誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。

30代出世階段の駆け上がり方

30代出世階段の駆け上がり方

阪部 哲也

金融スペシャリスト。事業会社のエグゼクティブに特化した、ビジネスプロフェショナルのための外資系リクルーター。2010年ビズリーチ社「日本ヘッドハンター大賞」金融部門で優秀賞。2010年KANAEアソシエイツを設立。http://www.kanae-associates.com/

当ブログ「「成功」するキャリアのつくり方」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/KANAE/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


30代 出世階段の駆け上がり方

イーセントラルで連載中の「Expert Advice」の第二回です。

「30代、出世階段の駆け上り方」について、皆さんと勉強していきたいと思います。

*****

①出世階段を上がっていくには?

将来的に社内外からのスカウトも想定して出世階段を上がっていくには、業界トップを目指す企業で高い実績を出すことが王道です。 自分がいる会社で高い実績を上げ、その業界全体でも「あいつはすごい」というような評判が立つようになると、社内外からスカウトが頻繁にくるようになります。

出世するにはやはり選ばれるだけの理由が必要です。変化が激しい時代なので10年、20年先の事よりも、今の自分が置かれた環境、まずはここ1、2年の目先の実績に徹底的にこだわりましょう。 出世とは会社からの任命です。上長から引き上げられてナンボの世界です。実績だけではなくパーソナリティの部分でも周囲や上司にしっかり受け入れられて認められてはじめて任用されます。実績をひけらかしたり、権力を振りかざすと思わぬところで周囲から足をすくわれますので注意しましょう。

社内だけでなく、現職のクライアント先からのスカウトもあります。自分のクライアント先に好待遇で転職されていくデキル方も多く存在します。良い仕事をしていると、人柄、能力、仕事のクオリティ等が自然にクライアントへ伝わります。重要でコンフィデンシャルなポジションはクライアントからの引き抜きが多いのもうなずけます。

従って、もしあなたが今の上司と折り合いが悪くても本当に頑張っていたら、クライアントがしっかり見ていてチャンスを差し伸べてくれることがあります。地に足をつけて目先の責任を果たすということはキャリアを切り開く上でも大切だというのは言うまでもありません

最後に出世階段を上がっていくにはゴールデンルールがあります。自分自身が、自社の収益に最も影響力のあるビッグクライアントの担当となり、そのしかるべき立場の方から絶大な信頼をおかれる存在になることです。特に外資系では、CEOがあなたを身近において絶対離さないでしょう。万一、自社の出世階段を上がっていくときに何らかの政治的な要因で失脚しても、退職した翌日から、同業他社からいくらでもスカウトがくることでしょう。

②資格取得について

今後、クロスボーダーのM&Aが進むと言語、会計、ITなどの標準化が進みます。仕事と両立できる人に限りますが、(あくまで現職のパフォーマンス優先です。)将来のために「ビジネス英語」、「MBA」、「USCPA」などを本気で取り組んでみても良いと思います。

ビジネス英語に関しては月並みですが外資系はもとより日系企業の方も今の社会の趨勢だと避けることは難しそうです。青天の霹靂で英語が必要とされた日のために、危機管理として勉強しておいた方が良さそうです。英語だけは一朝一夕にはいきません。留学も現実的ではない方はどうすれば良いのでしょうか? 必要最低限、ビジネス英語を短期で身につけたい方は、横浜、武蔵小杉に森イングリッシュアカデミーという外資系企業の管理職に必要な英語力だけを最短で教えてくれる特殊なビジネス英語特訓スクールがあるのでお勧めします。ご興味がある方はGoogleで検索してみて下さい。

USCPAについて触れます。この資格は皆さんが思っておられる以上に転職市場では一定の評価が得られます。苦労して勉強すればしただけ値打ちがあります。今の会社を辞めてまで日本のCPAをとることはまではおすすめしませんがUSCPAを通じて国際会計に明るくなっておくと事業会社で経営企画、経理、財務関連の方は実務レベルでも役に立つと思います。

MBAについてですが、もはや1999年~2001年当時のようにMBAホルダーという理由だけでチヤホヤされる時代はもうとっくに終わっていますが、それなりの会社で管理職に近い立場にある方が、今までのビジネスを体系化づけて整理する上では有効だと思います。海外の一流のMBAを出なくても良いので仕事と両立する形で、やれば良いでしょう。一発奮起して35歳を過ぎて仕事を辞めて、海外MBAを取りにいかれる方もおられますが相当な覚悟が必要です。こと転職に関しては働き盛りの35~40歳の間の2年のブランクは時として厳しい評価になることがあります。30代前半で卒業するぐらいが無難ではあります。

どのケースでも注意しないといけない事は、仕事で周囲から評価が十分ではない時にこうした勉強に精を出ていると反感を買うことがあります。 あくまで現職での職責を全うした上で勉強されることをおすすめします。

③マネジメント能力について

40代からはスキルそのものより管理職としてのリーダーシップが重要視されます。

大企業では「何であいつが俺より先に出世するんだ!こんな会社辞めてやる!」という方がおられますが、ここですぐに転職すべきかどうか考える方が得策です。1社で20年勤務して偉くなった方が40歳以降、転職して僅か2~3年の間に2・3度転職しあっという間に深刻な状況に追い込まれるケースは枚挙にいとまがありません。新しい環境で成果を出すためのチェンジコストを過少評価してはいけないのです。確かに短期でみれば不公平なこともありますが長期的に見れば実力のある方が上にいくようになっていますから、意外と世の中は平等にできています。こういう時こそ上司や部下に信頼される管理職とし実力を蓄えるチャンスです。苦労は買ってでもしろといいますが、こういうご時世なので苦労をしても成果が上がらなければ 信賞必罰です。そういういうのもひっくるめて立ち向かおうとするリーダーに人心が集まります。

得意なことを頑張っている時には大きな成果が出てきます。苦手なことに頑張っている時には大きく人格が磨かれます。変化に対して柔軟に対応できるリーダーになるためにはどちらも大切だと思います。マネジメント能力に十分な自信がついた時は外資系企業などでマネジメントとして勝負に出ても良いと思います。マネジメント能力の差が如実にあらわれるのは離職率の高い会社です。一見、離職率の高い会社は好まれないケースが多いですが、外資系の転職市場では、毎年、生き残りが厳しい会社であるがゆえに、生き残っているだけで既にプロフェショナルとしての一定の評価を得られることがあります。生き馬の目を抜く業界で、一度、チームがガタガタになった企業を再生に成功させた経営人材には、同業他社から一斉にスカウトがかかります。優秀な人材は必ず世の中から見出されます。負けが込んだときこそリーダーの資質が問われるのです。

あまり知られていないですが、社内で権威的な発言をして敵をつくると、マーケットであっという間に「彼はマネジメント能力に問題がある」という評価が広まってしまいます。権力をふりかざしたマネジメントし実績を出してきた人は、転職したばかりの新しい組織でも同じ手法で組織を運営します。実績が出ているときはいいのですが、逆回転しはじめたときに一気に周囲からの厳しい非難にされられてポジションを失うケースは枚挙にいとまがありません。うまくいかないときこそマネジメントを学ぶチャンスです。自分が強力な権限をもったときにタガが外れてしまわないように常にどこかに意識をもっておくことが 大切です。今の仕事ぶりに対するリピテーションが皆さんの将来を決めるといっても過言ではありません。

④ 他には何を学べば良いのか?

30代後半は、季節でいうと収穫の秋だと思います。あまり遠回りしている暇はありません。普遍的な人気者を目指すのではなく、分野を絞り込むことが大切です。まだ定年退職するには20年ぐらいあります。今後も時流に乗ってキャリアを発展させていくには自分の専門であるビジネスの大きな潮流をおさえましょう。その上でそのビジネスの各論にも強くなりましょう。

では具体的に何から取り組めば良いのか? 確信を持てない人も多いと思いますので最後にコツをお伝えします。

一番効果的なのはその業界で既に第一人者とされている方との交流する機会を増やすことです。「私はあなたのようなトッププロになるために今何を勉強すれば宜しいでしょうか?」と思い切って聞いてしまいましょう。少し勇気がいることですが、気後れしている場合ではありません。 真摯な態度でストレートに聴くのが一番です。

第一人者には業界を最前線でリードしてきた自負があるものです。こちらが礼を尽くせば、雲の上のような方であったとしても、意外ときさくに教えてくれます。業界のトッププロは必ずといって良いほど、多くの場所で講演をしています。身銭をきって、そうした方々から自分が学ぶべきものを直接フィードバックしてもらうのが成功するための一番の近道だと思います。本物に直に触れる経験が皆様の人生に大きな意味をもつようになると思います。

その時、教えて頂いたことを実践するのも大切ですが、自分が師として仰ごうとしている方の印象をしっかり自分の脳裏に焼き付けておきましょう。師となる人に触れたことで、尊敬心や興味が自然と沸いてきて、自然とその方の著書を一気に読むことができるようになります。自分のビジネスに関係の深い業界の第一者、有識者に年間20人~30人ぐらいお会いして、自分の立ち位置を定点観測し、今後は何を勉強すべきかを吸収していかれると良いと思います。

名刺交換から始まったご縁でその方が主催する勉強会などにお誘い頂いたりしたら、仕事が忙しくてもできるだけ出席するようにしましょう。そうした勉強会で発言したことが業界で影響力のある方の目に留まる事があります。これだけで、みなさんのキャリアの成功確率は飛躍的に上がっていくと思います。どの分野でもトッププロには必ずトッププロの師匠にあたる人がいます。 みなさんが自分の業界で将来、トッププロを目指すなら、今、そうした立場のある方にまず自分の名前を憶えてもらうことが大切だと思います。

上記はイーセントラル社さんで2011年7月からスタートしたキャリアに関する連載記事の第二回の抜粋です。全12回です。皆様のご意見、ご感想お待ちしております。