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間違った知識による理解
あなたが持つカウンセリングのイメージは間違っている!! …可能性が高いですよ
間違った知識による理解
REBT心理士。うつ状態から回復した経験を経て、SEからカウンセラーへの転身を図りつつ、カウンセリングを世の中に浸透させようと奮闘中。座右の銘は、菅沼憲治先生に頂いた「生死一期」という言葉。
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前回、本当の意味での理解について書きましたが、勘違いしてはいけないのが体験のすべてが正しいとは限らないということです。 間違っているのにたまたま上手くいく体験をしてしまうと、間違った理解につながりますし、それを繰り返すうちに間違った理解が正しいと信じ込む回路を脳に作成してしまうことにもつながるでしょう。
身近でわかりやすいのが、タバコです。
最初、体はタバコを「体に悪いもの」だと認識しています。 しかし何回か吸うことで禁断症状などタバコによりもたらされる機能低下がおこるため、それを解消しようとタバコを吸うようになります。
その後、様々なシーンで機能低下からタバコを吸うたびに回復するという間違った成功体験を繰り返し、それが学習され癖になり、依存していくのです。
この時点でまずおかしいのが、機能低下はもともとタバコにより引き起こされていることです。 非喫煙者は、タバコを吸わなくても日常そんなにイライラすることはありませんし、集中力が極端に下がることもありません。
つまりタバコによりメリットを感じているという状態は、実は普段デメリットを受けている状態が若干緩和したというだけに過ぎず、それどころかタバコを吸っていないときは常にデメリットを受けている状態だということです。
「呪いから回復したときが一番すっきりするぜー!!」と言いながら、繰り返しおもむろに敵に呪いをかけてもらいに行き、ステータス異常の状態で冒険を続けるファンタジー勇者を思い浮かべていただければ、何となくどんな状態かわかってもらえるかもしれません。
また、麻薬などと比べると禁断症状が激しくないため、中毒や依存が起こっていないと考える人もいますが、禁断症状の強さと中毒や依存になってないかは、実はとくに関係ありません。
依存状態になった時点で、すでに日常の様々なシーンと学習が結び付いているため、何かイライラがあるとき、ストレスがかかったとき、集中力が落ちたとき、より満足感を得たいとき・・・これらのシーンは、ほぼタバコの影響が含まれるのですが、常にタバコを求めるように脳内に回路ができています。
それはタバコを吸うたびに、何度も何度も、数えきれないほど繰り返し同じように上書きされ続けた回路です。 非喫煙者はそのようなシーンでタバコを求めたりしないことからも、これが学習の成果だと分かるでしょう。
雀百まで踊り忘れずではありませんが、一度しっかりと焼きついてしまった脳の回路は禁煙をしても残り続けます。
どういうことかというと、禁煙に成功し何年かたったとしても、たかが数本吸うだけで元の状態・・・自分で呪いをかけてもらいに行くファンタジー勇者の状態・・・に、たやすく戻ってしまうということを意味します。
一方で、喫煙者はタバコが体に悪いこともわかっている(または、わかっているつもり)ので、自分の中でタバコを吸うという行為を正当化しなければならず、必死で言い訳を考え続けます。
これも非喫煙者と比べると、全く必要ない無駄時間と言えるかもしれません。
では、タバコをやめるのはそんなに難しいことなのかというと、実はそうでもなかったりします。 ニコチンの影響は数日で消えますし、それさえしのげば実はあとはほぼ心の問題となります。 禁煙外来のある病院では、カウンセラーがいることも少なくないのです。
・・・と書くと、忍耐力のある人しか禁煙できないのかと思うかもしれませんが、そういうわけでもありません。
タバコのメリット(間違った知識)をかたくなに信じ続ける忍耐力のある人が禁煙に失敗すると考えれば、正しい知識をしっかりと調べて受け入れ、コロッとそちらに乗り換える人こそ禁煙に成功しやすいとも言えます。
なんか当初のタイトルからずれてきた気がしますが、書きたかったのは正しい知識は大切ですよということですね。
ちなみに禁煙でもそうですが、一番問題なのは、わかったつもりになっていることです。 わかったつもりになっている人は、タバコの危険性もわかっているし禁煙のやり方も知っていると言いつつ、いつまでたっても禁煙をしようとしなかったり、禁煙に失敗し続けたりするのです。
とはいえやはり、常に正しい知識を見分けられるかというと、それはとても難しいと言わざるを得ません。
とくに私たちは、科学的という言葉を誤解しがちです。 なぜなら学校で科学を習うとき、最初から正しいものとして勉強してきているためです。
ですが実際には、論文を発表し、多くの人に検証され、批判を受け、その批判に耐え続けることで正しさを増していくのが科学的ということです。 批判がある=間違い、ということではないのです。
さらに、今までの正しさを超える理論が出てきても、それは今までの否定に即つながるわけではありません。 相対性理論が誕生しても、光速より十分に低速な条件下であれば、問題なくニュートン力学を利用できるという例もあります。
場合や視点によって変わる正しさもあり、正しいとか正しくないというのを見極めることは、なかなかに難しいのです。
それを踏まえたうえで、自分で気づくことができた部分だけであっても、より正しいと考えられる知識があるときには比較検討し、柔軟にそれを受け入れる姿勢をもつことは、とても重要だと思います。
「受け入れるなら受け入れる、受け入れないなら受け入れないで、はっきりしろよ!」と言いたくなるかもしれませんが、今までも書いてきたように二値化すると大体現実から乖離するものです。 無限の目盛りを振って、その間の落ち着かないあたりでゆらゆらしているのが、案外現実的な考え方と言えるでしょう。
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