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チームに必要なのは求心力だけではない

チームに必要なのは求心力だけではない

宮井 弘之

79年生まれ。大手広告会社コンサルティング局所属。近年は、共創力を組織に根付かせるための各種ビジネスソリューションの事業化を推進。著書に『だから最強チームはキャンプを使う』(共著 インプレス社)がある。会議に関する専門資格、会議エキスパート認定試験を主宰。

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 今日は、自分の属する企業やチームの「らしさ」がきちんと共有されていれば、メンバーの営みすべてが、チームの「らしさ」という軸に収束し、「らしさ」を中心に求心力が生まれるのでは。というテーマで書いてみます。

 ここで、「求心力」という言葉の意味を確認しておきましょう。
 広辞苑は(「向心力」と同義である、として)、つぎのように定義しています。

  【求心力】物体が円運動をする時、この円の中心に向かって物体に働く力。

 これは組織やチームの営みにおいては、いわゆる「一丸」の状態をつくる力だと言えます。別の見方をすれば「内向きの力」です。
 
 しかし、企業やチームの発展のためには、同時に外向きの力、つまり「遠心力」も必要なのです。

 では、それをもたらしてくれるのは何か?それは、メンバーの個の力、すなわち、メンバーの「個人のらしさ」です。

 メンバーが自分自身の「らしさ」を生かし、持ち味を発揮して、発展的な広がりを生み出す。その一方で、組織やチームの「らしさ」を軸に、個々の営みを一定の方向に導いていく。大切なのは、この両方のバランスです。
 もし、「組織のらしさ」にだけ重きを置けば、まとまりがあって、チームワークもよく、ビジネスプロジェクトなどは前に進みやすいかも知れません。しかしながら、広がりがなく、ビジネス活動そのものが先細りになってしまうというリスクも生みます。逆に、メンバーの「個人のらしさ」の発揮が先に立ってしまうと、さまざまな新規プロジェクトが生まれるなど、ビジネス展開は発展的になるかも知れませんが、全体としては、組織としてのまとまりのようなものが失われ、空中分解しかねません。

 このバランスが絶妙に保たれ、「個人のらしさ」と「組織のらしさ」がうまくかけ合わされたときに、その組織やチームは、最高のパフォーマンスを発揮します。いわば、「らしさ」と「らしさ」のかけ合わせです。

 組織力やチーム力を本気でアップさせようと思うなら、このかけ合わせのバランス調整に取り組む必要があります。
 バランス調整を行うためには、「個人のらしさ」と「組織のらしさ」の接点を探すことがポイントになります。

 次回は、このバランス調整をどのように行っていくのか、について考えてみたいと思います。