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「生保のウラ技」は1回お休みして新聞ネタです。
2月21日の日経新聞の第二部に広告特集として、2012年春卒業予定の全国の大学3年生を対象にした就職希望調査の結果を掲載しています。
(日経就職NAVI 日経就職ガイド)
文理別、男女別などカテゴリー別の発表もありましたが、総合で第一位は東京海上日動火災保険(前年も一位)で、第二位は日本生命保険(前年四位)でした。
志望理由として東京海上日動は、一流である69.8%、規模が大きい65.8%、社会に貢献している56.5%、世の中に影響ある仕事ができる56.2%、安定している54.0%で日本生命については、規模が大きい67.6%、一流である62.0%、社会に貢献している59.2%、安定している58.3%、社風がよい58.3%でした。
東京海上日動については、商品力(生保の東京海上日動あんしん生命を含む)があるのは誰もが認めるところで、業界での存在感もありトップであることは納得がいきます。
しかし日本生命が2位で生保業界ではトップです。
正直これはかなりの驚きでした。
機関投資家として、シンクタンクとして、プロ野球交流戦の冠スポンサーとしての存在感を否定するものではありませんが、商品力や販売手法などを鑑みると二十歳前後の若者が就職したい企業のトップクラスになるのはどうなのでしょうか?
ニッセイを希望した大学生たちが生命保険に加入するなら、間違いなく何の疑いもなくニッセイに加入するはずです。
なぜこんなことを感じるのか、お話しします。
複数の保険会社を扱う乗合代理店で仕事をする際、ニッセイに限らず大手国内生保の商品がいかに提案しづらいか、提案すべきではないかを痛感します。
単純に同じ条件(性別、年齢、保障額や期間)を比べて掛け捨ての定期保険にしても終身保険にしても保険料が3~5割高く、診査のハードルの高く、何より商品内容が分かりづらくいいところがほとんど(全く?)です。
ただ、法人向け商品として一部使えるものがあるので、保険会社のラインアップにいれることがあるのですが、個人保険のパーツにも使えません。
お客様がニッセイの窓口に行って解約の手続きを行ったときに、門前払いされたことがあり、その際当時のニッセイの担当者を通して強烈なクレームを入れたことや、既契約分析の際の資料提供や確認に活用しただけで、保険商品を販売することは極めて厳しい状況でした。
つまりニッセイの商品は、どう引っ繰り返してもアフラックやソニー、オリックス、または損保系生保に太刀打ちできるものは皆無でした。
ニッセイに限りませんが、大手国内生保に加入している人は当然多く、それらは突っ込みどろこ満載で5年経っていようが10年経っていようが、お客様の健康状態に問題がなければ(多少あっても大丈夫なケースもあり)ほぼ100%切り替えることができます。
25歳の時にニッセイに加入して10年経って35歳になれば同じ条件であれば保険料はかなりアップしますが、外資系、カタカナ系、損保系を駆使してプランニングすればほぼ同じ保険料で保障内容をブラッシュアップすることが可能なのです。
そんな状況で、ニッセイをはじめとする大手国内生保を勧めるのは犯罪行為に近いと言っていいかもしれません。
当時のニッセイの担当者の言葉が忘れられません。
「個人保険で他社に適わないのは分かっていますので、法人の案件があったらお願いしますよ」
20年ほど前までであれば、各社の商品、保険料負担に大差がなく(一部外資系がありましたがシェアはかなり小さい状況でした)、どこで加入しても同じなら「規模が大きいところ」「知名度が高いところ」「印象的なCMをやっているところ」または「担当者が1回目の保険料を立て替えてくれるところ(業法違反でばれたらクビ)」「ディズニーランドのパスポートを都合してくれるところ」で生命保険は加入すればいい、という風潮でした。
この就職希望ランキングを見ていると、大学3年生の生命保険に対する考え方は20年前と大差ないと感じざるを得ません。(担当者対応の部分は別ですが)
おそらくこれは氷山の一角で、まだまだ一般的にはニッセイをはじめとする大手国内生保に加入する方がマジョリティで、きちんと取捨選択して生命保険に加入する方はマイノリティであることが判明したわけです。
これだけ様々な情報が氾濫する中、情報に敏感であると思われる若者が旧態依然とした生命保険に対する考え方があり、業界の状況と大きく乖離しているのはかなりショッキングでした。
何十年も前から大手国内生保に加入してある意味惰性で継続している方が多いのは理解していますが、二十歳前後の若者が大手国内生保を支持している状況はかなり違和感があります。
それともまた違った理由があるのでしょうか?
ニッセイには就職したいが、がん保険はアフラックに加入したいのでしょうか?
いくら機関投資家として、シンクタンクとしてなどで社会に貢献があっても、本業の生命保険のところでお客様に対する貢献が著しくなければ、生命保険会社として評価はできません。
中学生ぐらいから生命保険の内容を教えれば、全く違う結果が出ると思います。