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80歳の生命保険3【先のことはわからない・・への備え】

»2011年9月 2日
生保のトリセツ

80歳の生命保険3【先のことはわからない・・への備え】

しごとにん

10年余り生命保険業に所属し、一社専属の大手国内生保から乗合い代理店、保険ショップ運営を経験。現在は業界から距離を置き、俯瞰できる立場で個別相談や執筆活動を行っております。

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80歳前後でのニーズ・・・死亡保障、医療や介護の保障など生命保険商品が出てくると思いますが、今回はそれ以前に最低限どのような準備をしておくのがいいのか考えてみます。

入院している身内が亡くなったとします。
すると病院から「葬儀する業者さんは決まっていますか?」といきなり聞かれます。
余程慣れていないと、葬儀屋さんの目星を付けたり、見積りを取るなんてできません。

それでも何とか葬儀屋さんまでたどりつくと「宗派はどこですか?お墓はありますか?」と聞かれます。
皆さん、答えられますか?

私は全く「?」です。

先祖代々のお家で暮らしている、または事業を継承している場合は「うちのお墓はここで、将来はお前もここに入るんだぞ」と子供のころから言い聞かされているケースはあると思いますが、田舎から東京に出てきて働き、結婚して家庭を作った場合は自力でお墓を建てる必要が出てくることが十分に考えられます。

死後1年以内に必要とされる費用としては・・・
・病院や介護施設の費用の清算
・葬儀費用(葬儀社、住職へのお布施、戒名等)
・四十九日法要
・お墓や納骨の費用

病院や介護施設の費用、それとお墓に関する費用はかなり状況や個人差がありますが、葬儀費用はある程度の目安はあります。

身内だけで執り行う「家族葬」から大々的な社葬まで幅は広いですが、小規模で身内だけで弔う場合で葬儀社に100万円程度、住職のお布施と足代で30万円程度、戒名は10万円から、と合計で150万円ほどかかるようです。

納骨堂(墓石なし)については初期費用で50万円ぐらいからありますが、その他の費用が不透明なケースもたまにあるようなので注意が必要です。(ランニングコストなど)

当然分譲している墓所と墓石を購入すると数百万円単位の出費となるようです。

つまり「小規模な家族葬」の場合でも200万円程度の費用がかかり、墓石なしの納骨堂から四十九日の法要までの費用は約100万程度になりますから、最低限で考えて併せて約300万円になります。

例えば高齢の夫が80歳前後で亡くなり、5歳年下の妻が残されたとします。
特に不動産による家賃収入などの不労所得はなく、年金だけの生活が今後15年以上続く(平均寿命で考えて)ことを想定すると、少しでも手元にキャッシュは残しておきたいはずです。

そこで終身保険が数百万円でもあれば、手元のキャッシュに手をつけず残されて妻の老後資金は保全できます。

終身保険は大きくはありませんがレバレッジは多少でも利いているので、300万円の死亡保障であれば支払っている金額は概ね200万円以下です。

現金で貯めていれば200万円プラス少々の金利ですが、終身保険は1.5倍から2倍のレバレッジあり、過去からの積み立てで預貯金とは別枠ですので、かなり使えると思います。

また、以前にも書いていますが、終身保険の解約返戻金の8割程度まで無条件で貸付が受けら、利子だけ支払っていれば元本は据置で死亡保険金が発生した際に相殺できるという奥の手が使えますので、入院や介護など生前の費用の「備え」として有効です。

まとめると、80歳の時点で終身保険があればかなり助かるのではないか、ということです。
「今は低金利だから、利率固定の終身保険は意味がない」としたり顔で仰る著名な方が結構いらっしゃいますが、死亡保険金として支払った以上の金額が発生する単純な事実を鑑みれば「意味がない」なんてことはありません。

最終的には同じ終身保険でも、ニッセイのように「医療保険は終身であるが死亡保障は10万円」や元本割れで積み立てて(1万円支払っても9900円しか積み立てられないファンドやアカウント)それを原資にレバレッジが効きづらい高齢(60~70歳ぐらいで支払終了時)になってから一時払い終身保険を買うことになるアカウント型など非効率なものは避けて、なるべく若いうちから回払い(通常の月払いや年払いなど)で加入するのがいいかと思います。

若いうちは「預貯金とは別の口座に将来のために積み立てる」つもりで無理のない負担で終身保険をはじめましょう。

自分のためだけでなく、80歳の時点であなたの回りにいる人たちのためにも。