誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
うつの原因
あなたが持つカウンセリングのイメージは間違っている!! …可能性が高いですよ
うつの原因
REBT心理士。うつ状態から回復した経験を経て、SEからカウンセラーへの転身を図りつつ、カウンセリングを世の中に浸透させようと奮闘中。座右の銘は、菅沼憲治先生に頂いた「生死一期」という言葉。
当ブログ「あなたが持つカウンセリングのイメージは間違っている!! …可能性が高いですよ」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/t2k/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
(※文章中にうつなどの単語が出てきます。 読んでいる最中に気分が悪くなった場合は、無理をせずブラウザのページを閉じてください。 どうしても内容が知りたい場合には、他の人に読んでもらって後で話を聞くと良いでしょう)
うつ病のイメージを伝えるために、よく使われる説明があります。
うつ病は、「脳のエネルギー欠乏」という説明です。
これは、うつ病は脳のエネルギーが欠乏した状態で、それに伴って抑うつや様々な精神的、身体的症状が出てくるというものです。 通常であれば、ある程度消費しても時間の流れとともに回復していくエネルギーが、時間がたっても回復しない、または悪化する状態が続き、日常に影響を及ぼすようになるというものです。
仮にエネルギーを水として、ダムを例に考えてみましょう。
通常、川から水が流れ込み、ダムには一定量の水が溜まっています。 消費するエネルギーを放水に例えたとして、ある程度放水を行っても水は時間の経過とともに川から補充され、元の水位に戻ります。
これが通常の状態です。
ところが、この川から流れ込む水の量が減ったり、ダムに亀裂が入ったりすると状況は変わってきます。 以前と同じように放水していては、少しずつダムの水位が減っていくのです。
やがて水位の減少に無意識の部分が気付き始めると、自然に放水の水量を調節し始めます。
現実で考えるならば、意欲をなくし行動範囲を狭め、人付き合いを避けることでエネルギーの消耗を回避し、娯楽も体力の必要なものからテレビでバラエティ番組を見るなど簡単なことに代わっていくわけです。
そうやって調整しているにもかかわらず、その後も意識的な部分が気付かないまま川の水の量が減り、また、ダムの亀裂が大きくなっていくと、ダムの水位は下がり続け重症化していきます。
もし、一気にダムの水が半減していたら、すぐに気付いて休みを取って水の量を回復しようとするでしょう。 しかし、少しずつ減っていくと1日前との差を比べ、少し頑張れば何とかなると自分に言い聞かせながら、水位の減少を気力でカバーして(しきれないほどになっていても)日常を繰り返し続けようとします。
この重症化が進む日常の繰り返しの中で、(健康な時の)普段通りの成果を求めて現状に見合わない高いハードルを自らに課し、さまざまな思い込みやルールを自分に言い聞かせて、それを繰り返すことによってうつ特有の思考方法を学習し続けます。
そして、その日常についに耐えられなくなったとき、誰の目にもわかるうつ病の状態になるのです。
こうなってしまっては、少し休んだところで、ほとんど回復しません。 回復するためには、川から流れ込む水の量が元に戻るまで休み、ダムを補修する必要があるのです。 そして、ダムの水量が回復するまでには、かなりの時間を必要とするでしょう。
もちろん亀裂が大きければ、補修しても元に戻るという保証はありません。
このように上述のイメージによる説明は、我慢強く耐え続けることができる人ほど重症化する様子や、回復に長期の休養を必要とすることなど、なかなか上手くうつ病の様子をとらえていると思います。
では、うつ病の原因となる「脳のエネルギーの欠乏」の、「エネルギーって何?」という部分なのですが、定義されている文章を見たことがありません。 おそらく医学的な根拠のある説明というよりは、うつ病のイメージをとらえるための説明なのではないのでしょうか(※註:筆者の推測)。
ただ、うつ病についてまだよく知らない方がイメージをとらえる分には、よくできた説明であると言えると思います。
では、うつ病の原因とは何でしょうか?
ここでよく出てくるのが、モノアミン仮説です。
大うつ病性障害などのうつ状態は、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の機能が低下し、脳内の情報伝達がうまくいかなくなるために起こるとする仮説です。 ただし、これはセロトニンやノルアドレナリンの量を調整するような薬が抗うつ作用を有していることに基づいた仮説で、根本原因であるとは結論づけられていないようです。
(※註:筆者が知らないだけだったらすいません)
逆に言えば、薬が想定通りの作用をしている場合、脳内でこのようなことが起こっていると想定されますが(そもそも仮説ですが)、薬が効果を発揮しない場合は、それとは別の何らかの原因が存在している可能性もあるということです。
医学的な原因については医学の専門家に任せることにして(変な事を書いてしまうと、いろいろなところから怒られそうな気がするので)、うつ病の原因別分類について触れていきたいと思います。
うつ病は原因ごとに、外因性(身体因性)うつ病、内因性うつ病、心因性(性格環境因性)うつ病と分類されます。
ざっと説明すると、別の病気、治療薬の副作用やアルコールなどを原因とするものを外因性うつ病、体質や遺伝などを原因とするものを内因性うつ病、過度な心理的ストレスなどを原因とするものを心因性うつ病と言います。 モノアミン仮説はこの内の内因性うつ病に深く関係していますが、外因性、心因性についても同様に関係しているのかはわかっていません。
また、多くの場合原因は複数混在し、治療の実態に合わないためか、最近は以前ほど上記の分類を見かけない気がします。
ここまで長々書いてきましたが、結局のところは原因はまだよく分かっていない(※註:最新情報を筆者が知らないだけの可能性もありますが・・・)という結論に至ります。 ただし、心理的なストレスはうつ病の要因として取り上げられていますので、この心理的ストレスへの対策を普段から講じることが、うつ予防への第一歩と考えられるでしょう。