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バックアップしていないときに限ってハードディスクが壊れる
仕事と生活と私――ITエンジニアの人生
バックアップしていないときに限ってハードディスクが壊れる
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社で、Windows ServerなどのIT技術者向けトレーニングを担当。Windows Serverのすべてのバージョンを経験。趣味は写真(猫とライブ)。
当ブログ「仕事と生活と私――ITエンジニアの人生」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/yokoyamat/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
「マーフィーの法則」という経験則がある。「マーフィーの成功法則」とは無関係である。オリジナルは米軍で伝えられていた言葉らしい。
Everything that can possibly go wrong will go wrong.
もし、何か悪くなる可能性があれば、悪くなる
コンピュータは軍事技術と密接な関係があり、特に米国では軍産学の共同研究が盛んだったせいか、ジャーゴン(仲間内で通じる隠語)にも米軍の影響が強く見られる。
たとえば、何らかの不具合を「バグ(bug)」と呼ぶのも米軍由来だという。コンピュータ関連の文書に「バグ」という言葉が公式に登場するのは、グレース・ホッパーの日誌で、1947年9月9日に「Harvard Mark II」に混入した蛾についての記録らしい。ただし、英語では一般に「bug」は甲虫類を指し、蛾や蝶を指すことはあまりない。以前からエンジニアは何らかの不具合のことを「バグ」と呼んでおり、米軍でもよく使われていたとされるから、グレース・ホッパーは故障の原因となった蛾を発見し「これがほんとのバグ」と記録したのだろう。
話を戻そう。「マーフィーの法則」にはさまざまなバリエーションがある。
- 傘を持っていないときに限って雨が降る
- 保証期間が過ぎた翌月に壊れる
- 論文の締め切り前に限ってプリンタが動作しない
等々。
もう少し理屈っぽいのだと
- 落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する
などがある。
そしてIT業界で最も有名なマーフィーの法則はこれだ。
- バックアップを取ろうと思ったらディスクがクラッシュする。
- バックアップからの復元に失敗する確率は、データの重要さに比例する。
前回は、使用中のPCがそろそろ寿命であること、ハードディスクから異音がすることまで書いた。異音は断続的に発生しているが、いまだにデータの損傷が起きていないところを見ると、ディスクではなくファンかもしれない。いずれにしても危険なので、以下の対策を検討した。
- PCの買い換え
- ローカルバックアップ
- クラウドバックアップ
詳しく検討してみよう。
●PCの買い換え
ここ十数年、DELLのPCを愛用している。今使っているPCは法人向けモデルしかなかったので、「ヨコヤマ企画」という会社を自称して購入した。DELLも、そろそろ買い換え時期だと判断したのだろう、先月はほぼ毎日FAXが届いていた。最近は来ないので、もうあきらめたのかもしれない。
DELLに限らず多くのPCベンダーで、法人モデルはいまだにWindows 7が中心である。補助的にWindows 8があるものの、Windows 8.1モデルに至ってはほとんどない。Windows 8からWindows 8.1への移行は無償だが、OSの移行は面倒でリスクのある作業であることに違いはない。ここはWindows 8.1モデルを選びたいところだ。
DELLのWebサイトにアクセスしたところ、Windows 8.1モデルは巨大なグラフィックワークステーションしか設定されていない。現在使っているPCと同サイズだが、次に買うときは小型の筐体と決めているので選択肢から外した。
別にDELLにこだわるわけでもないのでHPのWebサイトを見たが状況はあまり変わらない。Windows 8.1モデルは水冷式のタワーPCだけである。「水冷式」と聞くだけで大げさなのでやめた。スモールシャーシのWindows 8.1モデルもあったのだが、買い方が分からない。オンラインショップのリンクを選んで、製品を指定しても購買画面に進まない。さらによく見ると、「12月中旬販売開始予定」だった。道理で買えないわけだ。
昔は、マイクロソフトが新OSを出荷すれば、すぐにベンダーが追従したものである。サービスパックもすぐに適用された。10月に出たOSがいまだにプリインストールモデルの主流ではないというのは、マイクロソフトの影響力が落ちたのだろうか。
PCの買い換えは先延ばしすることにした。
●ローカルバックアップ
9月まで、Windows Vistaの標準機能を使って定期的にバックアップを取っていたが、最近は正常に終了していない。バックアップ先のディスク容量が足りないせいだ。
試しに、バックアップディスクを初期化してもう一度完全なバックアップを取ってみた。バックアップ容量は全部で1TB弱である。2日かけてバックアップした結果は「使用中のファイルがあるのでバックアップできません」というエラーだった。Windows Vista以降は「ボリュームシャドウコピー」という機能があり、使用中のファイルがあってもバックアップできるはずなので、もう一度チャレンジした。
再び2日かけてバックアップした結果は「ディスク容量が足りません」だった。ローカルバックアップは取れないらしい。
●クラウドバックアップ
「なんでクラウドを使わないの?」というアドバイスもあった。「いろいろあって迷う」と答えたら「全部使ってみればいい」と言われた。もっともである。
ある技術カンファレンスでsalesforce.com(顧客管理システムをクラウドで提供している)の人も「こんな(salesforceの紹介)セッションに来ている暇があれば、契約して使ってみればいい」と言っていた。ちなみにsalesforce.comの顧客満足度は非常に高いそうで、理由は「不満のある人は解約するから」ということだった(salesforce.comの人が話していたのであって、私が言ったのではない)。
実は、ずっとジャストシステムのInternet Diskを使っていた。このサービスは、一定以上の容量を契約するとバックアップ容量が無制限なのだが、最近のオンラインストレージ価格の相場に比べると少々高い。しかも私の環境では、いつの頃からかバックアップが途中で止まってしまうという不具合が出たので、そのまま契約を解除(無償コースに移行)した。
今回は、最近値上げしたばかりのBitCasaを1TBコースで契約した(値上げ直後に契約するのもマーフィーの法則のバリエーションである)。バックアップ対象は1TB近くあるので、最後までバックアップできるか不安だが、使い勝手が良ければ無制限プランに移行するつもりである。
契約して1週間、PCが起動している時間はずっとアップロードしているがまだ終わらない。フォルダー同期型のオンラインストレージの速度は遅いことが多い。予想していたことではあるが、いつ壊れるか分からないPCの保険としては不十分である。
●誰も逃れられないマーフィーの法則
クラウドバックアップは時間もかかるし、そもそもシステム全体のバックアップはできない。ちょうど、ハードディスクのセール案内が来たので3TBのディスクを購入することにした。
2TBを超えるディスクは管理手法が違い、古いOSでは使えない。マーフィーの法則によれば、私のPCで使えない確率が高いのだが、調べたらちゃんとサポートしていたので一安心である。
しかし、誰もマーフィーの法則には逆らえない。これから起こる事件としては、以下の可能性が考えられる。
- 新しいハードディスクが到着したその日にPCが壊れる
- 新しいハードディスクを初期化するつもりが間違って既存のディスクを初期化する
- バックアップ元とバックアップ先を間違える
- OSは新しい形式をサポートするのだが、バックアップソフトが認識しない (Windowsの標準バックアップなので、大丈夫だとは思うが)
まだまだ油断できない。
【告知】
12月30日(月)第85回コミックマーケット(通称「コミケ」)に参加するので、お時間と体力があれば見に来てください。
サークル名は「まぐにゃむフォト」、基本的には猫写真サークルで、友人の写真家ユニット「ねこやま猫道」と一緒に出展します。
- 日程: 12/30(月) 10:00-16:00 (午後の入場を強くお勧めします)
- 場所: 東京国際展示場(東京ビッグサイト)
- 配置: 東地区 D ブロック-12a
- 名称: まぐにゃむフォト
販売作品は以下の通りです。
- COPYCAT with Making of COPYCAT
- COPYCAT 2
- 猫とクラウディア窓辺(仮題)
- ねこまんが Vol.2~Vol.4 (ねこやま猫道)