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債権回収は楽ではない。「晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」でなければ商売にならない。
理系博士研究者の一人が考えるビジネスマインドと実践例
債権回収は楽ではない。「晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」でなければ商売にならない。
ポスドク&非常勤講師生活を経て、私立大学の教育・研究職に従事する一方でポスドク時代に不動産投資を開始。職場の行き帰りの生活だけでは極めて危ういことを知るに至り、現在は会社・社会・国に過度に依存しない生き方を少しずつ実践中。
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債権回収は楽ではない。「晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」でなければ商売にならない。
肩書きを明かさず、ピンでどれだけ通用するか。の続きです。
銀行に限らす、金貸し業者は、貸した金額に金利を上乗せして回収し、それで飯を食っているわけですが、ご承知の通り、過払い金の返還によって、消費者金融の経営は一挙に厳しくなりました。その結果、武富士の件が発生したわけです。消費者金融の例で言えば、業者側が債権者で、融資を受けた個人が債務者ということになりますが、
過払い金返還の件に関しては、あべこべに、業者側が債務者、個人が債権者となりました。そこで、武富士が破綻することによって、個人が、債権をとりっぱくれるという事態が発生し、大騒ぎになりました。
ただ、これって、消費者金融側にとっては、個人の自己破産に象徴されるように、日常茶飯事に起きていることであって、債権を回収できないという事態はいくらでも起きていたわけです。それを許しておいて、一方で、立場が逆になったところで、大騒ぎになるというのは、全く筋が通らない話ですね。
武富士が債権者から債務者に変って倒産したことを悪く言うなら、自己破産も責めないと、不公平だと思います。
つまり、自分が債権者になってみて、債権を回収するという業務がどれほど大変なことかがよくわかるのです。つまり、その回収が難しいという前提から、どうして金利が高いのかが容易にわかるというものです。
誠ブロガーの荒木亨二さんが、「農家は自分で値付けができないシステムに組み込まれている」
と書かれていましたが、消費者金融もその部類に属するのかもしれません。
繰り返しになりますが、支払うべき相手に支払わないということは、サラリーマンなら、会社から給料をもらえなくても文句を言ってはいけない ということと全く同じですね。実は、不動産の業界にも同じような、動きがあります。 家賃の滞納に対して、オーナーは、強引な取立てをしてはいけない という法律ができつつあるようです。もちろん、不法に強引なのは許されるべきではないと思いますが、
八百屋さんに行って、大根を買って、支払いは一ヵ月後といって、売ってくれる八百屋さんはいないでしょう。家賃だけそのような理不尽がまかり通る方便はありません。きっと、この法案を通してもいいと思っている方々は、給料がもらえなくてもいいというボランティア精神旺盛な皆さんなのでしょう。
銀行が「晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」というのは当たり前の話で、回収が容易な相手には、安心して融資をできるのに対して、破綻が懸念されるような相手に対しては、早いところ、回収しないと自分が危うくなるということですね。金利というのは、いわば、債務者のお金に対する成績表の裏返しなわけで、業者側が危険な融資だと思えば思うほど、金利が高くなるわけですね。もしくは、融資自体を行わないということですね。
融資という言葉を投資と考えてもいいかもしれません。融資を受けたいと思っているのであれば、自分が投資先としてふさわしいものかどうか、考えてみて、ふさわしいと思えば、融資してくれるかもしれません。その投資先の中身を不透明にしたものが、サブプライムローンの証券化だったのだと思います。これも単純明快で、統計誤差は考えていたが、系統誤差を考えていなかったというだけの話ですね。
P.S. 債権、債務という言葉の使い方は、もしかしたら適切でないかもしれません。ただ、文面で意味は通じると思いますので、ご容赦いただけましたら幸いです。
ここでは、債権の回収というのを、お金を貸した人間が借りた人間から回収する という意味で使わせていただきました。