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規制緩和より経済界の発想の転換を!

規制緩和より経済界の発想の転換を!

マイク 丹治

セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。

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どうも毎週末、いろいろと予定が入っていて、あまり時間が取れないが、今週は憲法改正と成長戦略について。

予算委員会での石原議員の質疑は、もちろん彼の持論の展開で、ある意味質疑の意味をなしていなかったが、それなりに意義はあったのでは?国会の場で、哲学論に近い議論がされることは珍しく、内容に対する賛否は別にして、面白かったと感じている。

ところで、憲法改正問題が石原議員の質疑でも出たし、ある意味でマスコミの関心を呼んでいるが、その中で改正手続きについて96条が話題に上っている。要は、憲法を改正するための発議要件を緩和しようというものだが、この条項の改正だけを行うという行為には疑問を感じる。

私自身も、地方自治や自衛権の関連で改憲論者であるが、やはり現在の憲法は石原議員の指摘するような経緯はあるにしても、我々の憲法であると考える。そしてそれは硬性憲法である所以となっている改正のむずかしさの背景にある96条を含めてのもので、国民レベルを含めて、現行の憲法に基づいて、憲法全体の改正に合意が得られることが、96条を含めた改正の原点になるべきだと思う。

その制定に米国の関与があるとは言え、戦後のここまでの日本の発展を支えたのは、憲法にある平和主義や民主主義の精神であり、国民の意思でこれをさらにより良いものに改正していくことは当然として、その前提となる条件だけを緩和する96条改正は、今の国会やマスコミの機能不全と併せて考えると極めて危険と思う。

さて、ところで、様々な成長戦略が議論され、一度は表舞台にあまり登場しなくなった竹中平蔵氏などが登場している。その中で規制緩和が再度の話題に上り、楽天の三木谷氏などがこれを唱えている。

テレビの番組にも、このような方々が多数登場する中で、キャスターのレベルがあまりに低すぎ、そもそも議論が全くかみ合っていないのには苦笑せざるを得なかったが、それはさておいて、今本当に規制緩和だけで効果があるのか?

私も、自由市場主義であるので、不必要な規制や行政の関与は極力排除すべきだと思うし、GDPの大宗が第三次産業になっているわが国において、まだまだ規制が残るこの分野の成長のためには、規制緩和が不可欠だろうというのは理解できる。

ただ、問題は、規制緩和をしても、企業経営者がそもそもリスクを取って新たな市場に挑戦していく気概を持っているか?企業経営者の、質はどうかというものだ?現実に大企業のここまでの内部留保が300兆円銀行に預金されたまま、つまり企業がリスクを取らない状況が続いているのは事実だ。

加えて、従来型の企業ではサラリーマン社長が横行し、新興企業では恐らく欧米以上の収益至上主義が横行している、歪んだ日本の資本主義社会で、規制緩和だけで本当に新たな成長が期待できるのか?

オリンピックにおいて、レスリングが排除されそうになっているが、これがジャパンバッシングかどうかは分からないものの、どうも先日述べた敵国条項を始め、日本が決して世界から手放しで評価されても、大事にもされていない実情を考えると、企業の経営者自身が、もう一度日本の企業の製品やサービスを通じて、どのように消費者にそして世界に貢献するのか、改めて考え直す時ではないか

昨日自民党の国際協力調査会に出ていたが、その中でもそのような議論は出ていた。企業とて、そのよって立つ国が或いは国際社会が安定し、そしてそれぞれの企業のサービスが会社の存在を含めて国際社会を含めた市場に貢献していると認識されることが、その存立の基盤になる

とすれば、収益至上主義で良いはずはないのではないか?同じく昨日ある企業の経営者の方とご一緒したが、その会社は、特殊な装置なのだが、製本保証期間が無期限だと言う。つまり、永遠に壊れたら部品も残していて修理します、というのだ。

そんな話は今まで聞いたことがなかったが、これも一つの差別化要因だと感じる。日本というガラパゴス化した社会で研ぎ澄まされた品質、おもてなし、細やかなサービス、これらをもって今度は世界に出て行ってその経済社会に対して貢献していく、そのような開かれた発想の経営者がもっと出てこない限り、規制緩和はそれこそ格差社会など社会の混乱に結びつくだけのような気がしている。