかかわらず、売春は禁止されていると公言するのと同じだ。
そして、パチンコ・パチスロを通じて流れる資金は年間20兆円とも30兆円とも言われる。世界最大のカジノ収益があるマカオのカジノ収入が2-3兆円、ということはカジノの収益率が10%として動いている資金が20-30兆円、とすれば日本はパチンコ・パチスロだけで世界一のギャンブル都市と顔を並べることになる。
加えて、公営ギャンブルの存在。例えば競馬の売り上げは、日本の中央競馬会が2兆5千億で、これだけで世界のどの国より大きい。その他に、地方競馬、オートレース、競輪、競艇など様々な種類があるので、先のパチンコ・パチスロと合わせれば、既に日本は世界一のギャンブル大国なのだ。
そして、そこで既に青少年問題やギャンブル依存症の問題は相応に起こっているはずだが、そもそも日本にはギャンブルはないのだから、どうしてもこの問題は表に出ずにきちんと対応されていないのが現状だ。だとすれば正面からカジノを解禁し、この問題をきちんと国として認識して対応することの方が妥当ではないか?同じ問題は海外でも当然発生しており、これに対する様々な工夫も行われていて、この経験を生かせば良いのだ。
もうひとつ民間が入ると利権化するという点だが、では公営ギャンブルは利権化していないのか?公営ギャンブルが公的機関で運営されていることで、本当にきちんと事業経営がされているかということについて、明確な保証はない。そもそも政府がやれば効率的であるというのが間違いであることは、これまで多くの民営化の中で示されてきているし、逆に公的機関が関わることで利権や癒着が起きているのも皆知っている。
まして、ギャンブルとされていないパチンコ・パチスロは、誰もが知っているように極めて限られた特殊な業界であって、巨額の収益の源泉となっているのに、一部を除いてその財務情報は公開されていない。そしてその利権は警察庁に握られており、外から見て全く実態が分からないのが実情だ。このような公営ギャンブル・パチンコ・パチスロのあり方の方が、よほど不透明で危険なのではないか?
米国の大手カジノのように、公開された超巨大企業が、市場や社外役員を含めた取締役会、監督当局の厳しい監視を受けながら運営する方が、よほど公明正大できちんとしたガバナンスが果たされる。確かに米国流の金融に過度に依存した資本主義には問題があると考えられるが、相変わらず不透明な規制を維持し、幕の陰でコントロールするというやり方は、もはや機能しないし国民に対する背信行為だ。そしてこれを守らんがために反対する動きがあるとすれば、それこそが利権行為なのではないか?