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昨年「医療保険の存在価値」と題してブログを書きました。
今回の趣旨はそれとほぼ同じですが、ほんの少し角度を変えて書いてみます。
<費用対効果>という観点から見ると、支払った分をどうすれば回収できるか、その上で利益を挙げられるかを考えることになります。
たとえば、入院1日あたり1万円の一入院の支給が60日で手術給付が最高40万円」で
計算すると、1回の入院支払のマックスが<1万円×60日+40万円>で併せて100万円となり、このパターンを3回やれば300万円になります。
だいたいこの「300万円」が日額1万円の一生涯の入院保険の支払総額になります(男性の場合)。
しかし、入院の日数は短くなる傾向にあり、手術で最高額の40万円(10,20,40万円の3段階で、手術の内容によて変わる)になるとは限りません。
(最近は「簡易な手術や入院を伴わない手術は5万円」「一律10~20万円」といる設定もあります)
机上の<費用対効果>という観点から見れば「効率が悪いな。その分貯金したほうがマシだろう」となるのも仕方ないかもしれません。
そんなわけで、机上論者のFP(ファイナンシャル・プランナー)の一部の先生方は「100万円ぐらい貯蓄があれば医療保険は不要」と仰るわけです。
なるほど、わが国には「高額療養費制度(高額な医療の支払が必要であっても一定の上限が設定されている)」
(参照 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html)
があり、医療費の負担は自由診療を使うことがなければ限定的ではあります。
想像力を少しだけ働かせれば分かりますが、入院した場合医療費以外の出費が発生して、更に収入が目減りすることが想定されます。
会社員であれば有給や傷病手当などが一定期間ありますが、フリーランスやパートタイムの方はそのようなものはありませんので収入源につながりやすいかもしれません。
何が言いたいのかといいますと、「100万円ぐらい貯蓄があれば医療保険は不要」と言っても、単純に医療費の負担だけでなく、その他の費用や収入減を考えると医療保険がなければその「100万円」から医療費以外の分も取り崩すことになりかなり心細くなりそうです。
それよりなにより根本的なことですが、その「100万円」はずっとあるのでしょうか。
子供の進学、家のリフォーム、海外旅行や車の買い替えなど資金需要は発生しないのでしょうか。
その「100万円」はいつおこるかわからない入院のために一生使わないでとっておくのでしょうか。
現金は万能です。
しかし万能であるが故に役に立たないことがあるのです。
つまり入院や治療以外で使ってしまって、なくならないにして目減りしてしまうことがありえるのです。
「500万円以上常時遊ばせている現金がある」なら分かりますが、「100万円の貯蓄」だけで医療保険は不要というのは極めて想像力が貧弱であり且つ乱暴な話しですね。
100万円あればたいていの医療費は賄えると思いますが、それ以外の費用の発生や収入の目減り、さらに他で使ってしまうかもしれない<リスク>を無視しています。
いわゆるお金持ちの方には医療保険は不要です。
(常時500万円以上の現金を遊ばせていられる方々です)
我々一般庶民は、なけなしの貯蓄を目減りさせないために「使途が限定されている」医療保険は役に立つのではないかと思います。
机上の<費用対効果>で考えれば、ほとんどの方が損する(支払った保険料は回収できない)医療保険ですが、手持ち現金(貯蓄など)の使途の自由度を損なわない効果が多少なりともあるのです。
人生は算数どおりには行きません。
また保障には<コスト>がかかります。
従いまして、医療保険に限らず<支払った金額>と<支給されるであろう金額>だけを単純に比較して「損だ」「ギャンブル」だとドヤ顔でノタマウFPの先生方には充分な注意が必要であります。
前回書いた「生命保険の存在価値」とコストだけで考える「生命保険の費用対効果」は、必ずしも一致しないと改めて認識していただければと思います。
他にもいろいろ書いています。
ご興味があればお立ち寄り下さい。
保険選びネット
http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/7581.htm
<具体的な商品の比較など月一で書いています(ほぼ月末更新)>
「引受緩和型医療保険」の告知内容の比較など取り上げています。
ヤフー知恵袋
http://my.chiebukuro.yahoo.co.jp/my/shigotonin38
<知恵ノートはほぼ月二で随時更新、生保関連の質問にも答えています>
ご指名の質問大歓迎です。