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前回のブログで<ライフネット生命とニッセイは「お客様を思考停止させる」という本質は同じ>と書きました。
ネットベンチャーと老舗という両極でありながら、イメージ先行で本質的にやっていることは同じ、ということですが、今回は少々掘り下げてみます。
ライフネット生命とニッセイの主力商品は、実は全く同じなのであります。
共通点は2点です。
1、両社とも「10年更新の定期保険」の販売を最優先している
2、両社とも「収入保障タイプ」を取り扱っていない
「10年更新の定期保険」というのは、ニッセイに限らず伝統的国内生保が長らく主力商品としているもので、日本人の約7割ほどが加入していると言われているものです。
「10年更新の定期保険」はいわゆる「更新型」なのですが、それについて簡単に説明します。
定期保険はご存知の方も多いと思いますが、掛捨てで一定期間の保障を廉価で得ることができます。
例えば、お子様が成人するまでなど一定期間に大きな保障が必要であれば、これを使うことになります。
例えば、30歳で第一子が生まれたお父さんに対して、さらに第二子の予定があることを計算して、その子がひとり立ちするであろうまでの30年間の定期保険に加入するとします。
「10年更新の定期保険」であれば、10年後の40歳時点と20年後の50歳でで「自動更新」となり保障は概ね無条件で継続できますが、保険料はリセットされて40歳、50歳で計算し直します。(つまり保険料が上がります)
それに対してニッセイのお姉さまは「お子様が大きくなったら保障額は下げられるので、10年後には保障額を下げれば同じぐらいの保険料にできますよ」と言います。
こんなことを実際にお姉さまに言われたことがある人はいませんか?
さておき、これは嘘でもなんでもなく「10年更新の定期保険」においてはこうするしかありません。(途中の減額や解約はできますが)
「更新型」に対して定期保険には「全期型」というのがあります。
こちらは、上記の例にあてはめると30年間を更新なしで、つまり保険料のリセットによる変更なしで全期間付保することができます。
・・・それならば「更新型」より「全期型」の方がいいじゃん、と感じる方がほとんどだと思いますが、同じ保障額で見るとこのケースでは「全期型」(ここでは30年)の方が「更新型」(同10年)では3倍近い保険料になります。
保障期間が3倍なのでそうなってしまうのですが、とりあえず目先の保険料を抑える目的で保障期間を短くして、それを<合理的であると見せかけて>加入を促進するのです。
以上、この「10年更新の定期保険」を主力にしている点は両社全く同じです。
(ただ「10年更新の定期保険」の保険料については、ライフネット生命がニッセイの約半分になっています。これが出口社長の「保険料を半分にする」の根拠であると思われます。)
はっきり申し上げますと、この「10年更新の定期保険」という代物は、お客様にとって全く合理的な商品ではありません。
保険会社にとっては儲けの出やすい商品であると断言できます。
現在において、まともに生命保険を販売している人間からすれば「10年更新の定期保険」は化石です。
これだけネットが普及し、街中に乗り合い代理店である保険ショップが乱立して情報が溢れている現在において、未だに化石となっている商品を主力にしているのは異常だとしか思えません。
生命保険という目に見えず、分かりづらいとされていることをいいことに、イメージを先行させて、お客様を「思考停止」状態にして、自社利益を不当に増大させている化石商品の販売を促進しているのがライフネット生命とニッセイの共通する本質です。
それではなぜ「10年更新の定期保険」はお客様にとって不合理なのか・・・長くなってしまったので次回お話しします。