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その名は、ステージマネージャ
当ブログ「ヘ音記号と舞台の狭間より」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/augusta_kb/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
初めまして、山道徳子と申します。ご縁あって、今回ブログを書かせていただくことになりました。どうぞ宜しくお願い致します。
色々な職種を経て現在辿りついているのが、オーケストラのステージマネージャという仕事です。きっかけは、7年働いていた職場で自分のいた部署が無くなることになり、
北海道へ転勤か?
会社都合退職か?
のどちらかを選ぶはめになり退職を選択したのですが(北海道ではレッスンに通えないと思った)、あるステージマネージャが「うちのステージやってみる?」と声をかけてくれたのをきっかけに、この世界に......。
以降、会社員として再就職するまで続け、一度は身を引いたのですが、仕事の「片道3時間通勤」の過酷さゆえにオアシスを求めて......。とは言っても、会社員と兼業でしたので、オーケストラのほうは休日や本業の合い間に少しお手伝いする程度でした。
その後、会社員として所属していた部署で「これは訴訟してもおかしくないレベル」と思った事件があり、夫の同意を得て退職。ステージマネージャとしての道に専念することになりました。
最初のうちは、言われたことを言われたままやる感じの内容しかできませんでした。しかし、最近ようやく、ようやくステージマネージャらしいことが、少しずつできるようになってきていると思っています。
まずは、
ステージマネージャって何者?
というところから、アタックしてみたいと思います。
ステマネと略されることが多いですが、「捨て真似」ではありません、念の為。
言葉で説明するのが難しい業務です。「何とか簡潔に文章にならないか」と思い同業者に何人かきいてみたのですが、誰もが「人に説明する時は名称のみ言うか、最初からずらずらと説明するかのどちらかになってしまう」という意見で一致してしまいました。
とは言うものの、ステージマネージャについて簡単に想像がつかないと思います。今回は第1回目のエントリなので、具体的に場面を区切って例を挙げてみます。
【クラシックの演奏会】
オーソドックスなコンサートですと、
1曲目: 序曲や軽い管弦楽曲 (例:モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲)
2曲目: 協奏曲 (例:モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番)
---休憩---
3曲目: 交響曲や大きい管弦楽曲 (例:モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」)
というプログラムが多いのではないでしょうか。
1曲目が終わり、わーっと拍手(が、あったとして)
指揮者が袖に下がる
↓
一部の演奏者が下がる
↓
ステージ係が舞台に出てきて、譜面台や椅子を、場合によっては大型楽器を動かす。
ピアノが舞台中央に動かされることも!
↓
ステージ係一同が、袖に下がる
↓
演奏者が揃ったらチューニング(音合わせ)
↓
独奏者と指揮者登場
↓
わーっと拍手(が、あったとして)の後、2曲目開始
と、いう流れになります。
この、ステージ係の動きをコントロールしている人が、ステージマネージャ。
【演奏会より数時間前】
板張りの平らなコンサートホールに楽器が搬入され、平台やせりなどで台が作られ、椅子と譜面台が並べられます。必要なものが必要な場所に設えられ、ステージが組み上がります。
この、ステージのセッティングを計画し実行する人が、ステージマネージャ。
曲目によっては、オーケストラで常備していない楽器を使うこともあります(例:プッチーニの歌劇「トゥーランドット」の中の"誰も寝てはならぬ"という曲で使われる小型の銅鑼など)。
この、無い楽器を借りたり手配する人が、ステージマネージャ。
......などなど、ステージマネージャは色々なところで動いている人なのですが、演奏会においては演奏しません。オーケストラの中では、演奏会の会場に一番長くいる人でもあります(であるはず)。
皆様の目に触れやすいシチュエーションから、簡単にご案内してみました。次からは、もっと細かく「どんな場面で」「何をしているか」を掘り下げてみたいと思います。