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ビジネスマナーなんてクソ喰らえ!? 好きにやるのが一番!

»2010年11月22日
アラキングのビジネス書

ビジネスマナーなんてクソ喰らえ!? 好きにやるのが一番!

荒木 亨二

ビジネスコンサルタント&執筆業。荒木News Consulting代表。業界をまたいで中小企業経営者のサポートを行う「究極のフリーランス」。2012年より、ビジネス書の執筆ならびに雑誌の連載をスタート。

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フリーランスでビジネスコンサルティングを生業とする私にとって、何よりも大切なのは【業界を超えた人脈】である。将来的に、自分がどのようなクライアントに出会い、かつどのようなビジネス展開をしていくのか自身で想像がつかない以上、常にビジネスの感性を磨いておかねばならない運命なのだ。先日は、某民放テレビ局にお勤めの報道チーフディレクターという男性と会食をする機会があった。そして、毎度思うことがある。私は、基本的なビジネスマナーを持ち合わせていないなあ、と・・・

待ち合わせ時間に遅刻をする

初対面だというのに、私は10分ほど遅れて到着してしまった。まったくもってビジネスマナーが備わっていない私。待ち合わせは銀座のとある料理屋、余裕を持って銀座に降り立っていたのだが、迷子になっていた。私にとっての銀座とは、しょっちゅう買い物をする場所、よく飲みに行く場所。完全なる自分のテリトリーなのだが、毎度毎度、迷子になる。

迷子の原因は・・・「地図が読めないオトコ」だから。iPhoneのグーグルマップを片手に持って歩いても、まず一発で辿り着くことはない。その理由はハッキリしている。地図に対する心構えができていない。心構えってなんだ? 基本的な地図の見方、のこと。間違える手順は以下のようなもの。

地下鉄を降り、目的地にもっとも近い出口から地上に出る。そして「最初に見た方角」、これを私は勝手に「正面」と決める。正面とは「北」という意味で、地図でいうところの「上」。私がたまたま右を向けば右が正面(北)となり、それが左なら左が北となる・・・このよく分からない思考回路に従うと、私が最初に見た光景=正面が偶然にも「北」であるなら何の問題もないのだが、そうはいかない。

私にとって「銀座は鬼門」なのだ。何度も通っているオフィスでさえ、たまに迷子になる。昼と夜だと景色が違うから、分からなくなる。いつもと違う出口から出ると、もうそこは見たことのない光景。方向感覚の修正がきかなくなり、いつも通りの理論「最初に見た光景が正面」と信じて、ずんずんあらぬ方向へ歩き始める。

名刺をきちんと受け取れない

「名刺は両手できちんと受け取ること」が正式なマナー。しかしこれが何度やってもうまくいかない。毎度毎度、両手が揃わないのだ。今回の会食は、私とテレビマンのほか、外資系企業にお勤めの女性がふたりいた。その女性がなんとも流麗なる仕草で名刺を受け取っている。さすがガイシケイ!・・・と羨望の眼差しで見とれているうちに、アワワ・・・またもや私の名刺交換は両手が揃わない・・・

勝手にあだ名をつけてしまう

さて、遅刻して入店し、ぎこちなく名刺交換し、正面が北だから・・・と、ワケの分からない遅刻の理由を説明している間に私が考えていることと言えば「この人、オリラジのあっちゃんに似てるな~」というコトだった。地図同様、最初に頭にピンと閃いてしまった想念がなかなか消えない悪いクセがある。

何となく酒を飲み始め、仕事の話をしながらだんだん調子が出てきて、会話が盛り上がってくる。ふと気付けば、私は初対面のテレビマンを「あっちゃん」と呼んでおり・・・

テレビマンに向かって「最近のテレビは本当に面白くない」と、呟く

「本音と建前を使い分ける」・・・これはビジネスというよりは"社会通念上の常識"だろう。余計なコトは言わなくていいし、時には話を合わせたりおべっかを使ったりして、気持ちよくコミュニケートするというのがビジネス。しかしこれが私はとても不得手なのだ。ついつい本音が口をついて出てきてしまう。

最近のテレビ業界の話題になり、ヤバイ!と思った。今のテレビはまったく面白くないとの不満=本音が、私の中には日々渦巻いているからだ。ビジネスにおいて最も重要なのは【企画の妙】である。あらゆる業界、あらゆる仕事に通用する理念である。たとえ素晴らしい意味あるビジネスを思いついたとしても、その企画が優れて独創的でなければ、そのビジネスはうまくいかない。すべては最初の発想=企画にかかっている。

マスコミ、特にテレビは「企画の妙」が生命線の業界のはずなのに、最近は経費削減という流れのなか「どうでもいいクイズ番組」「企業PR的バラエティー」「昔の番組ダイジェスト」といったまったくひねりのない企画ばかりである。ルーティーンなのだ。で、思わずそんな話をテレビマンであるあっちゃんに「テレビ業界はどうにかならないもんですか?」と、苦言を呈してしまって・・・

ワイン飲み過ぎても気にしない

初対面での会食におけるマナーは、きっとスマートに仕事のことを語り、情報交換するものなのだろう。外資系の女性ふたりは酔わないようセーブしながら、キッチリしている。素晴らしい。あっちゃんはとても優秀で理知的なテレビマンだった。テレビ業界にダメ出しする私に「実は、私もそう思うんですよ」と。おお、気が合うねえ~と、それからすっかりワイン攻撃。白、白、赤、赤、白・・・

子どもの頃、テレビは本当に国民を楽しませてくれた。「アメリカ横断ウルトラクイズ」などは毎週、ワクワクしながらお家に帰り、家族揃って見たものだ。成田でジャンケンし、勝ち残った勝者は飛行機に乗り、さあ憧れの海外に到着してタラップ降りようとしたらブザーが鳴って、涙ながらにそのまま日本にUターン。クイズに負ければ過酷な罰ゲームがあり、勝者は素敵なご褒美があり・・・アメリカ各地を巡りながら、決勝の舞台であるNYを目指す。クイズでありながらドキュメンタリーであり、出場者はライバルでありながら友人となり、素人でありながらやがて有名人となり・・・昔のテレビマンが考え抜いた秀逸な作品である。あの時代、海外がまだ高嶺の花だった時代に相応しい娯楽だった。まさに企画の妙。それに比べて今の惨憺たる状況は・・・ワインが進む。

そんな話をみんなでしていると、私はふと、とんでもない「悪魔の企画」を思いついてしまった。アメリカ横断をパクったクイズなのだが、今の時代に相応しく、きっと相当な数字と笑い、そして多くの称賛がとれる企画に相違ない。私は思わずあっちゃんに番組のコンセプトを詳しく語りはじめていた。「それは面白い! ぜひ会社に提案したい」と言い、みんなでそれはやるべきだ!面白い!と、大変盛りあがった。実は、酒を飲みながら思いついたアイディアほどシンプルで理性的、かつエッジがきいていることが多い。そんな理由から、私の場合、仕事の打ち合わせはたいてい酒を飲みながら喋りまくり、翌朝、そのアイディアをシラフになって企画に起こしていくというスタイルを長年とっている。昼間、会議室でマジメに話し合っても頭が回らないのだ。

みなが悪魔の企画について思い思いに、楽しそうに意見を出し合った。でも"実現不可能なクイズ番組"というのはみな、理解していた。いくら数字がとれても笑いがとれても、まずスポンサーがつかない。局は決してオーケーを出さない。仮に番組を作ってみても、政治的に相当ヤバイので、放映中止になる運命・・・クイズのタイトルを書いただけでも問題になりそう・・・というオトナの判断が働く。今のテレビがつまらない理由はいろいろあるのだろう。現場にはきっと、多くの天才的な才能が眠っているに違いない。でも、それを発揮できない・させない環境があるのだろう。今年のキワモノタレントに「毒気が足りない」理由を読むと、理解できる。テレビの復活を願うばかりである。現代の子どもがオトナになった時、「あの番組は本当にスゴかったよね~」と語り合えるような"財産"を残すのも、マスコミの使命ではなかろうか?

ビジネスセンスを学んではいけない

ビジネスマナーって、本当に必要なのだろうか? 遅刻は論外だが、相手に失礼でない範囲であれば逸脱してもよいと思う。当たり前のように話をし、パーフェクトに振る舞っても、その人の個性が消えてしまっては元も子もないだろう。会食も中盤を過ぎる頃、名刺交換が上手で、酔わないよう振る舞っていた外資系女性は、テレビマンをあっちゃんと呼んでいた・・・

マナーと似たところで、ビジネスセンスも同じように思う。センスとは、業界・職種にかかわらない"仕事のスタイル"みたいなもの。考え方。進め方。理念など。

例えば営業スタイル、私は普通の営業マンからモノを買った試しがない。セオリー通りの営業、マニュアル通りの営業をされても楽しくないし、ココロはちっともなびかない。逆に<上手すぎる営業マン>からも買わない。それは、話の進め方を見ていれば一目瞭然なのだ。この営業マンは「ここで黙るだろうなあ」と思ったまさにそのタイミングで黙り、私がこんな話をしたら飛びついてくるだろうなと喋ると、予想通り飛びついてきて・・・自分がかなりのプロだと自負している営業マンに限って、自分の流儀が相手に読まれているコトに気付いていない。彼らがセオリーと考えている"ワク"には業界問わず、ある種のパターンが存在しているため、トークの道筋が明らかに見えてきてしまうのだ。

私はクセのある"読めない営業マン"や、自分の仕事とは無関係な"引き出しの多い営業マン"から、モノを買うことにしている。彼らに共通するのは独特のセンス。誰に学んだわけでも、ビジネス書を参考にしたわけでもない、自分で磨き上げたスタイルが完成されている。

ビジネスのマナーとセンスは、自分で築き上げるもの。自分なりのスタイルを見つけた時、それはきらりと光る玉となる。

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