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生命保険とコンプライアンス VOL.1

»2011年11月30日
生保のトリセツ

生命保険とコンプライアンス VOL.1

しごとにん

10年余り生命保険業に所属し、一社専属の大手国内生保から乗合い代理店、保険ショップ運営を経験。現在は業界から距離を置き、俯瞰できる立場で個別相談や執筆活動を行っております。

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このところに俄かに「コンプライアンス」という言葉が注目されているようです。
「コンプライアンス」=「法令遵守」となりコンプライアンス違反と言えば「(法律など)決められたことを守らない」となり、場合によっては処罰を受けることがあります。

保険業界にはその憲法ともいうべき「保険業法」があります。
1995年にこれまでのものが全面改定され、翌96年に施行され一部改定を経て現在に至っています。
その中で、消費者を保護を謳う「第300条」についてお話ししたいと思います。
まずは保険業法第300条の主だったところを抜粋します。


保険契約者又は被保険者に対して、虚偽のことを告げ、又は保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為


保険契約者又は被保険者が保険会社等又は外国保険会社等に対して重要な事項につき虚偽のことを告げることを勧める行為


保険契約者又は被保険者が保険会社等又は外国保険会社等に対して重要な事実を告げるのを妨げ、又は告げないことを勧める行為


保険契約者又は被保険者に対して、不利益となるべき事実を告げずに、既に成立している保険契約を消滅させて新たな保険契約の申込みをさせ、又は新たな保険契約の申込みをさせて既に成立している保険契約を消滅させる行為


保険契約者又は被保険者に対して、保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、又は提供する行為


保険契約者若しくは被保険者又は不特定の者に対して、1の保険契約の契約内容につき他の保険契約の契約内容と比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げ、又は表示する行為


保険契約者若しくは被保険者又は不特定の者に対して、将来における契約者配当又は社員に対する剰余金の分配その他将来における金額が不確実な事項として内閣府令で定めるものについて、断定的判断を示し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げ、若しくは表示する行為


保険契約者又は被保険者に対して、当該保険契約者又は被保険者に当該保険会社等又は外国保険会社等の特定関係者(第100条の3(第272条の13第2項において準用する場合を含む。第301条において同じ。)に規定する特定関係者及び第194条に規定する特殊関係者のうち、当該保険会社を子会社とする保険持株会社及び少額短期保険持株会社(以下この条及び第301条の2において「保険持株会社等」という。)、当該保険持株会社等の子会社(保険会社等及び外国保険会社等を除く。)並びに保険業を行う者以外の者をいう。)が特別の利益の供与を約し、又は提供していることを知りながら、当該保険契約の申込みをさせる行為


前各号に定めるもののほか、保険契約者等の保護に欠けるおそれがあるものとして内閣府令で定める行為


二と三は、おそらく保険業界独特のもので、要するに「告知義務違反を勧めてはいけません」と言っています。

五は「保険料の立替や割戻し、ましてやキックバックはダメですよ」と言っているのですが、業界では結構すれすれのところでやっている連中がいます。
競合先が尻尾を出そうものなら「コンプラ違反です」と当局にチクられると思っていた方がいいようです。
(つまり大口の顧客に対して、別会社の口座に保険料の一部をキックバックする利益供与があったりしますが、その覚書が何かの拍子に外部に漏れてしまうとやられてしまうのです。)

八は圧力募集の禁止です、と言っていますがよく分かりませんよね。
分かりやすい例を挙げれば、中小企業の経営者に対して融資している銀行が、借り換えのタイミングでもって無言の圧力で生命保険を販売することを禁じていると思って下さい。

メインでお話したかったのは、一、四、六、七で、簡単に言ってしまえば「騙して保険を売ってはいけません」ということです。

しかし、これが「ユルふん」というかかなり大雑把なんですね。
次回詳しくお話します。