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12/10(金)世田谷一家殺害事件から10年シンポジウム
ニュースを解く読書・別館
12/10(金)世田谷一家殺害事件から10年シンポジウム
ジャーナリスト。1968年東京都出身。科学技術、経済、雇用、教育問題などを軸に活動。著書に『ぼくらの就活戦記』『就活って何だ』(ともに文春新書)、『脳にいい本だけを読みなさい!』『グーグル・アマゾン化する社会』(ともに光文社)、『インターネットは「僕ら」を幸せにしたか?』(アスペクト)、『天才とは何か?』(数研出版)ほか多数。
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20世紀最後の日、自分が何をしていたのか、はっきりとは覚えていない。おそらく遅れがちだった年賀状に追われていたか、やっていなかった掃除をしていたか。そんなところじゃないかと思う。
ただ、夜くらいになって見たニュースには少しく身を固くした記憶はある。同じ世田谷区の上祖師谷で起きた一家殺害事件。静かな年末を飾るにはあまりにむごい事件が報道されていた。当時わたしも同じ世田谷の住民。事件の場所からは近くはなかったものの、決して遠い空の話とは思えなかったからだ。
同事件ではその後の報道にも驚かされた。犯人の行動で不可解で気味の悪いことが次々に判明していったからだ。いったいなぜそんなことを......。当時報道を見ていた人なら、誰でも感じたことだろう。
その後、犯人の衣類や靴などの情報が警察から断続的に公開されたものの、はかばかしい成果には至らず、10年を迎えようとする現在も犯人は捕まっていない。
事件に関係のない人にとっては、あれからもう10年なのか、という感想くらいだろうと思う。私自身、その時間の早さに驚くくらいが精一杯だ。
けれども、事件の遺族にとっては、いまなお事件は決して遠い話ではない。
唐突に、理由もわからず、ひどい方法で身内を殺され、奪い去られた事実。それは、怒り、悲しみ、混乱、恐怖、喪失感、といった感情を引き起こし、心深くに刻まれる。そして、そんなやり場のない思いを抱えて生きていかなければいけない。
もちろん日常生活の場面で、そればかりを背負って生きているわけではない。笑いもするし、喜びもある。けれども、事件で受けた傷は確実に存在するし、それを理解されることは多くはない。傷はなくならないが、受け入れていくしかないと腹を括って歩んでいかなければいけない。また、事件解決の運動のためにメディアにでなければいけないこともあるが、そこで誤解を受けることもある。
犯罪被害の遺族はが抱える問題は、彼らがどのように自身の人生を引き受け、またどのように社会を受け入れるかという自身の問題でもある一方で、社会が彼らをどのように受け入れられるかという社会の問題にもなっている。
そんな考えは、世田谷一家殺害事件で被害者の宮沢泰子さんの姉である入江杏さんに会って気付かされたことだった。
明日12月10日(金)18時〜21時、成城学園の成城ホールで世田谷一家殺害事件から10年を追悼する「ミシュカの森2010」が行われる。
同追悼イベントは二部構成になっており、18時〜19時20分の第一部では、大阪池田小事件(2001年)のご遺族の方が参加した歌や朗読があり、第二部では各界の方を招いたシンポジウム「苦しみ・悲嘆から社会へ」が予定されている。私は入江さんとの縁あって、同シンポジウムの司会をさせてもらうことになった。
ボーナス週の金曜で、忘年会なども多いと思うけれど、犯罪被害者の遺族とはどういうもので、当人や社会はそれをどう乗り越えていくべきなのか、すこしでも関心のある方は参加してもらえたらと思う(入場無料です)。