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将来の社会福祉について考えてみる~「特別勘定」との付き合いのススメ~

»2012年6月27日
生保のトリセツ

将来の社会福祉について考えてみる~「特別勘定」との付き合いのススメ~

しごとにん

10年余り生命保険業に所属し、一社専属の大手国内生保から乗合い代理店、保険ショップ運営を経験。現在は業界から距離を置き、俯瞰できる立場で個別相談や執筆活動を行っております。

当ブログ「生保のトリセツ」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/shigotonin/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


消費税が上がろうと、国債の残高が増えようと我国の少子高齢化の流れは変わりません。
年金や医療、介護に費やされる社会福祉の負担は「毎年1兆円積み上がる」といわれています。

この数字の通りであれば、10年後には10兆円、30年後には30兆円社会福祉の負担は増えているわけで、多少消費税を上げようが、赤字国債を発行しようがイタチゴッコのような気がします。

将来想像できるのは、現状より年金の給付額が減らされる、医療や介護の自己負担の割合が増える、また支給される条件が厳しくなる、などです。

「過去に長年政権を担って放置してきた自民党が悪い」「政権交代したのに何もできない民主党も悪い」など歴代の政権党が悪いのは間違いないですが、それを選んだのは残念ながら私たちです。

ここで政策や政局の議論をするつもりはありません。
政治に期待できない状況で、私たち一般庶民ができることは何か、現実的に考える方がいいのではないでしょうか。

そうなると、一生涯を保障する医療保険や介護保険を勧めて<長生きのリスク、社会福祉が細るリスク>に備えるようお勧めするのが一般的かもしれません。

それはそれで備えになるとは考えられますが、それはそれで多少のリスクを孕んでいます。
まずは、保障内容の陳腐化です。

医療技術は年々進化しているといわれる中、30年後の状況がどうなっているかなど誰も分かりません。
過去の医療保険の保障内容が、それに相応しいかどうか、疑問が残るところです。

また、介護については、介護保険が登場した当初と要介護の基準がすでに変更されていたりします。
保険会社独自の給付基準のところもありますが、国の基準に準じて給付が決まるものが多いので、多少の混乱や見直しが生じています。

それと、貨幣価値の問題です。

これだけデフレが続いている状態で20、30年後もそのまま続くのでしょうか?
好景気がきてインフレになる、というのは想像しにくいですが、国債が暴落して金利が上がることは、もしかしたら近い将来あるのかもしれません。

生命保険の運用は「一般勘定」と「特別勘定」のふたつに大別されます。
運用の中身はほとんど「一般勘定」で、その中身の大半が国債で運用されています。
現状ではマイナスになる確率が低い代わりに、大きくプラスになることもない堅い運用ということになっています。

「一般勘定」においては、運用実績を保険商品に反映することができませんので、いわゆる<ローリスク・ローリターン>の運用になります。
(マイナスが生じたら保険会社が補填しなければいけないため)

しかし、国債が暴落してしまったらどうでしょう。
保険会社は手堅い株式にシフトしてマイナスを抑えようとするのでしょうが、配当など望むべくもなく、貨幣価値が下がっても保障額は変わりません。

一方「特別勘定」という部分があり、以前にこのブログでも取り上げている「変額終身保険」や「変額年金」がこれによって運用されています。
「特別勘定」は、運用実績を保険商品に転嫁しますので「ミドルリスク・ミドルリターン」の運用となります。(マイナスが生じても保険会社は補填する必要がない)

とくに「変額終身保険」はかなり割安の保険料で、死亡保障額は設定当初の金額が保証されており(運用によっては増える)使える商品です。

変額終身保険に加入する際「特別勘定」の中身を選択できることが多いです。
「国内株式」「国内債権」「外国株式」「外国債券」などの中からの選択となりますが、今回の話の流れでは国内外の株式の選択するとします。

すると現在の状況が反転(国債の暴落で金利が上がる、円安になる、など)すると、現状低い株価が上がってくることが想定されます。

分かりやすく極論を言えば、インフレ状態になり<入院1日1万円>と定額である入院保障の1万円の価値が下がっても、変額終身保険の解約返戻金や死亡保障の金額は株価とともに上昇するわけです。

そうなるとは限りませんが、「そうなったとき」に備える知恵として認識して下さい。
そうでなくとも、一番安い保険料で終身保険に加入できたメリットはありますので、損はないと思います。

それと、将来に渡って死亡保障とは別に個人年金や、その他積み立て、投資信託など購入するケースがあるかもしれませんが、死亡保障と兼ね備えれば無駄がなくなります。
(個別の銘柄を運用する場合はこの限りではありませんが)

このブログで何回か書いていますが、終身保険は年金に変換できますし、一部や全部の解約でキャッシュにすることも、解約返戻金の一定額まで借り入れすることも可能なので役立つと思います。
「死ぬまで返さなくていい借金」http://blogs.bizmakoto.jp/shigotonin/entry/1821.html

私たちが加入できる終身保険はせいぜい数百万円で、キャッシュフローとしてはその7割ぐらいなもんですが、インフレに備える構造のものをひとつぐらい持っていてもいいでしょう。

本当にささやかですが、当てにならない政治や、どうしようもない現状の「少子高齢化」という流れに対して、自助で備える方法として「変額終身保険」は選択肢のひとつとなります。

消費税は上がる方向になるようですが、将来の社会福祉については実質ほったらかしです。

国債がパンクするかどうかは分かりませんが、デフレがこれから20、30年も続くというのは考えづらいです。
ですから、今からでも「特別勘定」との付き合いを検討してみる価値はあるかもしれません。

追記

他にもいろいろ書いています。
ご興味があればお立ち寄り下さい。

保険選びネット
http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/new_2005.htm                   <具体的な商品の比較など月一で書いています(ほぼ月末更新)>
特約なしとなったニッセイの商品についての考察です。

ヤフー知恵袋
http://my.chiebukuro.yahoo.co.jp/my/shigotonin38
<知恵ノートはほぼ月二で随時更新、生保関連の質問にも答えています>
ご指名の質問大歓迎です。