誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。

保険はギャンブルなのか?~下~

»2011年10月19日
生保のトリセツ

保険はギャンブルなのか?~下~

しごとにん

10年余り生命保険業に所属し、一社専属の大手国内生保から乗合い代理店、保険ショップ運営を経験。現在は業界から距離を置き、俯瞰できる立場で個別相談や執筆活動を行っております。

当ブログ「生保のトリセツ」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/shigotonin/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


前回「保険はギャンブルではない」と言いつつ、後半で「保険はやっぱりギャンブル」と訳のわからないことを言ってしまいました。

保険を合理的に活用すること自体は、ギャンブルと並べて考えることはおかしいのは確かです。
それではなぜ「保険はやっぱりギャンブル」なのかお話します。

保険に関するリテラシーが一般的に低い前提で考えると、活用する保険商品の選択や加入の仕方は何に影響されるでしょうか?

最近はネットや通信販売が増えているようですが、ほとんどが保険募集人(保険を販売する人)から加入します。

特に生命保険で考えると、担当者に大きく影響されます。
扱える保険会社、商品や周辺知識、そして性格など様々なファクターによって提案する内容や商品が全く変わってきます。

一般の消費者の方が、生命保険についてほとんど知識がない状況であるならば、たまたま出逢った保険募集人の営業トークに大きく影響されて、言われたとおりのプランに加入する可能性が高くなります。

多少目端が利く方は、自ら多数社扱う保険ショップに足を運んで「無料の生命保険相談」を受けて、納得したような気持ちになってそのまま加入したりすることもあります。
(一社専属の国内生保などより数倍マシですが、「四十数社の取り扱いだ」と威張っていても、きちんとしたプランニングができるスタッフはかなり限られていて、結局会社側の指示通りのお手盛り販売になるケースが少なくありません。複数社扱っていることで中立性を謳っていますが、その実態はかなり残念な状態です)

そして「ネットは人件費がかからないから安い」と思い込み、それなりに検索して理解したような気持ちになって数回クリックして加入するケースが増えているようです。
(保険料が安いといっても若年層に限られるケースが多く、中高年では非喫煙など健康割引がないなど却って高くつくケースがほとんどです。無駄に高額な大手国内生保に比べれば安いですが)

その他には、紹介や身内が保険の仕事をはじめた、親に勝手に入れられたなどありますが、これらの加入の仕方はすべて大いなるギャンブルです。

つまり、たまたま出逢った担当者や一部媒体(ネットや通販)によって、一生涯を含む長期間に渡る命や健康状態に関するお金という重要事項を委ねてしまうのは、ギャンブルとしか言いようがありません。

極論ですが、誰に(何に)出会うかで、向う数十年もしくは一生涯の生命保険が決まってしまうのです。
「この保険は10年更新で当初の保険料は安く抑えられており、10年後に保険料が上がるときは保障を下げるように見直しができて保険料も上がらないように調整できます」とか何とか言われれば、"へぇ~、生命保険って合理的だな"と思わされてしまいます。

そして、転換やら減額更新やらで継続して、65歳ぐらいまで割高の保険料を支払い続けて、その時点で残っているのは100万円ほどの終身保険だけだったりするのです。

加入した20歳代のときにはあった医療保障や介護保障はなくなってしまって、医療保障は何とか80歳までは継続できると言われても、その後の保険料は一括で数百万円先に払って下さいとも言われます。

片や競争原理が働いている外資系、損保系、カタカナ系を複数扱っている代理店やショップで、普通にきちんとした担当者が、会社ではなくお客様のことを考えてプランニングすれば、大手国内生保より2,3割安い保険料負担で何もなければ見直しの必要がなく、見直しが必要になった際でもやりやすいプランができます。

ここまで読んでしまった方は、生命保険はギャンブルでなくなりました。
間違いなく損だと分かって、長期間に渡って保険料を支払うことはありませんよね。

何も知らない大多数の人にとってギャンブルであっても、そのカラクリや仕組みが分かって、ほぼ間違いなく勝つ方法が分かってしまえばギャンブルにはなりません。

生命保険に加入する際の出会いだけで決めてしまうのはギャンブルとなってしまいますが、生保リテラシーを充分身につければギャンブルにならないということです。