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「・・・人間五十年 下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり」
有名な織田信長が好んで演じたという「敦盛」の一節です。
「本能寺の変」にて、当時67歳(!)の明智光秀により葬られた信長は亨年四十九。
このころの平均寿命は50歳と言われていますので、信長はほぼ平均で光秀は長生きだったようです。
死期を悟っていたかのように「敦盛」を好んで舞っていた信長、平均寿命を遥かに超えてなお"自分より超年下の上司"を討たなければならなかった光秀・・・。
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近頃、比較的大きな書店では「終活コーナー」が見受けられるようになりました。
ハードカバーの立派な装丁の「エンディングノート」や壇蜜が表紙を飾る新刊の関係雑誌などが並べられています。
ざっと眺めただけですが、その時を迎える前に家族や友人への想いや過去の想い出や、遺言状ともいえる意思表示、実務的な生命保険証券やその他有価証券、もちろん預貯金の口座などの一覧を記すページもあります。
現時点における「人間五十年」の身として率直に感じるのは、「これらのノートなどがつつがなく書ける方はどのぐらいいるのだろうか」ということです。
立派な装丁で残すには、それなりの中身がないと多分かなり恥ずかしいと感じそうです。
また「実務的な」連絡事項は当然必要ですが、それもきちんと準備していないと意味がありません。
率直に申し上げれば、多少の預貯金や有価証券など財産があり、家族関係や友人関係は良好で、過去にもちろん苦しい時期があったけれど晩年は幸福で、さらに揉めるような不動産など余計な財産などがない高齢者の方が、遠くない死期を悟り、周りの人々や自身の過去を振り返って書くにはとてもいいかもしれません。
しかし、そうでない方にとっては埋める部分が少ないだけでなく、自身の不甲斐なさや準備不足を突き付けられるだけで、あまり書きたくないケースがあるかもしれません。
なぜ、このように感じてしまうのかと言うと、現在の65歳以上の方で、晩年に備えられる生命保険等できちんと老後の準備ができているケースはほとんどないからです。
65歳の方々の生命保険加入適齢期であった30年ほど前は、それこそ国内生保のシェアがほとんどを占め、加入当時利率が良かった終身保険は「転換」によって現在の低い利率に変更させられ、入院の保障は基本65歳で延長しても80歳までで、それをするには数百万円支払う必要がある・・・などなど、きちんと人生の終盤に備えれるものになっているとは言えません。
また共済や会社の保険に頼っていた方々が少なくなく、65歳以降の保障がなくなったり、あってもかなり貧弱になってしまうことになってしまい、それに気付いて60歳を過ぎたころに相談に駆け込んでくる方が増えているようです。
それでは、いつ「終活」やそれに伴う生命保険など検討したり準備すればいいのでしょうか。
ひとつの目安としては40歳、遅くとも50歳ぐらいではないかと思います。
40歳というのは介護保険の被保険者(同時に保険料の負担が発生する)となる年齢であり、家族構成などがある程度固まってくるころです。
遅くとも50歳というのは、生命保険の切り替え(新規加入)などの場合、健康状態も含めてですが、まだまだ様々な打ち手があり、老後に向けての準備ができるラストチャンスになるかもしれない年齢ということです。(もちろん個人差は大いにあります)
何冊かの「エンディングノート」を見てみると、「これまでの一番の想い出」や「家族への(感謝の)メッセージ」など記入する欄があります。
特に昭和男子は、生前には照れくさくて家族に感謝など面と向かってできないのが大多数ですが、この「エンディングノート」をうまく使ってやれれば、という仕掛けなのでしょう。
それはそれとして活用の場はあると思いますが、正味の話し、「想い出」だ、「感謝」だと並べたところで、きちんと遺族が経済的な負担をしないような準備ができていなければ、並べたものは吹っ飛んでしまいかねません。
結果的に充分でなかったとしても<周りに迷惑をかけないような準備する>事は重要であり、ひとりの人間としての義務であると考えます。
ありあまる、までいかないまでも、ある程度の預貯金があればいいのですが、そうでなければ終身保険などは有効な手段になります。
60歳を過ぎて預貯金が充分出ない場合に「葬式代ぐらいは残したい」と思った際、「よし、これから毎月5千円積み立てよう」と思って実行する向きがあると思います。
仮にこの方が70歳で亡くなった場合は60万円貯まっていることになります。
65歳で亡くなった場合は30万円で、62歳で亡くなった場合は12万円です。
これでは少々お葬式代などの「死後の整理資金」には心細いですよね。
「終活」とはエンディグノートを埋めることではなく、それより少し前にきちんと<周りに迷惑をかけないような準備する>が本質ではないかと思います。
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「・・・人間五十年」と謡われた当時とは違い、現在は日本人の平均寿命は80歳に迫ります。
そこでご提案したいのは、信長が亡くなった当時の平均寿命であった50歳前後で「終活」を始めることです。
現在ではまだまだ現役バリバリでありますが、平均的にお子さんがいれば独立して家を出ているケースがあり、親御さんは高齢になっており中には葬儀や介護などの経験をしている方も少なくなく、将来のことをきちんと考えなければいけない状況になります。
光秀のように、超高齢になって一か八か勝負をかけるのも人生ですが、信長のように49歳で「是非に及ばず」と言い切って死ねるわけでもありませんので、やっぱりきちんとした備えは必要だと思います。