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増える"ガテン系女子"、頼られる"女性のチカラ"
ヘッドハンターが明かす転職事情ウソ・ホント!?
増える"ガテン系女子"、頼られる"女性のチカラ"
2004年創業の日系ヘッドハンティング会社。代表取締役の兒玉彰をはじめ、大手人材会社出身者が多く、各業界と著名人へのネットワークが豊富。所属する27名のヘッドハンター達が、30~40代を中心としたミドル層へのヘッドハンティングと転職支援を日々実践中。
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東京オリンピック開催が決定してから1年が経過した。ほとんどの日本人は今のところ何ら影響がないだろうが、東京湾岸部では既に変貌が始まっている。晴海や豊洲、有明などの周辺は地価が高騰し、超人気化したこのエリア周辺では、超高層マンションの建設が相次いでいる。オリンピックが開催されるに伴い、これからも日本の建設業界は間違いなく賑わうだろう。そして、その労働力として期待されているのがこの業界で働く女性、言うなれば"ガテン系女子"であることは、まださほど知られていない。
現在、日本の建設現場で働く女性の数は約10万人(※労働力調査:平成24年総務省統計局)だそうだ。そして、2014年から5年間で建設業の現場で働く女性の数を約10万人増員するという目標を国土交通省は掲げている。人手不足を補う為にオリンピックイヤー前年までに女性の労働者数を倍増しようというのが日本の方針なのである。
オリンピックによる建設投資は5000億円以上と言われ、それに伴い人材ニーズも増していく。その数なんと33.5万人と予測するシンクタンクもあるほどで(※東京オリンピックがもたらす雇用インパクト:リクルートワークス研究所より)、他業界に比べダントツで多い。
一方で、近年のこの業界は人手不足にあえいでいる。というのもバブル崩壊から2010年ごろまで日本は建設投資額を抑制して来た為、建設業での就労人口は減少の一途をたどってきた。そこに来て、高度成長期に建設したビルやマンションの維持修繕需要や東北復興需要が発生し、完全な人材不足状態となった。加えてオリンピック需要が生まれたわけなので、ますます人手が足りない状況となってしまったのだ。
そうは言っても、街や道路のインフラは世界中から注目される。オリンピックに関わる建設事業は国家としても威信にかけたプロジェクトなので、人手不足による工事の遅延や低いクオリティでは許されない。そこで、官僚たちが考えた建設業界の人手不足解消法の2枚看板が「外国人労働者の招へい」とこの「女性の活用」である。
建設現場はともかく体力が必要なイメージがあるので、女性の登用なんて一向に進まないと思われがちだが、実際は女性の力を活かせるシーンも多い。例えば、造園やリフォームなど、従来よりも新たな感性や洗練されたデザインセンスが必要な現場や、生活者目線が活きる分野などがそうである。具体的な職種としては、造園・左官・塗装・内装などの従来よりも新たな感性やデザイン性が求められる職種が該当し、実際に女性技能者の活躍が既に進み活躍している。国土交通省はここの領域に目を向けている。つまり、建設現場の技能職の中でも女性の力を活かせる仕事を中心に人手不足を解消していこうという戦略である。
女性の力を建設の現場でも活かせるとなれば、あとは働く環境だ。労働時間の短縮や女性に配慮した作業服や器具の導入など、より突っ込んだ女性への待遇が整ってくれば、ますます登用が進むはずなのである。他の業界に目を向けると同じような動きは、運送業にもある。男性ドライバーの世界に思えたヤマト運輸や佐川急便などは女性の活用を活発化させており、ヤマトに関しては3年で女性社員を5割増やして2万人にするとしている。この女性社員たちは近隣エリアへ簡易的な配送物を自転車で運ぶ。だから、腕力が必要な重い荷物を持ったり、トラックで長距離ドライブするなどの問題は関係が無い。男性有利と思われていた仕事でも、分業や工夫で女性の活用を促している良い前例だ。建設会社においても趣向を凝らせば、新しい女性の働き方が定着するはずである。
ふと思えば、大型バスにも電車の運転士にも女性がいる。先日、乗ったタクシーは女性ドライバーだった。男の仕事というイメージがあったので最初は驚いたが、もはや珍しくない。労働人口が減る一方の日本は、女性の力が頼りである。2020年の東京オリンピックが開催される頃に"ガテン系女子"が今より珍しくない光景になっていたら、女性の活躍が幅広く進んでいる日本となり喜ばしいことだ。(呑田 好和)