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成果の出る研修目標とは
本当の人材育成:研修の現場から
成果の出る研修目標とは
衆議院議員秘書を経て、2009年 Training Officeを設立して独立。組織行動論、心理学、教育工学、経営学等のエビデンスを用いながら、クライアントの戦略に沿った研修プログラムの構築や運営を手がけている。
当ブログ「本当の人材育成:研修の現場から」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/training-office/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
「目標の設定の大事さ」
目標を設定することの大事さは多くの方が耳にされたことがると思う。すべての行動には目標がつきものである。目標のない行動は空虚なものにすぎない。また、目標は抽象的なものであるより、具体的であればあるほどよいのは言うまでもない。研修でも同様であって、具体的な目標がない研修はコストの無駄になる。だから、成果の出る研修の見極めは、企画・実施する研修で学習目標が明確かどうかを確認することがその一つである。
「ビジネス・ゴールの種類」
企業や組織で研修を実施する場合、まず押さえておかなければならないのが、ビジネス・ゴールである。これは、感覚では分かることであるが、改めて整理したい。
- 収益を生む
- 経費を抑える
- 規則に従う
企業や組織活動のビジネス・ゴールは大きく分けて以上の3点に集約される。研修実施の定義を「行動目標達成を支援する活動全般」とすると、研修目標もビジネス・ゴールと密接な内容でなければならない。次に、ビジネス・ゴールと研修内容との関連性をみていきたい。
- 収益を生む
収益を生みだすスキル・知識、心構えの修得を目的とした研修。例えば、セールス・プロモーション研修やコミュニケーション研修などがあげられる。 - 経費を抑える
知識・スキル、心構えを修得することで生産性が向上したり、ミスやクレームが低減することを目的とした研修。例えば、メンタルヘルス研修などが該当するだろう。なぜなら、メンタルに支障をきたせば、生産性は低下するし、退職される可能性もたかくなるからだ(生産性の低下や退職者の増加は経費増大につながる)。 - 規則に従う
コンプライアンスの遵守というのは、現在、常識的になっている。そうはいうものの、倫理違反、脱法行為が存在していることも事実。それらが発覚した場合、多大なコストを払わなければならない。例えば、法令研修や業界のガイドライン研修など。
研修を企画・実施する場合は、"現状でどのような問題が生じているか"から検討していかなけばならない。企業や組織に存在している問題は、必ず上記の3つにカテゴライズできるはずだ。
「学習目標の重要性」
学習目標とは、研修で達成すべきゴールのことである。前段で述べたビジネス・ゴールを達成するための必要となる行動条件である。例えば、「コンペに参加したり商品提案を行っても契約に結びつかない」という問題があったとする。この問題は収益を生むという問題に関わってくる。問題分析の結果、プロモーションスキルに課題があったとすると、問題を解決するために研修を通して解決できることは、セールス・プロモーション研修を実施しスキルの底上げをすることである。
研修は、「現状の姿が理想とする姿に変容」することの支援にあるとするならば、研修のゴールは理想とする姿に変容したかどうかを第三者が評価できることにある。第三者が評価できるということは、観察可能で測定可能な具体的な行動でなければならない。セールス・プロモーション研修を例にとると、研修項目の一つの学習目標は、「顧客の潜在ニーズを引き出して、ニーズに応じた自社製品の提供をできるようになる」。ということになる。
「具体的な目標が設定できないということは、効果的な研修につながらない」
企画段階で、観察可能で測定可能な行動を記述することが学習目標の設定の出発点だが、ここでも注意が必要となる。通常、理想とする行動の記述は動作動詞を使って記述する。例えば、「入力する」「説明できる」「記述する」などである。よく目にするのが、「知る」「理解する」「評価する」などのような記述だが、これらは避けたほうがよい。なぜなら、「知る」「理解する」「評価する」というものは、測定できないからである。「知る」という言葉で記述するならば、「答えることができるようになる」としたほうがよい(「知っている」ということは、裏を返すと「答えることができる」ということになるからだ)。学習目標が設定できたら、あとは、どのようなツールや教授方法で学習目標が達成できるかということの検討に入ることになる。効果的でない(言い換えると成果がでにくい)研修は、往々にして学習目標設定をとばして、講師やツール選定から入っている場合が多い。
最後に、研修の実施とはコストがかかるイベントである。企業活動では投入したコストは必ず投入した額以上のリターン(それが、たとえ長期的でも)を求めなければならない。
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Training Office 代表 宮﨑 照行
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