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なぜ「生保リテラシー」が必要なのか?

»2011年9月13日
生保のトリセツ

なぜ「生保リテラシー」が必要なのか?

しごとにん

10年余り生命保険業に所属し、一社専属の大手国内生保から乗合い代理店、保険ショップ運営を経験。現在は業界から距離を置き、俯瞰できる立場で個別相談や執筆活動を行っております。

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生命保険契約が妥当な形で無駄ながない完璧と思われる内容でできたとしても、それだけではまだ8割の完成度です。

あとの2割は何かというと、その後のメンテナンスに係ってきます。
保険金の請求や解約などは問題ないと思いますが、保障金額の減額や払い済み処理や契約者貸付など理解していなければ充分に活用することはできません。

上記については、当たりまえのことですが、お客様の方から保険会社なり代理店などへ発信しなければ始まりません。
死亡した、入院した・・などは間違いなく保険会社への請求すると思いますが、そのほかのメンテナンスについてはご存じない(または忘れてしまっている)ケースがほとんどです。

分かりやすい例を挙げると、20年前に契約した予定利率が高い(保険料が割安で解約返戻金の利回り高い)終身保険を保険料の負担が厳しくなったので、解約したいと思ったとします。

その際に発生する解約返戻金がどうしても必要であれば止むを得ませんが、ただ単に保険料の負担を抑えたいだけなら解約は極めてもったいない選択です。

金融商品として現状では考えられないような高利回りで貯蓄ができて、死亡保障までついているものはなるべくとっておいた方がいいですよね。

方法としては「減額」は「払い済み」の2つがあります。
「減額」とは保障金額を減らして、それに伴い保険料も減らす方法で、「払い済み」とは保険料の支払いをストップして、それまで積上げた部分(解約返戻金)を原資に保障を維持する方法です。(保障金額は下がります)

どちらも契約は継続するので、夢のような高い予定利率は継続しますのでベストまたはベターの選択になり得ると思います。

気の利いた担当者ならこの2つを勧めるかもしれませんが、「予定利率が高い=保険会社にとって逆ザヤ」という構図があるので、そのまま解約の手続きが進んでしまう可能性があります。

以上は昔加入した終身保険や年金保険などの例ですが、これから加入しようとする際に「生命保険リテラシー」を完璧に近いかたちにするには「メンテナンスを睨んだ初期設定」が極めて重要です。

保障額がいくら、保険料の負担はどのぐらい、など数字については誰でも大事だと考えて(本当に大事なのですが)あれこれ思いを巡らしますが、生命保険の仕組みを理解した上での、将来的なハンドリングについては結果的におざなりになってしまうことが多いです。

実は伝統的国内生保におけるほとんどの商品設計や販売方法は、その部分を巧みについて自社に利益誘導をしています。

誤解を恐れずに言えば、生保リテラシーを捻じ曲げる、または遠ざけることによって「メンテナンスを睨んだ初期設定」をないがしろにして、不当な利益を上げているように見えます。

概ね伝統的国内生保の商品に問題となるものが多いのですが、通販専用で「保険料の負担が少なく合理的」と謳っている中にも見過ごせないものがあります。

次回から「メンテナンスを睨んだ初期設定」について具体的にお話しします。