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プレゼンテーションの極意、3つのポイント
ワークスタイル総研・伊藤です
プレゼンテーションの極意、3つのポイント
1967年生まれ。オフィス用品・オフィス家具の流通カンパニーで経営幹部を務めながら、経営大学院の講師、かつソフトバンクアカデミアのメンバーとして活動中。
当ブログ「ワークスタイル総研・伊藤です」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/workstyle-soken/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
プレゼンはライブです! コンテンツは楽曲。プレゼンはライブステージ。バンドで演奏したり歌ったりするのと同じようなもの。演奏や歌のパワーで、聴衆をとりこにする。総立ちにさせる。ミュージシャンがファンをとりこにするように、僕らもプレゼンでオーディエンスをとりこにする。そんな気持ちで僕はいつもプレゼンに向かいますし、プレゼンターは僕をとりこにしてくれるだろうか? と楽しみにして、人のプレゼンを聞きます。
もちろん、人によっていろんなパワーの出し方があるし、それは、その人その人の個性です。ピストルズやストーンズやニルバーナが、それぞれ全く別な魅力を持つように、プレゼンも人それぞれの魅力を出せばよいと思います。けれど、その場を熱で包み込み、観客を総立ちにしてとりこにするということは、どんなスタイルのプレゼンターにも共通して必要なポイントです。
プレゼンのゴールは、オーディエンスを動かすこと。オーディエンスの反応を見てください。「眠らず聞きました!」ではダメ。「聞いて、理解しました!」でもダメ。「聞いて、理解して、共感しました!」、それでもダメ。オーディエンスが、プレゼンターに共感して、「動く」こと。それが、プレゼンの目的であり、ゴールです。
そのために僕が気をつけていることを3点、ご紹介します。
1.プレゼンが、「スッキリかんたん、分かりやすい」こと。
いくらノリノリのライブ(プレゼン)をやったところで、まずはオーディエンスに聞いてもらわなければはじまらない。そのためには、プレゼンがスッキリかんたんであること。これを強烈に意識しています。
まず、ごちゃごちゃ字やグラフをスライドに詰め込まない。スッキリ! が大原則です。「1スライド、1メッセージ」と言ったりしますが、要は「詰め込まない」ことが大事です。使う字の数は、とにかく少なくしますし、話す言葉も少なくします。
そして、使う言葉はかんたんであること。テレビのニュースは、中学生が理解できるレベルを意識して作られる、と聞いたことがあります。プレゼンも同じで、中学生でも理解できる言葉を、僕は意識して使います。難しい言葉を使うと、オーディエンスは混乱し、その瞬間、プレゼンが頭に入らなくなり「はい、さようなら」です。人の理解力は、意外と低いのです。
あとは、分かりやすく、です。特に気をつけることとしては、表やグラフを活用するとき。数字が並ぶ表は、グラフでも表現できることが多いです。そして表よりグラフのほうが、大抵分かりやすいです。ですので、僕は可能な限りグラフを活用します。
例えば、スライドのテーマを表現する場所、メッセージを入れる場所、補足をする場所などは、オーディエンスが混乱しないように、可能な限りスライドの同じ場所に配置します。そうすることで分かりやすくなります。
このように「スッキリかんたん、わかりやすい」プレゼンを作ることで、オーディエンスは、プレゼンを聞いてくれることでしょう。
2.ストーリーがしっかりしていること。
次に意識しているのは、「ストーリー」をしっかりと作ること、です。これは言い換えると、「話がつながっているか?」ということです。
パワーポイントとかキーノートでいきなりスライドを作り始めると、ときどきスライドとスライドで話がつながっていない、という事態が起きます。例えば、「私は牛丼屋が好きです。だって、安いし、早いし、おいしいじゃないですか。皆さんも牛丼屋さんに行ってみてください! きっと好きになりますよ」ってプレゼンがあるとします。話はつながってますよね。
ところが、「私は牛丼屋が好きです。だって、安いし、早いし、美味しいじゃないですか。皆さん、是非ご自身の好きな店に行ってみてくださいね!」と言われるとどうでしょう。これだけですと、つながっているようで、話がつながっていない。だから何が言いたいのかよく分かりません。でも、パワーポイントやキーノートでいきなり作り始めると、こういうプレゼンが生まれてしまうことがあります。つながっているようで、話がつながっていない。
ストーリーをしっかりと作る、というと、起承転結でドラマ性を持たせる、みたいなイメージがありそうですが、かんたんに言えば「話がつながっているようにする」ということです。そのために、「●●だから、○○である」というように文章をつなげてみて、意味が通じているかどうかをチェックします。
「禁煙した方がいいよ。ご飯が美味しいし、朝シャキーンと起きれる。『禁煙セラピー』を読めばできるし!」というプレゼンがあるとします。例えばこのプレゼンで、「ご飯が美味しいから、禁煙したほうがよいのである」「朝シャキーンと起きることができるから、禁煙したほうがよいのである」「『禁煙セラピー』を読めばできるから、禁煙したほうがよいのである」というように、「●●だから、○○である」という文章にあてはめ、意味がつながっているかチェックしてみる、ということです。
話がつながっている、すなわち「ストーリーがしっかりしている」プレゼンを作ることで、オーディエンスはプレゼンを理解してくれることでしょう。
3.「情熱と自信」で、オーディエンスにぶちかますこと。
最後は、オーディエンスにワクワクしてもらい、実際に動いてもらうことが重要です。そのためには、「情熱と自信」が大事だな、と考えます。
僕が考える「情熱と自信」はこんなことです。
「情熱がある」とは、「その対象のことを、一番好きだ」ということなんではないかと考えます。ローリングストーンズのミック・ジャガーは、「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」のことを、きっと、ずっと、世界中で一番好きなんではないか、と思います。そうでなければ、40年以上も、あれだけ情熱的にステージで歌い続けられませんよね。
好きなものだから、情熱的に話ができる。逆に言えば、自分が好きでないものを人に勧めたところで、オーディエンスが動くはずがないと思います。だから僕は、まずはプレゼンの対象を、世界で一番好きになるようにします。
そして「自信」を持つためには、「徹底的に準備すること」です。僕は、ソフトバンクアカデミアの選考で孫正義校長に初めて5分間のプレゼンをするにあたり、300回練習をしました。さすがに300回練習すると、どんなに緊張しても、言葉が自動的にスラスラと口から出てきます。そういう状態になれば、緊張せず、自信をもってプレゼンできるようになります。
下手に練習すると、詰まった時にアドリブが効かなくなるからあまり練習しない、と言う人がいます。でも、突き抜けるくらいの量を練習すれば、詰まる、ということ自体がなくなるし、練習して慣れたら、いくらでもアドリブが効く、ということを知っているから、僕は常に、とにかく何回も練習します。
プレゼンターが「情熱と自信」を持つことで、オーディエンスはワクワクし、きっと、プレゼンターの思う方向へ動いてくれることでしょう。
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最後に、これを読んでいる皆さんへのアドバイス。ロックのライブといえばやっぱり、「客席にダイブ」、これはプレゼンでも同じかなぁと。本当にダイブするのではないですよ(笑)。そんな気持ちで、自分をさらけ出すような形で「(精神的に)ダイブ」すると、オーディエンスはきっと盛り上がります。前のめりにダイブするつもりで、プレゼンをしましょう!きっといい結果が生まれますよ!
僕はいろいろなプレゼンを見て勉強していますが、最も刺激を受けたのは、スティーブジョブズによる「iPhone 発売」のプレゼンテーションです。
今回、このブログに初めて書かせて頂きました。自分がこれまで得てきた、働く上で役に立つスキル、働き方(ワークスタイル)に関する知見、そして仕事で自分が経験したさまざまなことを、紹介していきたいと思います。これからよろしくお願いします!