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前回の続きです。
明らかに疾病が顕在化している(入院・手術を勧められている)ことを隠して生命保険に加入して、その後入院して保険会社に入院給付金を請求するとどうなってしまうのか、というお話でした。
その際のアクションとしては・・・
1、生命保険加入時の「告知書」に嘘を書く(告知義務違反)
2、当初の病院と異なる病院で診察を受けて、自覚症状が出た時期を保険加入後と申告する (実際は保険加入前)
3、入院となったら上記の病院で診断書を書いてもらって、保険会社に給付金を請求する
以上3点がスムーズに行ってしまうと不当に入院給付金が支払われてしまうことになります。
しかし、実際はそんなに甘いものではありません。
保険会社が「怪しい」と判断した場合、または加入後2年以内(早期事故扱い)の場合は調査が入ります。
つまり診断書だけでは判断せず、その他の裏づけとなる証拠が必要となるのです。
過去の診断履歴や病院が分かれば当時のカルテなど調べるのですが、当然本人の許可がなければ調べることはできません。
診断の履歴など病歴は、個人情報の中でも本籍や性的志向などと並んでセンシティブ情報ですが、保険会社は「これらの裏づけがとれないと給付金はお支払できませんので、検閲の許可をお願いします」と遠慮なく言ってきます。
実際に加入から1ヶ月で入院となったお客様がいて、上記のようなことを保険会社から請求されたことがありました。
当然やましいことは全くなかったので、お客様には丁寧にお話して調査に協力して、このケースでは無事に給付金が支払われたのですが、少々時間はかかりました。
「個人情報保護」を盾に情報開示を拒否することは事実上不可能ですので、下手な小細工はバレると思っていたほうが賢明です。
以前このブログで「60日ルール」と「90日ルール」というふたつの日数についてお話しましたが、今回はこの「2年ルール」ということも覚えておいて下さい。
やましいことがなくとも、加入2年以内の「早期事故」であれば、裏づけ捜査が入ると思っていれば変に不愉快になることもないと思います。
ここまで読んでいただき「それなら2年経てば大丈夫なのね」と感じた方がいたかもしれません。
確かに、保険会社の判断基準が加入後2年経てば緩くなるように見えますが、「怪しい」と判断されれば同じことです。
問診で嘘をつき(自覚症状が出た時期を偽る)、そのお陰で適切な治療を受けられず、入院給付金を請求したら「コクハン」がばれて給付されず、悪質であれば支払った保険料は戻って来ない、という踏んだり蹴ったりになりたい方はいないですねよ。
元ニッセイレディが起こしたとされる「和歌山カレー事件」(最近再審議の動きがあるようですが)。
容疑者の母親も被害者とされていましたが、死亡診断書の日付は生命保険加入から2年と1週間後だったそうです。
単なる偶然だったのでしょうか?