誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
今後のグローバル競争で求められる人材
»2010年10月26日
「成功」するキャリアのつくり方
今後のグローバル競争で求められる人材
金融スペシャリスト。事業会社のエグゼクティブに特化した、ビジネスプロフェショナルのための外資系リクルーター。2010年ビズリーチ社「日本ヘッドハンター大賞」金融部門で優秀賞。2010年KANAEアソシエイツを設立。http://www.kanae-associates.com/
当ブログ「「成功」するキャリアのつくり方」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/KANAE/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
はじめまして。
私は仕事上、「転職市場の最新トレンド」や「選ばれる人材」に精通しており、転職成功の事例を沢山学びました。世界経済の動向も視野に入れつつ、これからの「成功するキャリアの作り方」について、誠ブログの読者の皆様と一緒に勉強していきたいと思います。よろしくお願いします。
今日、日経新聞主催の世界経営者会議の1日目にいってきました。私なりに非常に印象に残ったハイライトだけご紹介します。外資系と日系企業、双方のグローバル展開を考えるうえで、いくつかヒントになるキーワードがあれば幸いです。
-------------------------------------
【外資系】
ダノン、共同CEO
ウォールストリートの投資家より日本の投資家の方が忍耐強い。アングロサクソンの投資家はガマンしてくれない。
テトラパック社長
今は、市場の回復した将来を確信して、自社のサービスを安定的に提供し、お客様に貢献しつづけること。
本国のスウェーデンの売上はグローバルで3%に過ぎない。グローバルに色んな国で成功を収めるには、戦略的なパートナーをその国で探す。その国の地域文化を理解する、その国の社員を集める。本当の意味でその国の社員に国際的な活躍のチャンスを提供する。
キッザニア社長兼CEO
各国の共同経営者から施設のデザイン、準備、建設の初期投資など、パートナーから経済的な支援をもらう。社会的な意義が高ければ世界中から支援が得られる。
【日系】
東芝 佐々木社長
若手の幹部を日本から海外へ将来のために経験を積ませる。新興国対応の事業部を設立する。グローバルで20万人の社員のうち、8万1000人は現地人、海外拠点313社のうち147人は外国人(占有率47%)で、将来は75%まで引き上げ、社長をローカル化させていく。去年から1ドル70円を想定したストレステストを実施していた。
出光興産 天坊会長
来年100周年を迎える。企業が永続的に生き残る条件として、変化へ適切に適応できる柔軟性、国や社会への貢献性以外に、どんな社会の変化にあっても耐えうる考え方、理念の普遍性を挙げられたのが印象的であった。
NTT 三浦社長
1997年の法改正によりグローバル市場に出られるようになった。国内では大きな成長は期待できない。2007年に社長に就任し、グローバル事業を宣言、海外でのM&Aを加速してきた。オープンなサービス展開(SIMフリーの検討)。世界の潮流を見ながら、世界の最先端のサービスを出していく。
味の素
50年前から海外進出している。グローバル全体で3755人の社員のうち、基幹職は1470人。その40%が海外駐在経験があるという驚くべき数字。役員12名のうち8名までが海外のキャリアがあるという事実。世界で通用するには世界で通用する価値観(Universal Truth)をもつこと。「おいしさといのち」で人と地域の未来に貢献するグローバル企業へ。発展途上国の市場にきてくれる一般の庶民を大切にしている。毎日使うものを一袋づつ日銭で売る。草の根を生やすこと。
公文教育研究会 角田社長
世界46カ国で展開。自学自習のプログラム、読み、書き、計算で基本的には世界共通の教材。どのレベルでスタートしても一本道で細かい階段を上がって習熟していける教材。子供から学ぶ姿勢、悪いのは子供(=顧客)ではない。本部や加盟店から課題を吸収し、研究する。公文による学習療法で大人の認知症が改善する可能性が研究されている。
-------------------------------------
上記を踏まえて、今後のグローバル競争で求められる人材として、私なりの考えを整理致します。各業界と法改正や急激な国際競争の環境変化に伴い、構造転換そのものを強いられている業界が多く、そういった混乱の中でもしっかりとリーダーシップを発揮しマネジメント人材として実績をうまく出すことができた方が、従来では考えられないような大抜擢をされていくでしょう。外資よりむしろ日系で顕著になると思います。(今後、3年から5年で上場会社の社長として任命される経歴のパターンとして現れます。)
構造そのものの転換なので、今までと比べて合理的なアイディアであれば、会社のポジショや序列と関係なく通りやすくなると思います。成果が誰によってもたらされたかも分かりやすいため、若手のビジネスパーソンには、むしろ大きなチャンスだと考えます。
金融危機の緊張感が一時期より弱まり、円高基調のこのタイミングで海外展開の日が浅い大手企業が販路を求めて、アジア諸国で現地企業のM&Aを仕掛けていくのはごく自然の流れです。外資系金融機関は、日系の製造業のアジアシフトにともなって、また新しい収益機会を得ると思われます。大手日系企業では、売上の半分近くを海外で挙げているところも多いので、今後は海外駐在のキャリアに恵まれたどうかが、非常に重要な意味を持つようになります。
世界経営者会議2日目が終わったら、続きを書きたいと思います。