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2011_01_31「2030年の未来 その4 2030年の科学技術」

2011_01_31「2030年の未来 その4 2030年の科学技術」

森 健

ジャーナリスト。1968年東京都出身。科学技術、経済、雇用、教育問題などを軸に活動。著書に『ぼくらの就活戦記』『就活って何だ』(ともに文春新書)、『脳にいい本だけを読みなさい!』『グーグル・アマゾン化する社会』(ともに光文社)、『インターネットは「僕ら」を幸せにしたか?』(アスペクト)、『天才とは何か?』(数研出版)ほか多数。

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 森 健の『ニュースを解く読書』

     --- Dive Into Books with News ---  2011/01/31 vol.8


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<< CONTENTS >>

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【1】今週のテーマ >>「2030年の未来 その4 2030年の科学技術」

【2】今週の1冊    >>『2030年の科学技術』 未来工学研究所編

  <書名・著者・出版社・定価・amazonリンク>

  <版元による「内容紹介」の引用>

  <目次>

  <要約>

【3】解説と雑感    >>「」

【4】おまけ 

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【1】今週のテーマ 「2030年の未来 その4 あたらない技術予測」

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 昨年末から続けてきた「少子高齢化と人口減少を睨んだ未来」だが、今回

でとりあえずのまとめに踏み込みたい。

 これまでに4冊を紹介してきたが、共通していたのは2030年という20年

後の未来である。この20年間という長さがどれくらいの違いをうみだすか

については、すでにこの期間を歩んできた人ならおわかりだろう。


 いまから20年前の1991年はバブル経済が崩壊しつつあるところで、とは

言っても、まだ世間的には好景気の余韻は広く漂っていた時期だった。しば

しばバブルの象徴的な映像としてテレビで使用されるジュリアナ東京が芝浦

にできたのが1991だったのだから、株価が下がりつつあるとはいえ、世の

中の多くの人は未来に明るいものを見ていたのは間違いない。


 一方で、「1.57ショック」という女性の合計特殊出生率が発表されたのが

前年の1990年だった。その後の下がり方を見れば、この数字でも衝撃は少な

いが、当時は1966年の「ひのえうま」の1.58よりも下がったということで

大きな話題になった。その後1992年に国民生活白書で正式に「少子化」が

使用され、政治議題にも上がっていった。エンゼルプラン(1994年)、改

正育児休業法(1995年)、少子化対策基本方針、新エンゼルプラン(とも

に1999年)など、法改正を含む対策を講じたものの、合計特殊出生率は回

復することはなかった。1973年をピークにした出生数はほぼ一貫して下が

り続けたのである。

 その結果、2030年には人口の3分の1が高齢者となり、2050年には人口

は9000万人を割り込もうとしている。

 要は、20年という時間はそれだけの変化を生み出すだけの時間だというこ

とだ。


 本連載では、元大蔵省の松谷明彦氏、東京大学、三菱総研、ニッセイ基礎

研究所という著者陣から、きたる20年後の未来について、市民生活や産業、

世界動向などに触れ、その変化と対策を参考にしてきた。

 今回最後に扱うのは、『2030年の科学技術』という本。これはちょうど

10年前の2001年に出されたものだ。定価は20000円。同年9月に日本都

市センター会館で行われたシンポジウムの場で購入したものだが、いまでは

全文公開されている。文部科学省が1971年から5年ごとに行っている技術

予測調査だ。

http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/rep071j/idx071j.html


 ちなみにその5年後に発表された調査は、遊べるアーカイブとして下記に

公開されている。

http://jvsc.jst.go.jp/shiryo/yosoku/


 この本の目的は、科学や技術をいくつかの主要分野に分けたうえで、その

分野でどんな科学や技術が「開発」されたり、「実用化」したり、「普及」

するかを、学術関係者、シンクタンクなど企業関係者、評論家などの有識者

が考察・検討したものだ。

 分野は16。「社会・経済ニーズ」を皮切りに、「情報・通信」「エレク

トロニクス」「ライフサイエンス」「保健・医療」「農林水産・食品」など、

科学技術に関係する分野を中心に選択されている。調査課題数は1065もあ

るので、4000名近い専門家の知見を汲んだうえで編集されたものだ。


 本書をあげた理由は、当時どんな課題が重要視されていたのかを知るとと

もにそれらがどれくらいあたっているのかを多少なりとも確認することだ。

 技術立国である日本と言われてきたが、モノづくりのありかたもグローバ

ル化の中で変貌しつつある。だが、それでもなお、新しい技術、新しい知的

産業にこそ、日本が生き抜く道があるだろうし、資源なき国家としてはそれ

しか方策はない。

 ただ、10年前に有識者が考えたことでも、必ずしもあたるとは限らない。

また、それが重要であるかどうかも人によって受け取り方は異なるだろう。


 本書は2030年の科学技術を探るための本だが、今回は議論の種に乗せる

だけであって、2011年のいま、次の2030年を考えるためのテーマ本には

なりえない。

 それでもなお、いま将来を見越して語るときに、未来を語る際のヒントに

なると思う。


 本書は全文をすべて閲覧できるので、細かいところは当該ウェブから各自

で閲覧していただきたい。

 当方では、本書にセットになっていた「概要版」(これはウェブでは公開

されていない)から注意したいポイントだけを指摘したうえで、これまでの

4冊を踏まえた解説と雑感に進みたい。


※以下はfoomiiでお読みいただければ幸いです。