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ハムやビールじゃつまらないでしょ? だから「花歳暮」という新習慣を考えてみた

»2014年11月25日
アラキングのビジネス書

ハムやビールじゃつまらないでしょ? だから「花歳暮」という新習慣を考えてみた

荒木 亨二

ビジネスコンサルタント&執筆業。荒木News Consulting代表。業界をまたいで中小企業経営者のサポートを行う「究極のフリーランス」。2012年より、ビジネス書の執筆ならびに雑誌の連載をスタート。

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 お歳暮商戦が始まる時期だ。昔のビジネスマンなら「今後もよろしくお願いします」との意味を込め、上司や取引先にお歳暮を配ったものだが、今やそんな習慣も薄れつつある。お歳暮の良し悪しが、出世を左右する時代ではないー。

 そんなコラムを、現在発売中の雑誌「Begin」(世界文化社)に載せた。20~30代の男性ビジネスマン向けに〝ちょい上を行く着こなし&損をしない作法〟を指南するのが、ボクの連載「仕事着八苦YOU!」のテーマである。

 キレイに見えるジャケットの選び方だったり、企業の上層部と対面しても恥ずかしくない腕時計だったり、クールビズのNGアイテムだったりー。いくら仕事がデキようとプレゼンが上手かろうと、ファッションがイマイチでは、思いのほか印象は悪くなる。よく言われるように〝ビジネスは見た目が重要〟なのだ。

 そんなワケで、連載のタイトル通り、いつもは仕事着=ファッション中心に書いている。しかし、今月のBeginの特集が「すべらないギフト」ということもあり、初めてギフトについて書いてみたのだ。

 仕事ギフトはサプライズ&センスー。

 これが結論である。「どんなモノを贈ればサプライズ&センスなのか?」。詳細は本コラムに預けるとして、ビジネスにおいては、なかでも年齢を重ねた人であれば、もはや〝野暮なギフト〟は許されないということだ。ハムやビールなど無難すぎるモノを贈れば「仕事ぶりも平凡だしな...」と、かえって評価を下げるかもしれない。

〝カブりすぎた歳暮〟はツライ

 サプライズ&センスー。これは、ビジネスの世界のみならず、プライベートにも共通する〝贈り物のテーマ〟だろう。せっかくギフトを贈るなら、ちょっとは相手を驚かせたいもの。と同時に「やっぱり素敵な趣味ね」と、あわよくば自分なりのセンスも味付けしたいのが、人のココロではなかろうか。

 ビジネスでは〝形式ばったお歳暮〟の習慣は薄れつつある。その一方、近年増えているのが、家族や友人など身近な人へ贈る〝パーソナル歳暮〟である。「離れて暮らす両親へのありがとう」「夫や奥さんへのご苦労さま」など、皆が思い思いに、改めて1年間の感謝の気持ちを表しているようだ。

 つまり、お歳暮の意義が、昔とはカタチを変え始めている。気心しれた人ゆえ、ビジネスのように〝変な気づかい〟をすることなく、好きなモノを贈ることができる。これがパーソナル歳暮の特徴と言えるだろう。

 では、そんな時代、どんな歳暮がサプライズ&センスとなるのだろうか...。

花歳暮POP.jpg

(花歳暮、はじめました)

 そこでふと〝お歳暮に花を贈る〟ということを考えついた。ボクは今、花屋のブランドプロデュースを手掛けている。だからというワケではないが、花は案外、お歳暮に最適な逸品となるかもしれないのだ。

 まず、もらった相手は、さほど恐縮しないだろう。従来のお歳暮が厄介なのは、もらった際の心理的な負担が少なくないことだ。「お返しをしないといけないかな」「来年はウチも贈らなくちゃ」など、ついついそんなことを思ってしまう。

 しかもお歳暮は、たいてい食料品など一般的なモノのため、何となく値段が想像できてしまう。これが「じゃあ、ウチも5千円くらいかな」など、余計な頭を働かせてしまう。結果として、本来の感謝の気持ちを示す行為から〝相応しい対応=義務感〟へと、お歳暮の意味が変わってしまう。

 ところが花であれば、もらった相手は値段がよく分からない。花を飾る習慣がない家庭なら、好きなところに飾ってしばらく楽しむことができるうえ、植物なのでやがては消える。つまり、花はもらっても気楽なのだ。

 昔は〝お歳暮がカブる〟ことも多かった。皆が一斉にハムを贈ってきたため、冷蔵庫はハムでいっぱいとなり、年の瀬から2月までハム漬けの日々...。昔のお歳暮シーズンでは〝食べ物に追われる〟という風物詩もよく見られたものだ。

 だが花なら、追われる心配はない。あればあるだけ、お家が華やかに彩られるだけ。いい香りが部屋を漂い、いつもと違う年末を迎えることができる。そもそも、お歳暮に花を贈る習慣がないため、まず〝他人とカブらない〟だろう。

花歳暮.jpg

nosi.JPGのサムネイル画像

(花歳暮は熨斗をつける)

 こんな感じで花をボックスに入れ、立派な熨斗(のし)までつけてしまえば、どこから見てもいたって普通のお歳暮。もちろん花だから、異様に軽い。もらった相手は「何だろう?」と、まずは箱を横に振ってみるに違いない。

 タオルかな、ハンカチかな、それとも靴下かなー。「いくらでもウチにあるのにな...」と、ややガッカリしたところで蓋を開けると、予想外の花々がキラリと顔を覗かせる。サプライズ&センス溢れる、イキなお歳暮の完成、というわけだ。

とりあえず、こっそり「多摩平の森」でスタート

 花歳暮は、ルポゼ・フルールが提案する新習慣。まずは、先日オープンしたばかりの「多摩平の森店」から小さく、こっそり始めたところ。

 本来は大々的にやりたいところだが、実はボクは当初、新店の企画に関わるつもりはなく、オープン前に急きょ考えることになった。というのもこの半年は、事業ブランディングの再構築とその教育に専念しており、実際に店頭をイジるのは来年からのつもりでいた。(コラム:冷やし中華始めました。「南仏イメージ」やめました。

 だが「少しでも早く変えていきたい」との声を聞きつけ、とりあえず始めた次第。初めての花屋コンサルティングだが、携わってみるとオモシロイ。花屋は古くからある業態だが、個人のお店が乱立するマーケティングが手薄な業界でもあるため、化ける可能性はいくらでもあるのだ。

 花屋「ルポゼ・フルール」は来年から、変わる予定。

(荒木News Consulting 荒木亨二)

*イオンの新規ビジネス花屋『ルポゼ・フルール』、ブランドプロデュース中

【著書】

『就職は3秒で決まる。』(主婦の友社)

『名刺は99枚しか残さない』(メディアファクトリー)

【雑誌連載】

『Begin』(世界文化社)「仕事着八苦YOU!」

『アスキークラウド』(KADOKAWA)「それでもボクは会社にイタいのです」

『Safari』(日之出出版)「最後のバブルで踊ろうよ!」